自然の荒々しさと美しさが共存する黒部峡谷の観光ガイド
日本有数の急流、黒部川の流れに削られ、深く切り立ったⅤ字峡谷「黒部峡谷」。
20世紀初頭まで人を寄せつけない秘境であったため、日本の秘境100選のひとつにも選ばれている。
トロッコ列車の車中から手つかずの大自然と四季折々の自然と迫力ある峡谷の共演を楽しめる。
自然の作り出す人知を超えた絶景と列車のゆったりとした乗り心地が魅力。
神秘的な観光スポット「黒部峡谷」を満喫できるように、この記事で外せない見どころやその魅力、アクセス方法やお勧めの観光シーズンなどを予習しておこう。
目次
黒部峡谷ってどんなところ?
3,000m級の山々が連なる北アルプス北部に位置する立山連峰と、後立連峰に挟まれた深いⅤ字谷、それが富山県の人気観光スポット「黒部峡谷」だ。
長さ86km、標高差3,000mを流れる急流「黒部川」によって削られて生まれた、深さ1500mに及ぶ峡谷で、その断崖絶壁の迫力に訪れた人は息を飲む。
黒部川沿いを走り抜けるトロッコ電車から、車窓に広がる四季折々の自然と荒々しい峡谷を眺めるというのが黒部峡谷観光の醍醐味。大自然を望める温泉地「宇奈月温泉」があるのも魅力のひとつ。
その険しさから人々を寄せつけず、秘境の地となっていた黒部峡谷に、トロッコ列車が走るようになったのは1923年。
豊富な水量と急流を利用した水力発電の施設を建設するため、資材を運搬する業務用の鉄道として開通した。
いくつも発電所が開設された後は、地元の人々の足として利用されていたが、観光客が利用するようになり、現在では観光列車として運航している。
黒部峡谷へのアクセス
富山観光の移動拠点「富山駅」から、黒部峡谷の玄関口である「宇奈月駅」へのアクセスを紹介する。
- 経路
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1. 「富山駅」から「あいの風とやま鉄道」に乗車し、「滑川」で下車
2. 「滑川」から富山地方鉄道本線に乗車して、「宇奈月温泉駅」で下車
3.「宇奈月温泉駅」から「宇奈月駅」までは徒歩約5分 - 所要時間
- 約2時間
黒部峡谷のお勧め観光シーズンは?
黒部峡谷を観光するなら、お勧めは秋。
凛と澄んだ秋の涼しい空気と紅葉した木々が、峡谷を鮮やかに彩る。
紅葉の赤や黄に色づいた鮮やかな木々と黒部川のエメラルドグリーンのコントラストも美しい。
絵画的に彩られた1500mのⅤ字峡を、トロッコ電車の車窓から眺めるというのは、黒部峡谷でしか味わえない体験。
紅葉の見頃は10月下旬~11月中旬ごろ。近くの黒部ダムの観光できる時期は11月末までなので、黒部エリアは紅葉シーズンにあわせて旅行するのがお勧め。
渓谷美を堪能するならココ!黒部峡谷の見どころ5選
「黒部峡谷」は基本的にトロッコ電車で移動し、各駅から歩いて周辺の観光スポットを散策する。
「黒部峡谷」の景色は車窓から眺めるのもロマンチックだが、降りて散策して、澄んだ空気と迫力を肌で感じるのも魅力的。
これから紹介する見どころは、数ある黒部峡谷の絶景ポイントの中から5つに厳選した、黒部峡谷の迫力が味わえるスポットだ。
印象的な写真が撮れたり、スリルと感動を味わえたりと、様々な体験ができるだろう。
黒部峡谷を訪れるなら、ぜひこの記事を参考にしてほしい。
1. 迫力ある光景が広がる「人喰岩」
トロッコ電車の終点「欅平駅」から徒歩5分程の場所にある、奥鐘山の岩壁を削って作られた歩道。
「人喰岩」の由来は、削られた岩壁が人を飲み込むように見えることから。
迫力ある写真を撮れるとして、有名なフォトスポットとなっている。
人喰岩の先には日中なら日帰り入浴も可能な「名剣温泉」があるのも魅力。
2. 激流が生み出す迫力を体感できる「猿飛峡」
黒部川本流で最も川幅が狭い「猿飛峡」。
昔、猿が飛び越えたことから命名されたといわれるほどの川幅の狭さ。川幅が狭い分、激流の迫力が味わえる、黒部峡谷を代表するスポット。
トロッコ電車の終点「欅平駅」から遊歩道を少し歩いた場所にある、「猿飛峡展望台」から猿飛峡の迫力ある景観を堪能しよう。
3. 渓谷美とスリルを同時に感じられる「奥鐘橋」
トロッコ電車の終点「欅平駅」から名剣温泉に向かう途中にある、黒部川本流に架かる朱色の橋が「奥鐘橋」。
橋の上からは上流側に新黒部川第三発電所を展望でき、奥鐘橋を渡った先には人喰岩がある。
奥鐘橋に立ち、34mの高さから急流を見下ろすスリルを味わいつつ、周囲の渓谷美をながめられるのが魅力。
4. 黒部峡谷ならではの写真を撮るならココ!「山彦橋・やまびこ遊歩道 」
トロッコ電車の始点「宇奈月駅」から延びた「やまびこ遊歩道」の途中に「旧山彦橋」がある。
かつては電車が走っていたが、今は整備され遊歩道となっており、そこから現在トロッコ列車が走る「新山彦橋」を眺められる。
渓谷の景色と2本の赤いアーチ橋の調和の取れた風景は、絵画のような美しさ。
電車の時間に合わせ、たくさんの人がカメラを構える人気のフォトスポットとなっている。
5. 1年中雪を見られる「黒部万年雪展望台」
トロッコ電車の鐘釣駅から徒歩3分の場所にあるのが「万年雪展望台」。
標高1969.9mの百貫山に降った雪が、雪崩によって堆積し、すべてが融けきる前に冬を迎えるため、1年中雪が見られる。
展望台から見て正面に、万年雪を眺望できるが、さすがに真夏には少なくなるので初夏までに訪れよう。
鐘釣駅は有人駅で、茶屋も営業している。万年雪展望台近くには温泉旅館も。
黒部峡谷の観光拠点に最適な「宇奈月温泉」
「黒部峡谷」の観光拠点には「宇奈月温泉」がピッタリ。
「黒部峡谷」の自然景観を楽しめる温泉地として、また日本有数の透明度を誇る美肌の湯として知られ、高い人気を誇っている。
「宇奈月温泉」は富山県でも随一の規模を持つ温泉地で、足湯や日帰り温泉施設もあり、気軽に温泉を楽しめる。
地元の食材を活かした郷土料理や、富山県で有名なブラックラーメンなど、富山ならではのグルメを味わえるのも、「宇奈月温泉」の大きな見どころと言える。
宇奈月温泉についてもっと知りたいなら、この記事も参考にしてほしい。
北アルプスが誇る絶景に出会える「立山黒部アルペンルート」
「黒部峡谷」を訪れるなら、同じく富山県が誇る観光スポット「立山黒部アルペンルート」にも足を延ばそう。
立山黒部アルペンルートは、3,000m級の山々が連なる北アルプスにある世界有数の山岳観光ルートだ。
ケーブルカー、ロープウェイ、トロリーバスなど、さまざまな乗り物を乗り継いで気軽に訪れられるので、体力には自信がない人も安心して自然を満喫できる。
夏でも気温が20℃以下という涼しさの中、高山植物や美しい池を眺めながら散策できる湿原「弥陀ヶ原」や、日本一の高さで有名な「黒部ダム」など神秘的で迫力満点の観光スポットがたくさんある。
特に「動く展望台」と言われる「立山ロープウェイ」からの、黒部湖や後立山連峰の眺めは絶景。
「立山黒部アルペンルート」についてもっと知りたくなったら、この記事も読んでほしい。
雄大な自然と産業遺跡を巡る「黒部宇奈月キャニオンルート」
「黒部宇奈月キャニオンルート」は、黒部峡谷鉄道の終点「欅平」と黒部ダムをトロッコ列車などで結ぶ、新たな観光ルート。
つまり、「黒部峡谷」と立山黒部アルペンルートという2大観光スポットを結ぶルートだ。
これまでは黒部ダムの管理用の輸送路で、「黒部ルート」と呼ばれており、一般人は原則として立入禁止だった。
工事用の乗り物に乗る非日常が味わえたり、20世紀前半の電源開発の歴史を感じられたり、上級登山者しか目にすることができなかった大自然の景観を望められたりするのが魅力。
ただ、誰でも観光できるわけではなく、旅行会社が主催するツアーに参加しなければいけない。
基本となるコースは宇奈月温泉~黒部ダム間の1泊2日。一般開放の開始日は2024年6月30日からだ。
黒部峡谷に関するよくある質問
Q
黒部峡谷から黒部立山アルペンルートまでのアクセスと所要時間は?
黒部峡谷の玄関口「宇奈月温泉駅」から黒部立山アルペンルートの入り口「立山」までは、富山地方鉄道を使って2時間30分程度です。
Q
黒部峡谷のトロッコ電車はどこからどこまで繋がっている?
「宇奈月駅」から「欅平駅」の全長20.1kmの区間が繋がっています。
まとめ
ここでは黒部峡谷の特徴と歴史、観光スポットや楽しみ方を紹介してきた。
黒部峡谷は、四季折々の景観と自然が生み出した峡谷の荒々しい美しさの共演、秘境らしい現実離れした雰囲気が魅力だ。
迫力ある大自然を味わいたいならぜひ、黒部峡谷を訪れてほしい。
富山には他にも、自然の雄大さを感じられる観光スポットがたくさんある。
富山についてももっと知りたいなら、この記事も併せて読もう。