【日光東照宮の観光ガイド】歴史と美しさが調和する世界遺産
「日光の社寺」として世界遺産に登録されている「日光東照宮」は、戦国の世を終わらせた英雄・徳川家康(とくがわいえやす)を祀る神社だ。
日本屈指の観光スポットとして国内外から人気が高く、国宝や重要文化財に指定された、多くの豪華絢爛な社殿群が訪れた観光客を魅了する。
この記事では「日光東照宮」を初めて観光する人でも楽しめるように、お勧めの見どころを中心に紹介しよう。
日光東照宮ってどんなところ?
栃木県日光市にある「日光東照宮」は、日本を代表する神社のひとつ。
「輪王寺(りんのうじ)」・「二荒山神社(ふたらさんじんじゃ)」とともに、「日光の社寺」の名前で世界遺産に登録されている。
徳川家康をご祭神に祀った(神として崇める)「日光東照宮」は、国内随一のパワースポットとしても有名。
そんな「日光東照宮」の魅力と言えば、日本の伝統的な技術や芸術性の高さを示した豪華絢爛な建築美だ。
境内の建物は華やかな装飾が施され、数多くの彫刻作品があちこちに飾られている。
「眠り猫」や「三猿」、「陽明門」が観光スポットとして知られているが、「日光東照宮」には、この他にも隠れた見どころが満載。
55棟の建築物のうち8棟が国宝、34棟が重要文化財に指定されていると聞けば納得してもらえるだろう。
また、秋になると東照宮全体が紅葉に染まった美しい光景が目の前に広がり、絶好の散策スポットになるのでお勧め。
日光東照宮の成り立ち
「日光東照宮」は徳川家康本人からの遺言により、1617年(家康死後の翌年)に息子の2代将軍・徳川秀忠(とくがわひでただ)によって創建された。
徳川家康の遺言通り、創建当時は現在とは異なり質素な神社であった。
3代将軍・徳川家光(とくがわいえみつ)が家康の二十一回忌に向けて、1634年から2年ほどかけて豪華に大規模改築したものが、現在の主な建造物として残っている。
日光東照宮へのアクセス
日光エリアの移動拠点となる「宇都宮駅」および「日光駅(JR・東武)」から、「日光東照宮」へのアクセスを紹介しよう。
宇都宮駅からのアクセス
- 経路
- 関東自動車バスの8番乗り場(西口)「56系統 日光東照宮行」へ乗車し「日光東照宮」にて下車。バス停から徒歩5分。
- 所要時間
- 約1時間40分
日光駅からのアクセス
- 経路
- 「東武バス日光」へ乗車し「西参道入口」にて下車。バス停から徒歩5分。
- 所要時間
- 約15分
日光東照宮の拝観時間と拝観料金
「日光東照宮」の拝観時間と拝観料は、下記の表を参考にしてほしい。
英語と中国語に対応している境内音声ガイドがあり、1日500円でレンタルできる。
表門をくぐった正面にある場所で貸出ししているため、ぜひ利用してほしい。
- 拝観時間
-
・4月1日〜10月31日 9:00〜17:00
・11月1日〜3月31日 9:00〜16:00
※閉門30分前に受付終了 - 拝観料
-
・大人:1,600円
・小中学生:550円
日光東照宮のお勧め観光シーズンは?
「日光東照宮」を観光するなら。紅葉シーズン(11月上旬から11月中旬)の秋がお勧めだ。
お寺・神社と美しく綺麗に色付いた紅葉が一体となって作り出す、奥深い雰囲気の境内を散策すれば楽しめるだろう。
「日光東照宮」の周辺には紅葉の名所が多いため、紅葉名所巡りするのもお勧めだ。
歴史文化と美しさを感じられる日光東照宮の見どころ9選
「日光東照宮」は日本全国にある東照宮の総本社的存在として、三大東照宮のひとつに数えられている。
日本の伝統的な建築技術や文化を感じられる、国宝・重要文化財に指定された建造物が盛りだくさんで魅力が尽きない。
その中でも外せない見どころを厳選して9つ紹介しよう。
1. 伝説の職人による彫刻「眠り猫」
「日光東照宮」の数ある彫刻の中でも奥宮(家康の墓)への入り口、東回廊にある国宝「眠り猫」は見逃せない。
本当に眠っているかのような安らかな表情をしているが、角度によっては目が開いているように見えるから面白い。
「眠り猫」の裏側に彫刻された2羽の雀にも注目してほしい。
猫を天敵とする雀が戯れる様子から、平和を象徴していると考えられている。
「眠り猫」は謎多き伝説の彫刻職人・左甚五郎(ひだりじんごろう)の作品、という伝承がある。
2. 教訓が込められた有名な彫刻「神厩舎・三猿」
「神厩舎(しんきゅうしゃ)」は、神様に仕える馬をつなぐ部屋で、神厩舎自体が重要文化財となっている。
徳川家康の愛馬が主(あるじ)に、奉公するための場所として造られた。
自然のままの状態の木材を使用した素木造り(しらきづくり)になっているため、装飾がなく落ち着いた雰囲気を感じられる。
「神厩舎」には16匹の猿が彫られており、人生をストーリーに見立て、世代ごとの教訓を表現している。
幼少期の教訓として彫刻された「聞かざる・言わざる・見ざる」の三猿は有名で、素直な心のまま育てるようにという戒めが込められている。
猿が馬を守るとされていることから、猿を題材とした彫刻が彫られたと考えられている。
3. 日本で最も美しいと評される「陽明門」
国宝に指定されている「陽明門」は、日本で最も美しい門と名高い。
門には中国の故事逸話・子供の遊びなど500を超える彫刻が施されており、一日中見ていても飽きないことから「日暮門」とも呼ばれている。
「陽明門」は豪華な外観に加えて、ひとつひとつに込められた細やかな表現や意味に魅力がある。
12本ある柱の1本だけ逆さ向きに作り、わざと未完成に(完成=崩壊)している、通称「魔除けの逆さ柱」や、頂上に輝く「鬼瓦」は悪人が門の中に侵入しないか見守っているとされている。
2017年に終えた平成の大修理によって、輝きを増した現在の「陽明門」は必見だ。
4. 美観と驚異的な安全性を兼ね備えた「五重塔」
東照宮の入り口にそびえ立つのが、高さ36mを誇る「五重塔」。
重要文化財に指定されている「五重塔」の特徴は、心柱(しんばしら/中心の柱)を吊り下げる建築様式だろう。
精密なうえに安全性が非常に高く、東日本大震災の損害を受けなかったほどだ。
初層から4層は和様(日本風)に対して、5層目は唐様(中国風)という珍しい造りや、初層に彫られた十二支の彫刻が魅力的と言える。
境内を見渡せる絶好のスポットでもある。
5. 御本社へと続く由緒正しき門「唐門」
御本社の正面にある唯一の門として、重要な役割を果たす「唐門(からもん)」。
身分が高い者のみが通ることを許された由緒が正しき門で、重要文化財に指定されている。
胡粉(ごふん/白い顔料)で全体を白く塗られた門は存在感を放ち、弓なりの形状をした唐破風(からはふ)の屋根が目を引く。
東南アジアから輸入した寄木細工(よせぎざいく)の柱や扉、霊獣である恙(つつが)と龍の彫刻をぜひ見てほしい。
6. 三大彫刻のひとつが彫られている「三神庫」
「三神庫(さんじんこ)」は「上神庫(かみじんこ)」・「中神庫(なかじんこ)」・「下神庫(しもじんこ)」の総称。
重要文化財に指定されている「三神庫」は、祭典行事で使う貴重な道具を納める役割を持つ。
「眠り猫」・「三猿」と並んで日光東照宮の三大彫刻と言われる、「上神庫」に彫られた「想像の象」に注目してほしい。
作者の狩野探幽(かのうたんゆう)が、想像で描いたことがその名の由来となっている。
金色の牙・尻尾が3本ある点など実際の象とは異なるものの、見方によっては像に見える絶妙な姿が魅力的だ。
7. 神社なのにお寺の造り?「表門(仁王門)」
朱色を基調にした「表門」は東照宮に入る、最初の門で「仁王門」という別名を持つ。
神社でありながら8本の柱からなる八脚門(はっきゃくもん)の左右に、仁王像が安置された典型的なお寺の造りとなっているのが特徴。
これは神仏習合時代(しんふつしゅうごう/神道と仏教が融合した信仰形態)の名残と言われており、当時の貴重な建築物として重要文化財にも指定されている。
高さ4mの仁王像と、門の内側にある唐獅子(日中に伝わる神獣)の像も見逃さないように。
8. 200以上の彫刻が見どころの「東西回廊」
「東西回廊」は「陽明門」から左右に伸びる、全長220mのコの字型の回廊(屋根のある廊下)で、国宝に指定されている。
平和への願いを込めたと言われている「東西回廊」は、「透かし彫り(土台の板をくり抜いて模様を作る技法)」によって、壁面に彫られた200以上の大彫刻が魅力。
全ての彫刻が1枚の板から彫られていることが、職人の技術の高さを物語っている。
花鳥が飛び出してくるような迫力満点のデザインと、鮮やかな色使いに感動するはずだ。
9. 境内の半分にあたる数の彫刻が彫られた「御本社」
「御本社」は本殿・石の間・拝殿が一体化した、権現造り(ごんげんづくり)の建築物。
東照宮の中で最も重要な場所に位置付けられており、年内の祭典行事が行われていた。
江戸時代の建築技法を余すことなく注ぎ込まれた「御本社」は、日本有数の建築物として価値が高く、国宝にも指定されている。
境内の約半数にあたる2,468体の彫刻が本殿にあり、悪夢を食べるため平和を意味する獏(ばく)が多いことが特徴。
職人の技を尽くした彫刻の数々や豪華絢爛の装飾に圧倒されるだろう。
素敵な空間で絶品グルメをいただこう!日光東照宮周辺の人気飲食店3選
日光東照宮を観光したら、これから紹介する飲食店でランチやディナーを堪能しよう。
どの飲食店も料理が美味しいのはもちろん、空間造りも素晴らしく、五感でランチタイム・ディナータイムを楽しめるだろう。
1. 明治の館
世界遺産、日光東照宮から近い、明治時代に建てられた石造りの洋館レストラン。
元々は、蓄音機を日本にはじめて紹介したアメリカの貿易商F.W.ホーンの別荘として建造された。登録有形文化財。
一番人気は、「オムレツライス」。ケチャップ味の濃厚なチキンライスと、ふんわりトロ〜リとした卵、手間暇かけたデミグラスソースのハーモニーを楽しめる。
2. 日光金谷ホテル メインダイニングルーム
創業は1873年と現存する日本最古のリゾートホテルである「日光金谷ホテル」のレストラン。
2023年創業150周年を迎えた。1936年に本館を3階建てに改装した際に、当時のホテルロビーがメインダイニングルームに生まれ変わった。
柱頭彫刻や「迦陵頻伽(かりょうびんが)」と呼ばれる装飾品は古くからのもので、クラシカルな雰囲気の中で金谷ホテル伝統のフランス料理が味わえる。
3. 日光湯波巻 全 - ZEN
日光東照宮近くの日光街道沿いにある、古民家を改修した和モダンな佇まいの一軒。
料理の主役は、栃木県日光市名産の日光湯波でご飯と地元の食材を巻き込んだ日光湯波巻だ。
フレンチや和食の店で経験を積んだ若きオーナーシェフ斉藤直樹さんが、自らの目利きで厳選した前日光高原和牛やとちぎ和牛、旬の地場野菜などの食材を、日光湯波とのマリアージュで楽しませてくれる。
日光東照宮と合わせて訪れるべき栃木の世界遺産と温泉
「日光東照宮」に訪れたら、世界遺産「日光の社寺」に登録されている他の社寺も合わせて観光してほしい。
観光後は栃木の魅力のひとつである「鬼怒川温泉」に浸かってゆっくり過ごすのがお勧め。
1. 日光二荒山神社
日光二荒山神社は、日光連山の主峰・日光三山を神体山として祀る神社。
「日光の社寺」として世界遺産に登録。
福の神・縁結びのご利益でも知られる。
日光山内の入り口を飾る木造朱塗りの美しい橋「神橋」は、二荒山神社の建造物。世界遺産「日光の社寺」の玄関ともいえる橋になっている。
2. 日光山輪王寺
日光山輪王寺はお堂や塔、15の支院全体の総称である。日光開山の祖である勝道上人が四本龍寺を建てたのが始まり。
「日光の社寺」として世界遺産に登録されている。
「三仏堂」は日光山最大の規模を誇る木造建造物であり、千手観音・阿弥陀如来・馬頭観音の三体の仏像がまつられている。
3. 鬼怒川温泉
日光市の鬼怒川上流域にある鬼怒川温泉は関東有数の人気を誇る温泉地。
温泉の泉質は無味無臭で、癖のないアルカリ性単純温泉。肌に優しい柔らかなお湯はやけどや皮膚病に効果があるほか、胃腸の病気や疲労回復などにも効き目があると言われ、万人に人気がある。鬼怒川渓谷沿いの雄大な自然も人気の理由の一つで、新緑や紅葉、雪景色など1年を通して四季折々の絶景を堪能できる。
日光東照宮に関するよくある質問
Q
日光東照宮の紅葉の見頃は?
11月上旬から11月中旬です。
Q
日光東照宮は何が有名?
「眠り猫」・「三猿」・「陽明門」などが有名です。
Q
日光東照宮の名前の由来は?
東照大権現として徳川家康を日光に祀ったことに由来しています。
まとめ
日本が世界に誇る観光名所「日光東照宮」の見どころを紹介してきたが、いかがだっただろうか。
国宝や重要文化財が集結した伝統的な建造物や、芸術品の数々を堪能できる「日光東照宮」にぜひ一度訪れてほしい。
豪華で煌びやかな姿に魅力され、運気も自然と上がることだろう。
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