「特別史跡」と「特別名勝」、国から二重に指定されている毛越寺には、平安時代の仏教建築物の礎石などの遺構が数多く残っており、当時は堂塔40、僧坊は500を数え、中尊寺を超えるほどの規模であったといわれている。浄土庭園もほぼ完全な状態で保存されており、およそ800年前の世界を感じることができる貴重な場所。
仏国土を地上に再現しようとした毛越寺の浄土庭園は、浄土式庭園の代表作。平安時代に2代当主藤原基衡が造営し、3代秀衡が完成させた。
庭園の中心にあるのが「大泉が池」で池のほぼ中央に勾玉の形に似た中島が作られている。中島に橋が架かっていた証として当時の橋杭が残存、宝物館に陳列されている。美しい海岸線を表している「洲浜」、断崖の姿を作り出している「築山」、荒磯の情景を表現している「出島石組と池中立石」、自然の景観を取り入れた作庭技法が随所に見てとれる。
また、毛越寺の遣水(池に水を引き入れるための水路)は、平安時代の唯一の遺構で全国的にも極めて珍しいもので、この遣水を舞台に毎年「曲水の宴」が開催されている。「曲水の宴」とは遣水に盃を浮かべ、流れに合わせて和歌を詠む、平安時代の優雅な歌遊びのこと。平安装束を身にまとった姿は古の時代へと誘ってくれる。
ポイント
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平泉町内で使用可能な音声ガイドは貸出料500円。毛越寺山門札所などで借りられる。
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4月中旬~11月初旬まで毛越寺山門前にガイドが常駐。ガイド時間は40分(有料・要予約)。
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毎年6~7月に「毛越寺あやめまつり」を開催。300種・3万株の花菖蒲が咲き誇る。
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松尾芭蕉、慈覚大師円仁ゆかりの寺「毛越寺、中尊寺、立石寺(山寺)、瑞巌寺」を廻る四寺廻廊で特別御朱印がもらえる。
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座禅、写経、法話が体験できる(要予約)。