東北随一の禅寺・瑞巌寺の観光ガイド

東北随一の禅寺・瑞巌寺の観光ガイド

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

東北随一の禅寺で国宝にも指定されている「瑞巌寺」。
禅寺のシンプルな外観と、豪華絢爛な桃山建築・美術の特色が残る内観は、見る者を魅了する。
戦国武将・伊達政宗(だて まさむね)が再建したお寺ということもあり、伊達政宗の美意識を随所に感じられる。
歴史的にも文化的にも価値の高い「瑞巌寺」を楽しむために、その歴史と見どころをこの記事を読んで把握しておこう。

目次

瑞巌寺ってどんなところ?

「瑞巌寺」は臨済宗妙心寺派の仏教寺院で、宮城県宮城郡松島町にある。
松島町は東北地方の沿岸地域中部にある町で、松島湾に面している。
海や川、里山などといった自然あふれる光景で知られ、日本三景のひとつにも数えられる場所だ。特別名勝と県立自然公園にも指定されている。
文化遺産が町内各地にある、歴史の町としても知られている。
そんな魅力たっぷりの松島町にある国宝が「瑞巌寺」だ。
「瑞巌寺」といえば、独眼竜で知られる戦国武将・伊達政宗(だて まさむね)の菩提寺(法要や供養を行うお寺)としても有名。
禅寺らしいシンプルな外観となっているが、絢爛豪華な桃山様式の特徴が随所に感じさせる造りとなっており、多くの観光客の心を魅了してきた。
「本堂」と「庫裡」は国宝に指定され、「御成門」「中門」「太鼓塀」は国の重要文化財にもなっており、見どころが盛りだくさん。
瑞巌寺は、松島観光では外すことのできない人気の観光スポットだ。

日本三景に選ばれる美しい景色と国宝に指定される歴史的建造物が見られる
日本三景に選ばれる美しい景色と国宝に指定される歴史的建造物が見られる

瑞巌寺の歴史と成り立ち

瑞巌寺は東北でも有数の禅寺であり、伊達政宗ゆかりの菩提寺だ。
800年の初めに比叡山延暦寺を統括する、慈覚大師・円仁(じかくだいし えんにん)が創建した「天台宗延福寺」が前身と言われている。
現在の瑞巌寺は1609年に伊達政宗が5年の歳月をかけて完成させたもの。
正式名称は「松島青龍山瑞巌円福禅寺」という。
伊達政宗は、関ヶ原の戦い後に仙台城の築城と併せて、領民の精神的な支えの場として積極的に神社仏閣の造営を行ってきた。その流れで建てられたのが瑞巌寺だ。
背景には禅僧・虎哉宗乙(こさいそういつ)の強い勧めもあって、寺の復興を思い立ったという。
虎哉宗乙とは伊達政宗の教育係で、伊達政宗にとっては幼いころから助言を受けていた恩人ともいえる存在だ。
伊達政宗の思い入れが込められた「本堂」や「庫裏」は400年もの間、一度も火災に遭遇することがなく、現存している。

瑞巌寺へのアクセス

宮城観光で利用することが多い、JR仙台駅から「瑞巌寺」までのアクセスを紹介しよう。
JR仙台駅からは、仙石線を利用してJR松島海岸駅まで移動する。
乗車時間は40分ほど。
松島海岸駅からは徒歩10分なので、比較的アクセスが良いといえるだろう。
別ルートとしては、JR仙台駅から東北本線に乗車してJR松島駅に行く方法もある。
こちらは乗車時間25分ほどと、やや短め。
だが、JR松島駅からは徒歩20分かかるため注意が必要だ。

瑞巌寺の参拝時間と拝観料

瑞巌寺の拝観料は大人が700円で、子供(小学生〜中学生)は400円。
拝観時間は時期によって変わるため、下記の表を参考にしてほしい。

拝観時間

1月
8:30〜15:30
2月
8:30〜16:00
3月
8:30〜16:30
4月〜9月
8:30〜17:00
10月
8:30〜16:30
11月
8:30〜16:00
12月
8:30〜15:30

瑞巌寺のお勧め観光シーズンは?

「瑞巌寺」のお勧め観光シーズンといえば、春と冬。
本堂前にある「臥龍梅」は春になると、美しい花を咲かせると人気だ。
伊達政宗の手植えと伝えられており、紅白二本の梅の木はまさに必見。
「臥龍梅」の見頃である、3月下旬から4月上旬を狙って訪れよう。
雪が降り積もる「瑞巌寺」が見られる冬も見逃せない。
雪化粧した歴史的建造物や周囲の自然景観が創り出す、静謐で厳かな空間を散策しよう。

伊達政宗が手植えしたと伝わる「臥龍梅」
伊達政宗が手植えしたと伝わる「臥龍梅」
雪が降り積もる、静謐で厳かな空間も魅力的
雪が降り積もる、静謐で厳かな空間も魅力的

【国宝と国指定重要文化財を巡る】瑞巌寺の見どころ5選

絢爛豪華な桃山建築・美術を、現在に伝える貴重な建築物としても有名な「瑞巌寺」。
1953年には本堂が、1959年には庫裡が国宝に指定されている。
部屋ごとに趣向が異なる絵画や彫刻が装飾され、天井の造りも異なっている。
伊達政宗の美意識が感じられるお寺に、誰もが心を奪われるだろう。
そんな魅力満載の「瑞巌寺」の中でも、絶対に訪れるべき見どころをご紹介。

1. 約3万点にも及ぶ貴重な資料が展示される「宝物館・青龍殿」

1974年に「宝物館・青龍殿」が現在の場所に開館。
その後、1995年に旧宝物館の規模を拡大した新館を建設した。
庫裡を出て向かいにあるのが「宝物館・青龍殿」だ。
仏像や涅槃図、書簡のほか、本堂障壁画や伊達家歴代藩主画像、茶碗、墨跡、出土品などと「瑞巌寺」や伊達家縁の貴重な資料が展示されている。
その数は約3万点にも及ぶという。
宝物は随時展示替えしつつ、企画展などの企画も実施している。
「瑞巌寺」の拝観料を払えば、「宝物館・青龍殿」は無料で見学できる。

2. 豪華絢爛な桃山建築・美術が見どころの「本堂」

本堂は書院造と呼ばれる、書院を建物の中心にした武家住宅の様式。
大きさは正面が38m、奥行き24.2m、棟高17.3mとなっている。
仏間や羅漢の間といった10室から成り立つ大規模な建物だ。
仏間には本尊の聖観世音菩薩立像や伊達政宗の位牌を安置している。
部屋の使用目的によってテーマを設け、絵画や彫刻で装飾し、天井造りもそれぞれ異なる。
華やかな桃山建築・美術の特色を残した、貴重な建築物であることから、1953年には国宝にも指定された。

外観はシンプルでありながら、内観は豪華絢爛な桃山美術の特色が見られる「瑞巌寺」
外観はシンプルでありながら、内観は豪華絢爛な桃山美術の特色が見られる「瑞巌寺」

3. 国宝であり日本三大庫裡でもある「庫裡」

禅宗寺院の台所にあたる「庫裡」。
入母屋造の大屋根の上には、煮炊きするために必要な煙を排出する煙出しがある。
現存する「庫裏」は、伊達政宗が再興した時に建てられたものとされている。
「庫裡」は実用的な建物であることから、装飾が施される例はほとんどみられない。
ただ、「瑞巌寺」の「庫裡」には、正面部分にあたる千鳥破風の下に桃山風の唐草が彫刻されている。
このことからも、伊達政宗の美意識の高さを窺える。
特徴的な建築や文化的価値も高いことから、国宝に指定されているだけでなく、「日本三大庫裏」に数えられている。

伊達政宗の美意識の高さを窺える「庫裡」
伊達政宗の美意識の高さを窺える「庫裡」

4. 東北地方で最古の桃山建築「五大堂」

「瑞巌寺」から少し離れた小島に建っている仏堂が「五大堂」だ。
807年に征夷大将軍・坂上田村麻呂が東北征討で訪れた際に「毘沙門堂」を建立。
828年に慈覚大師・円仁が五大明王像を安置したことで「五大堂」と呼ばれるようになった。
現存している「五大堂」は、1604年に伊達政宗によって再建されたものだ。
「五大堂」は東北地方にある最古の桃山建築とされ、国の重要文化財にも指定されている。
「五大堂」の軒回りには方位に沿って十二支の彫刻が配置されており、お堂を1周すれば全ての干支が眺められるようになっている。

「本堂」とは少し離れているが見逃せない
「本堂」とは少し離れているが見逃せない

5. 霊場として認知されていた証拠である「洞窟遺跡群」

「瑞巌寺」の表門を入ると、拝観者は「洞窟遺跡群」へと進むこととなる。
洞窟の壁面に目を向けると、石碑や石像に仏像が納められており、納骨や供養を目的とした場所だったことが分かる。
江戸時代に掘られたといった洞窟群であり、最も古い供養塔は1636年に伊達政宗の逝去に際して殉死したとされる家臣・佐藤吉信(さとう よしのぶ)だった。
供養された者の中には、仙台外の人物も含まれている。
霊場として深く認知されていた証といえるだろう。

「瑞巌寺」に入ると目に入る場所にある「洞窟遺跡群」
「瑞巌寺」に入ると目に入る場所にある「洞窟遺跡群」

瑞巌寺周辺の観光スポット3選

戦国武将・伊達政宗ゆかりの地であることから、伊達家ゆかりの遺構が点在している。それだけでなく、自然豊かな景勝地も多い。
「瑞巌寺」を満喫するとともに、周辺にある観光スポットも巡ってみよう。

1. 円通院

伊達政宗の孫、伊達光宗の菩提寺として正保4 (1647)年に建てられた円通院
円通院は紅葉の名所として知られ、10月下旬から11月中旬にかけて見頃を迎える。
なかでも約350年前に造られた心字池と観音菩薩が住む補陀落山を中心にした庭園は、東北屈指の美しさ。夜間にはライトアップもされ、より幻想的な雰囲気になる。
天然石やガラスの数珠玉でオリジナルの数珠を製作する体験も参拝者に人気。

色彩豊かな庭園が人気
色彩豊かな庭園が人気

2. みちのく伊達政宗歴史館

初代藩主である伊達政宗公の一生を、約200体を数える等身大の蝋人形を用いて、25の場面で紹介している。
さらに、昭和20年(1945)の仙台空襲によって焼失した政宗公が眠る霊屋「瑞鳳殿」の発掘調査で遺骨を発見。
それを基に復元された政宗公の顔と、コンピューターによって再現された声を体感できる。
ドラマや映画の甲冑を実際に制作している職人が手掛ける政宗公の甲冑「黒漆五枚胴具足」を実際に着用できる「甲冑着付け体験」(事前予約要、別途料金要)も人気。

伊達政宗公の生涯を蝋人形でリアルに体感
伊達政宗公の生涯を蝋人形でリアルに体感

3. 松島さかな市場

松島海岸の近く、国道45号線沿いにある観光市場。運営しているのは気仙沼をベースに、大型のマグロ漁船をもつ会社。
自慢のマグロはもちろん、カキやホヤ、金華サバ、気仙沼のサンマをはじめ、1500種類以上もの魚介を販売している。
本館1階は鮮魚のショッピングエリアで、観光客はもちろん、仙台市内から買い出しに来る人も多くいつもにぎわっている。

豊かな三陸の海の幸が集う市場
豊かな三陸の海の幸が集う市場

瑞巌寺に関するよくある質問

Q

瑞巌寺は誰が建てたの?

A

慈覚大師によって創建され、伊達政宗によって再建されました。

Q

瑞巌寺のご利益は?

A

商売繁盛・安産祈願・交通安全・開運招福などのご利益があります。

Q

瑞巌寺で御朱印帳はもらえる?

A

4種類の手書きの御朱印をもらえます。

まとめ

国宝や国指定重要文化財も多い、東北随一の禅寺である「瑞巌寺」の魅力と歴史を紹介してきたが、いかがだったろうか。
「瑞巌寺」は比較的アクセスも良く、仙台観光や宮城観光で訪れやすい立地にあるため、ぜひ観光プランに組み込んでほしい。
瑞巌寺周辺にも魅力的な観光スポットが多いため、下記ページを参考に松島を巡ってみよう。