鍵善良房 四条本店

300年以上前、江戸時代の享保年間に創業したと伝わる祇園の老舗甘味処。代表銘菓は、つるんとした喉越しと絶妙なコシが魅力の「くずきり」。葛は、奈良・大宇陀にある「森野吉野葛本舗」から取り寄せる最上質の吉野葛を厳選。葛を水で溶き、湯煎して冷水にとり、細く切るだけというシンプルな菓子ゆえに、素材の持ち味が生きた奥深い味わいが秀逸。波照間産黒糖で作る黒糖蜜のすっきりとしたコクのある甘味が、葛の風味をさらに引き立てている。

もう1つの名物が、菊の花をかたどった愛らしい「菊寿糖」。徳島県阿波市土成町から取り寄せる極上の和三盆糖を使った、口溶けなめらかな干菓子だ。江戸時代末期の元治元年(1864)の菓子型が残っていることから、少なくとも150年以上は続くロングセラー商品として愛されている。

長い歴史を感じさせる意匠が随所に散りばめられている、落ち着いた雰囲気の店内も素敵。祇園で愛され続けてきた老舗の甘味を、格調高い空間でゆったりと味わおう。