多言語サイトのローカライゼーションで成功するための考え方とポイント

多言語サイトのローカライゼーションで成功するための考え方とポイント

更新 :
筆者 : GOOD LUCK TRIP

多言語サイトでインバウンド集客を成功させるには、ローカライゼーションが欠かせない。
適切にローカライゼーションされていなければ、どれだけ時間と費用をかけても多言語サイトは失敗に終わってしまう。
そうした失敗を防ぐために、この記事ではローカライゼーションを行う上で知っておくべき前提知識や考え方、成功のポイントを紹介する。
多言語サイト制作、ローカライゼーションを数多く手掛けてきた「GOOD LUCK TRIP」が培ったノウハウを伝えるので、ぜひ参考にしてほしい。

多言語サイトにおけるローカライゼーションの重要性

ローカライゼーションとは、特定の国や地域の言語、文化、宗教、価値観、感性、法律などに合わせて、サイトのコンテンツやデザインなどを調整すること。
「ローカリゼーション」や” localization”の”l”と”n”の間に10文字あるため、略して「L10n」と表記されることもある。
多言語サイトを作る上で最も重要なのが、この「ローカライゼーション」だ。
適切にローカライゼーションされていないと、多言語サイトを作っても、ターゲットとする国や地域の人々に施設やサービスの内容や魅力を伝えられない。

適切なローカライゼーションが多言語サイトの成功の鍵
適切なローカライゼーションが多言語サイトの成功の鍵

多言語サイトのローカライゼーションで重要な考え方

ローカライゼーションを行う上で、知っておくべき考え方を紹介しよう。
言語を翻訳するにしても、サイトに掲載するコンテンツやデザインを考えるにしても、重要な考え方となる。

1. 同じ国内でも地域によって文化や価値観などが違う

ローカライゼーションへ取り組むにあたって、「アメリカ人は〇〇だ」「中国人は〇〇だ」と言った固定観念や先入観は捨てよう。
同じアメリカでも、西海岸と東海岸の地域では文化や価値観が全く異なる。
さらに、同じ地域に住んでいても信仰する宗教によって価値観が違い、個々の趣味・趣向も異なる。
これは東京に住む人でも、食の好みがバラバラであるのと同じことだ。
だからこそ、ローカライゼーションを行う際は、国や地域で一括りにするのではなく、真っさらな視点でターゲットを理解する必要がある。

“外国人”や”〇〇人”と一括りにして考えないように
“外国人”や”〇〇人”と一括りにして考えないように

2. 自社の施設・サービスの認知度の低さを前提にする

日本にあるほとんどの施設やサービスは、自分達が思う以上に外国人には知られていない。
そのため、基本的には自社の施設やサービスを全く認知されていないという前提で、多言語サイトのローカライゼーションを行うべきだ。
外国人の認知度を考慮せずにローカライゼーションを行うと、失敗に終わる可能性が高い。
例えば、多言語サイトのトップページの最上部にクーポンやセールの告知を掲載した場合、果たして効果は見込めるだろうか。
全く知らない海外の施設やサービスの割引クーポンをもらったからといって、それを目的に足を運ぶ人は少ないはずだ。
それよりも、その施設やサービスがどのようなものなのか、どんな体験ができるかを伝えた方が効果的だ。

施設・サービスを全く知らない状態でサイトへ訪れることを想定しよう
施設・サービスを全く知らない状態でサイトへ訪れることを想定しよう

3. 訪日外国人との出会いは一期一会

訪日外国人のリピーターは約6割、香港や台湾は訪日回数が10回以上の訪日旅行者の割合が多いというデータを見ると、外国人に接触・アプローチできる機会や施設・サービスを利用してもらえる機会が何度もあるように思えるだろう。
しかし、よく考えてみてほしい。日本人がアメリカへ2回に訪れる場合、同じ場所に足を運ぶだろうか。ほとんどの人は同じ場所に足を運ぶことはないだろう。
外国人も同様で、何度も日本を訪れるとしても、同じ場所に足を運び、同じようなサービスを利用する可能性はほとんどない。
だからこそ、自社サイトへアクセスしてもらえる機会も1回か2回程度だと考えるべきだ。
その少ない機会に自社の施設やサービスの魅力を伝えるために、ローカライゼーションがあると考えてほしい。

外国人が訪れるのは一度きりだと考えてサイトを制作しよう
外国人が訪れるのは一度きりだと考えてサイトを制作しよう

施設・サービスの知名度を簡単に調べる方法

多言語サイトのローカライゼーションを行う上で、施設やサービスの知名度を把握することは、先ほど述べた通り重要。
知名度を調べる方法はいくつかあるが、最も手軽にできる方法は、英語表記の施設名・サービス名をGoogleで検索することだ。
調べる際は、必ずGoogleの表示言語を切り替えてほしい。
表示言語によってもGoogleの検索結果は異なるため、知名度を調べたい国で使われている言語に切り替え、英語表記で検索しよう。
Google Chromeの自動翻訳機能を使えば、検索結果や他の言語で書かれたページも日本語で読めるようになる。
検索しても自社の施設やサービスを紹介するページが見つからなければ、知名度は全くないと考えてほしい。
施設やサービスのことを紹介しているページがあれば、施設やサービスが外国人にどのように認知されているかを把握できる。

知名度を調べる具体的な手順

パソコンで知名度を調べる場合は、以下の手順を参考にしてほしい。
ただ、Google ChromeやGoogleのアップデートによって、操作方法が変わる可能性があるため、その点は留意してほしい。

  1. Google Chromeを開き、適当なキーワードで検索
  2. 検索結果の右上にある歯車のマークをクリック
  3. 「言語(Language)」をクリック
  4. 「表示言語」をクリック
  5. 調べたい言語をクリック(この場合は英語を選択)
  6. 画面上部の検索窓に施設名・サービス名を入力

Google Chromeの翻訳機能を使う手順

パソコンで日本語以外の言語のページを開き、Google Chromeの自動翻訳機能を使う手順は以下の通りだ。
こちらもGoogle Chromeのアップデートによって、操作方法が変わる可能性があるため、その点は留意してほしい。

  1. 翻訳したページで右クリックしてメニューを開き「日本語に翻訳」をクリック
  2. Googleがページを自動翻訳する

多言語サイトのローカライゼーションの本質は「シンプル」にすること

数多くの多言語サイト制作を行ってきた「GOOD LUCK TRIP」が辿り着いた、ローカライゼーションの本質は「全てをシンプルにする」ことだ。
「多言語サイトのローカライゼーションで成功するには、ターゲットを深く絞り込み、ターゲットごとに言語だけでなく、コンテンツ・デザインも全て変えなくては」と考えているかもしれない。
多言語サイトに使えるリソースが膨大にあれば実現可能かもしれないが、ほとんどの企業のインバウンド予算には限りがあり、現実的ではない。
さらに、国や地域だけでなく、人ごとに価値観や趣味・趣向が大きく異なる現代では、特定のターゲット層が100%満足するローカライゼーションは難しい。
そのため、特定のターゲット層に対して100%満足してもらうことを目指すのではなく、どの国や地域の人が多言語サイトを見てもマイナスイメージを持たれない、最大公約数的なサイトを目指してほしい。
その上で、誰が見ても施設やサービスのことがわかるようなサイト作りをすれば、多言語サイトのローカライゼーションは成功するだろう。
これらは一見、簡単なように見えるだろう。ただ、国旗や言語を使用する時は、社会情勢やその国の歴史などを考慮する、日本の歴史文化・自社の施設とサービスを知らない人にも伝わるようなコンテンツにするなど、様々な配慮が必要となる。

誰が見てもわかりやすくマイナスイメージを抱かない多言語サイトを目指そう
誰が見てもわかりやすくマイナスイメージを抱かない多言語サイトを目指そう

多言語サイトのローカライゼーションを成功させる5つのポイント

ここからは、多言語サイトをローカライゼーションする際の具体的なポイントを紹介する。
紹介するポイントを押さえれば、自然にシンプルな多言語サイトになるはずだ。

1. 対象とする国・地域でNGなことを知る

多言語サイトのローカライゼーションを行う上で重要なのは、対象とする国・地域でNGとされることを知ることだ。
例えば、

  • 中国で灰色はネガティブなイメージを持つ色
  • 特定の地域を「国」と表記することでネガティブなイメージを持つ人がいる

などは想像しやすいだろう。
このように、特定の国や地域の人にネガティブなイメージを持たれる可能性があるコンテンツやデザインは避けてほしい。
サイトに対するイメージ=その施設やサービスのイメージとなるため、サイトに対してネガティブなイメージを持たれたら、その時点で施設やサービスは利用してもらえない可能性が高い。

ネガティブなイメージを与えないようにローカライゼーションしよう
ネガティブなイメージを与えないようにローカライゼーションしよう

2. 施設名・サービス名を翻訳し統一する

外国人に認知してもらい、覚えてもらうためには、施設名・サービス名の正式な翻訳を決定し、統一することは重要だ。
しかし、施設名やサービス名を適切にローカライゼーションできていない事例をよく見かける。
翻訳した施設名やサービス名が決まっていない場合もあれば、翻訳した結果、逆にわかりづらくなっているケースもある。
よくある失敗は、翻訳した施設名・サービス名に意味を持たせようとした結果、その言語を使う人に意図した意味で伝わらない、または発音・表記しづらい名前になってしまうことだ。
こういったケースを避けるためにお勧めしたいのは、施設名・サービス名を英語表記にすることだ。
英語表記にした場合、長すぎたり発音しづらかったりする場合は、日本語を併記しよう。
翻訳する上で日本語を使用することはNGではなく、特に漢字を使用する言語では、日本語を使用した方がわかりやすいケースも多い。
例えば、「殿」と表記されている男性用トイレを英語に翻訳する場合、「Mr.」「Lord」「Master」など様々な候補が挙げられる。
「Lord」は領主や君主などを意味する言葉だが、男性用トイレに使われると英語圏の人々は戸惑ってしまうだろう。
それよりは、”殿(MEN)”と表記した方が、英語圏の外国人にも漢字を使用する外国人にも正しく伝わる。
わかりやすい例を挙げたが、意味を伝えようとしすぎて、混乱させてしまうケースは多い。

施設名・サービス名は誰が見てもわかりやすいようにシンプルに
施設名・サービス名は誰が見てもわかりやすいようにシンプルに

3. 機械翻訳・自動翻訳ではなくネイティブスピーカーに翻訳を依頼する

多言語サイトをローカライゼーションする際、機械翻訳・自動翻訳の使用は避けた方が良い。
先述したサービス名・施設名の例からもわかるように、機械翻訳・自動翻訳では意図した意味が正しく伝わらない可能性が高い。
間違った意味が伝わり、足を運ぶきっかけを失ったり、トラブルの元になったりする可能性もある。
機械翻訳・自動翻訳を使用するのであれば、翻訳しない方が良い。それほどデメリットが大きい。
ユーザーが施設やサービスについてどうしても知りたい場合、アプリなどで自動翻訳した文章を読んでくれるだろう。
自動翻訳した文章に間違いがあっても理解を得られるため、施設やサービス提供者に対してマイナスイメージを持たれることはない。
そのため、翻訳は対象とする言語のネイティブスピーカーにお願いし、その言語を使用する人に正しく伝わるような文章にしよう。

機械翻訳・自動翻訳のデメリットは大きい
機械翻訳・自動翻訳のデメリットは大きい

4. 施設・サービスを知らない人でもパッと見でわかるサイトにする

先述した通り、ほとんどの外国人は自社の施設やサービスを知らない。
だからこそ、その施設やサービスがどのようなもので、どんな体験ができるのかを一目でわかるようにするのが大切だ。
多言語サイトのトップページの上部にクーポンを掲載したり、施設やサービスの想いを掲載したりするのは避けてほしい。
それらは施設やサービスについて知り、興味を持ったタイミングで見てもらえるような場所に掲載しよう。
宿泊施設の多言語サイトを例にあげると、宿泊施設がどこにあるのか、宿泊施設の特徴、宿泊施設の料金が一目でわかるようにすべきだ。

誰が見てもどんな施設・サービスかわかりやすいシンプルなサイトにしよう
誰が見てもどんな施設・サービスかわかりやすいシンプルなサイトにしよう

5. 施設・サービスの良さをそのまま伝える

多言語サイトをローカライゼーションする際、施設やサービスの良さを外国人に合わせて変更しないようにしてほしい。
例えば、刺身がウリの飲食店が外国人に接客する際、外国人が生の魚は食べないと考えて刺身を炙って出したら、外国人は喜ぶだろうか。刺身を食べに来ている外国人が喜ぶはずがない。
極端な例を紹介したが、実際にこのような間違ったローカライゼーションを行っているケースは多い。
多言語サイトを作る際、施設やサービスを外国人に合わせて変えるのではなく、日本人にも提供している施設やサービスの”良さ”や”価値”を、わかりやすく外国人に伝えることを意識しよう。
その上で外国人の文化や価値観などに合わせたオプション対応ができることを、多言語サイト上の「よくある質問」など、探せば見つかる場所に掲載しておこう。

施設やサービスの”良さ”は変えず伝え方だけを変えよう
施設やサービスの”良さ”は変えず伝え方だけを変えよう

多言語サイトのローカライゼーションでやってはいけないこと

「GOOD LUCK TRIP」は、多言語サイトのローカライゼーションで失敗している例をたくさん見てきた。
その中でも特に多い失敗例を紹介するので、ぜひ反面教師にしてほしい。

1. 自動翻訳・機械翻訳を使用する

この記事のローカライゼーションを成功させるポイントでも触れたが、自動翻訳・機械翻訳を使用して失敗するケースは多い。
AIの進化により精度は向上しているものの、ネイティブスピーカーが読むと不自然な文章になっていることが少なくない。
さらに、翻訳された文章では意図した意味が正しく伝わらない可能性も高い。
その結果、施設やサービスのブランドイメージを損なったり、ユーザーを傷つけたり、不信感を抱かせたりする恐れがある。
このようなリスクを考えると、自動翻訳・機械翻訳のデメリットは非常に大きい。

デメリットが大きい自動翻訳・機械翻訳の使用は避けよう
デメリットが大きい自動翻訳・機械翻訳の使用は避けよう

2. 過度なアニメーションやスライドを使う

アニメーションやスライドを使用するサイトは重く、海外からアクセスした際の表示速度は国内からアクセスした時よりも遅くなる。
特にアニメーションは、海外からアクセスすると正常に再生されない可能性があるため、使用しない方が良い。
サイトの表示速度が遅いと、サイトの内容を把握する前に離脱されてしまう。
そのため、多言語サイトでは過度なアニメーションやスライドを使用せず、シンプルに画像とテキストで構成しよう。

サイトの表示速度が遅いとサイトの内容を読んでもらえない可能性が高い
サイトの表示速度が遅いとサイトの内容を読んでもらえない可能性が高い

3. 過剰な演出をした画像を使用する

日本人であれば、施設やサービスに関する情報はSNSなどで簡単に手に入るが、外国人にとっては日本の施設やサービスの情報を集めるのは難しい。
だからこそ、外国人は施設やサービスの公式サイトに「リアルな情報」を求めている。つまり、施設やサービス利用する際の「臨場感」を知りたいのだ。
そのため、過剰な演出をした画像は避けてほしい。
演出が過剰だと、実際の施設やサービスのイメージがつかみにくく、訪問をためらう要因になりかねない。
さらに、多言語サイトだからといって、外国人のモデルを使用する必要はない。
日本の施設やサービスの公式サイトに日本人が写っているのは自然であり、外国人が知りたい情報のひとつである「日本人が施設やサービスをどのように楽しんでいるか」も伝えられる。
だからこそ、施設を実際に利用している様子や、サービスを提供している場面の写真を掲載してほしい。

過剰な演出は逆効果なので普段通りの様子を撮影しよう
過剰な演出は逆効果なので普段通りの様子を撮影しよう

ローカライゼーションのノウハウも豊富なGOOD LUCK TRIP

このコラムを掲載している「GOOD LUCK TRIP」は、月間PV1,000万、月間UU約400万の国内最大級インバウンドメディアを運営しており、日本国内の観光スポット・グルメ・宿泊施設・お土産など、ありとあらゆるジャンルの情報を訪日観光客に伝えてきた。
どのジャンルにおいても訪日観光客が知りたいことを熟知しているため、多数の多言語サイト制作も手掛けている。
これまでローカライゼーションを幾度となく行ってきた中で培ってきたノウハウの一部を、この記事で紹介してきた。
「シンプル」にすることがローカライゼーションで最も重要なことだが、それが難しいことはお分かりいただけただろう。
ローカライゼーションの知識を持った制作会社へ、多言語サイト制作を依頼したいと考えているなら、ぜひ一度「GOOD LUCK TRIP」に相談してほしい。

まとめ

「GOOD LUCK TRIP」が培ったノウハウをもとに、多言語サイトのローカライゼーションの重要性や、成功するために知っておくべき考え方、ポイントを紹介してきた。
多言語サイトで失敗したくない方は、多言語サイトの基本を解説している、こちらの記事もぜひチェックしてほしい。

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