呉海自カレーだけじゃない、呉グルメの楽しみ方
明治時代(1868-1912)から長い歴史の中で、食文化も独自の発展を遂げ、ここにしかない名物料理を数多く生み出してきました。種類の多さだけでなく、ジャンルの幅広さも呉グルメの個性を際立たせています。
呉といえば「呉海自カレー」と思われがちですが、それだけではありません。呉のグルメ事情を語るうえで、外せないのが、呉海軍グルメ。呉海軍グルメとは呉鎮守府で建造または所属した艦艇で提供された料理や、旧日本海軍から伝わるレシピに基づき調理された料理です。呉海軍グルメ研究会では、市内飲食店との協力で、呉海軍グルメを通じて呉の魅力を国内外に広く発信しています。人気漫画「艦隊のシェフ」と呉海軍グルメ研究会とのコラボにより、市内9店舗で漫画に登場したメニューを提供するイベントも期間限定で開催されました。
長期の航海による病気予防や、艦内での数少ない楽しみである食事を如何に美味しくするかなど、研究や研鑽から生まれた海軍グルメの数々。ビタミン補給のためにグリーンピースをトッピングした戦艦大和の「オムライス」、海軍兵の健康のため当時は珍しかったジャガイモをマッシュポテトにして具材に使った給油艦隠戸の「ロールキャベツ」、無水調理で旨みを凝縮した戦艦浅間の「肉じゃが」など、普段から慣れ親しんだメニューでも、呉ではひと味もふた味も違うことを実感できるはずです。
海軍グルメ以外にも呉にはおいしいグルメがたくさんあります。コシの強い平打ち麺とコクのある甘酸っぱいスープが特徴で年中食べられる「呉冷麺」や、海軍工廠作業員が限られた時間で素早く食べられるように工夫したことがルーツの「細うどん」など、麺メニューも呉独特。甘めの味噌だれで鶏皮をトロトロになるまで煮込んだ「みそだき(鳥皮のみそ煮)」など、お酒にもご飯にも合う濃い味メニューも定番です。
また、瀬戸内海に面し、温暖な気候の呉市では、牡蠣をはじめとした新鮮な魚介類やミカンやレモン等の柑橘類を楽しむことができます。
さらに、甘いグルメも大充実。一般的な大判焼よりひと回り大きい生地の中に餡やクリームがぎっしり詰まった「びっくり饅頭」、楕円形の生地の中に隙間なく自家製クリームが入った味も見た目も独特な「メロンパン」、さっくりした生地と甘さ控えめのこし餡のバランスが絶妙で冷めても美味しい揚げまんじゅう「フライケーキ」など、呉っ子の定番おやつが揃います。
そして、夜の呉グルメといえば、屋台。市街地の蔵本通りには、夕暮れ時から屋台が現れ始め、赤提灯が灯ります。電気と上下水道が整備されている全国的にも珍しい屋台街は、ラーメンやおでんのほかイタリアンや創作料理などジャンル多彩なお店が並びます。広島県内唯一の屋台通りをハシゴしながら、ぶらりと食べ歩き・飲み歩きしてみてください。