【上高地の観光ガイド】美しく多様な自然景観を満喫できる景勝地
日本屈指の山岳景勝地として名高い「上高地」。
雄大な山々をはじめとする大自然を間近に見ながら、ハイキングや登山を楽しめる。
澄んだ空気と爽やかな景色も魅力のひとつだ。
この記事では「上高地」の見どころや魅力を中心に、各ハイキングコースについても詳しく紹介していく。
「上高地」の魅力を満喫するために、必要な情報が詰まったこの記事で予習していこう。
目次
上高地ってどんなところ?
長野県松本市に属する「上高地」は、通称「北アルプス」とも呼ばれる飛騨山脈南部、梓川上流にある景勝地。
「上高地」は国の特別名勝と特別天然記念物に指定されている。
両方に指定されている場所は珍しく、「上高地」以外では富山県の「黒部峡谷」くらいだろう。
そんな「上高地」の最大の魅力は、標高3,000m級の山々を間近に望む、雄大な自然の中でハイキングや登山ができること。
迫力ある山々の姿はもちろん、池や川などのバリエーション豊かな美しい自然景観を楽しめる。
その美しさは日本のみならず、世界からも高い評価を受けている。
「上高地」が世界的に有名になったのは、英国人宣教師であるウォルター・ウェストンの著作によるもの。
ウォルター・ウェストンが1896年に発表した著作「日本アルプス登山と探検」の中で、「上高地」を絶賛したことから世界中に知られるようになった。
気軽に楽しめるハイキングコースもあるため、アウトドア初心者でも安心して楽しめる。
上高地へのアクセス
長野観光の移動拠点となる「長野駅」を拠点に、「上高地」へのアクセスをご紹介。
割高にはなるものの、直行バスを利用すれば乗り換えなしでアクセスできるのでお勧めだ。
- 経路
- 「長野駅」から直行バスのさわやか信州号に乗車し、「上高地バスターミナル」で下車
- 所要時間
- 約3時間
上高地のお勧め観光シーズンは?
「上高地」を観光するなら、新緑の季節である5月〜6月がお勧めだ。
爽やかに生い茂る鮮やかな緑と青空の美しいコントラストが楽しめる。
7月〜8月と比べると観光客が少ないのもポイントで、ゆったりと「上高地」を観光できるはずだ。
5月〜6月でも朝と夕方は冷え込むので、服装には注意してほしい。
上高地を快適に観光するための服装
「上高地」では、時間や場所によって気温が大きく変化する。
そのため、伸縮性があって動きやすく、体温調節しやすい服装で訪れてほしい。
速乾性のあるインナーや長袖のシャツ、防寒着などはどの季節でも用意しておこう。
特に春と秋は1日の中で寒暖差が大きいので、フリースやマウンテンパーカー、ネックウォーマーや手袋などを準備しておくのがお勧めだ。
夏も天候によっては、肌寒さを感じることがある。
夏でもウィンドブレーカーや着替えられるシャツ、帽子などは用意しておこう。
上高地の月別最高気温と最低気温
「上高地」の月別の最高気温と最低気温は、下記の表のとおり。
上高地ビジターセンター(環境省)発表のデータから、2022年の平均値を算出したものだ。
服装を準備する上で、ぜひ参考にしてほしい。
月 | 最高気温 | 最低気温 |
---|---|---|
4月後半 | 13.7℃ | 2.2℃ |
5月後半 | 16.2℃ | 4.7℃ |
6月 | 20.0℃ | 10.0℃ |
7月 | 23.0℃ | 13.7℃ |
8月 | 21.7℃ | 15.4℃ |
9月 | 20.0℃ | 12.1℃ |
10月 | 12.5℃ | 3.6℃ |
11月前半 | 8.9℃ | -1.1℃ |
上高地を観光するなら絶対に外せない観光スポット4選
素晴らしい自然を楽しめるスポットが「上高地」にはたくさんある。ここでしか見られない絶景も満載だ。
同じ山や川、池でもスポットによって見え方が変わり、飽きるどころかどのスポットも引き込まれるような魅力がある。
魅力的なスポットが多い「上高地」の中でも、特に外せない観光スポットを厳選して紹介しよう。
1. 河童橋
河童橋はかつて、川の両岸から木材をせり出すように架けられた跳ね橋であった。
1910年に吊り橋となり、現在の橋は平成9年(1997)に架け替えられた5代目の吊り橋である。
幅3.1m、長さ36.6mのカラマツ製の吊り橋で、上高地のシンボルとなっている。
橋の上からは穂高連峰や、穂高連峰の中腹にある渓谷の岳沢などの絶景が広がる。
2. 大正池
1915年の焼岳の噴火によって梓川がせき止められてできた池。
エメラルドグリーンの湖面には、美しく上高地の山脈が映し出される。
水没した林は幻想的に立ち枯れており、神秘的な景観となっている。標高1490mに位置しており、ちょうど白樺の生育する標高で周囲には美しい白樺林が広がる。
晴れた日の穂高連峰を映し出した大正池の風景も美しいが、雨上がりの早朝に靄が立ちのぼる幻想的な様子や、夜の満天の星空観察もお勧めである。
3. 新穂高ロープウェイ
高山市の奥地、奥飛騨温泉郷・新穂高温泉にあるロープウェイ。
始点の新穂高温泉駅から終点の西穂高口駅まで、第1・第2ロープウェイを乗り継いで全長3,200mの空の旅を楽しめる。
標高2,156mの西穂高口駅に到着したら、駅屋上にある展望台へ。
そこでは西穂高岳、槍ヶ岳、笠ヶ岳などの北アルプスの山々が360度の大パノラマとなって目の前に。
その雄大な眺望は、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」に二つ星として掲載されたほどの絶景だ。
4. 明神池
針葉樹林に囲まれ、ひっそりと佇む上高地の明神池。「一之池」と「二之池」から形成される池に行くには梓川の左岸または右岸を通る2つのルートがあり、どちらも河童橋から池まで1時間程度と適度な散策コースになっている。
「鏡池」というかつての名の通り、澄み切った水面が周囲の景観を映し出す「一之池」。新緑や紅葉など季節によって移り変わる眺めを楽しめるだけでなく、時にはマガモやオシドリといった野鳥が泳ぐ姿を見ることもできる。
時間や体力に合わせて選べる上高地のハイキングコース
「上高地」には気軽に楽しめるハイキングコースだけでなく、本格的に楽しめるコースもある。
エリアごとに細かくいくつも用意されているので、自分の体力や経験に合わせてセレクトしよう。
とはいえ、定番は「大正池」から「河童橋」までのハイキングコース。
時間や体力に余裕があれば「河童橋」から先にある「河童橋・明神自然探勝道」と、さらにその先にある「奥上高地自然探勝道」にも挑戦してもらいたい。
これから紹介するハイキングコースのスタート地点となる「河童橋」から、最奥地の「徳沢」までは往復で4時間ほど。
これから紹介する内容を参考に、どのエリアをハイキングするのか決めてほしい。
ハイキング初心者でも楽しめる「自然研究路」
「大正池」から「河童橋」を繋ぐ「自然研究路」であれば、スニーカーでも問題なくハイキングができる。
整備されている道も多いので、ハイキング初心者でも楽しめる。
「大正池」から「河童橋」までのハイキングエリアにおける魅力は、四季折々で表情を変える雄大な自然にある。
河川や山々、湿原など異なる魅力を持つ景色に出会えるため、飽きることのない時間を過ごせるはずだ。
ここからは、「大正池」から「河童橋」までのエリアにある4つのコースを紹介しよう。
林間コース(大正池〜田代橋)
山々を眺めながら針葉樹林の中を歩く、「上高地」において定番とも言えるコースのひとつ。
コース内には湿原もあるが、基本的には林の中を歩く時間が多い。
自然の中にいる感覚を存分に味わえる魅力がある。コースの所要時間としては片道で40分ほど。
高低差も少ないので初心者にもお勧めしやすく、難易度は低めと言えるだろう。
梓川コース(大正池〜田代橋)
林間コースと並ぶ定番のコースで、所要時間は同じく片道で40分ほど。
比較的なだらかな道のりなので難易度は低く、林間コースよりも人は多い印象だ。
林の中を歩きながらも、随所に川が見えてくる。
水面にはカモがいることもあり、様々な姿の自然を見られるのが魅力だ。
梓川左岸コース(田代橋〜河童橋)
距離にして1.5km、所要時間は20分ほどだろう。
高低差が少なく、時間もかからないのでコースの難易度としては低めと言える。
カラマツの林が立ち並ぶ姿は圧巻で、山々を眺めながら気持ちの良い散策ができる魅力的なコースだ。
梓川右岸コース(田代橋〜河童橋)
所要時間は桂川左岸コースと同じく20分ほど。
距離も1.6kmほどなので、ほぼ変わらないと言って良いだろう。
「ウェストン碑」や湿原が見どころで、左岸よりもやや人気がある印象。
とはいえ、どちらの景色も楽しむために往復で違うコースを使うのがお勧めだ。
ハイキングもしっかり楽しみたい人にお勧めの「河童橋・明神自然探勝道」
「河童橋」から「明神」を繋ぐ「河童橋・明神自然探勝道」は、ハイキングシューズの使用が推奨されている。
「大正池」から「河童橋」までのエリアと比較すると、やや難易度は上がるだろう。
それだけにハイキング自体の楽しみも感じられるはずだ。
雰囲気のある林道はもちろん、四季折々の花々を見られるのも大きな魅力。
ここからは「河童橋」から「明神」までのエリアにある2つのコースを紹介していこう。
梓川左岸コース(河童橋〜明神)
距離は3kmほどで、所要時間にして60分。
自然を眺めたり休憩したりする時間を考えると、もう少しかかるだろう。
基本的に平坦で歩きやすい道ながらも、所々でなだらかな坂がある。
難易度は特別高いわけではないが、完全な初心者向けでもないのでしっかり準備をした上で、ペース配分も気をつけよう。
木々の中を歩く気持ちよさと木漏れ日の美しさが魅力のコースだ。
梓川右岸コース(河童橋〜明神)
左岸コースよりもやや距離が伸びて3.5kmほどになる。
所要時間は70分といったところ。
小さなアップダウンを繰り返す道のりになるので、難易度はやや高めと言える。
自身の体力や時間を考慮しつつ、余裕を持って望んでほしい。
より「桂川」に近づくので、川のせせらぎなど癒しの雰囲気が漂うのが魅力だ。
本格的なハイキングに挑戦できる「奥上高地自然探勝道」
「奥上高地自然探勝道」は「明神」から「徳沢」までを歩くコース。
道のり自体は平坦なものの、長距離のハイキングになるので体力に自信がない人にとっては厳しいコースになる。
距離は4km弱となり、所要時間は60分から70分ほど。休憩などを含めるとさらに時間はかかる。
走破するための体力作りだけでなく、持ち物や服装を充分に整えてから挑んでほしい。
道中で出会う人はかなり少なくなるため、ハイキングの雰囲気を満喫でき、自然景観もゆっくり楽しめるはずだ。
非日常的な時間を過ごせる上高地でお勧めの宿泊施設2選
綺麗な朝焼けや夕焼けなど、「上高地」に宿泊した人にしか見られない絶景がたくさんある。
そのため、「上高地」を満喫するなら最低でも1泊はしてほしい。
「上高地」の宿泊施設では、豊かな自然景観や絶景を存分に楽しめるだけでなく、地元の食材を活かしたグルメも味わえる。
趣向を凝らした客室も見どころのひとつで、日常生活ではできないような体験ができるはずだ。
「上高地」で宿泊するなら、ぜひこれから紹介するお勧めの宿泊施設を選んでほしい。
1. 上高地 ホテル白樺荘
日本有数の景勝地、上高地の中心的スポットである河童橋の目の前に建ち、バスターミナルからも徒歩5分。
大正池や明神池などのスポットにも程近く、上高地散策の基点として便利なロケーションの宿。天気のいい日には穂高連峰の美しい絶景が望める。
客室は窓一面に穂高連峰が広がる絶景の部屋や、和とモダンで洗練された部屋など利用シーンに合わせたさまざまなタイプを用意している。
2. 上高地帝国ホテル
日本初の本格的な山岳リゾートホテルとして1933年に開業。
赤い三角屋根と丸太小屋風の外観は当時から変わらず、扉の向こうにはホテルのシンボルであるマントルピースを中心に、木のぬくもりを感じる空間が広がっている。
レストランなどの施設も充実で、大自然に抱かれた優雅な滞在を楽しめる。
全74室あり、屋根の傾斜をそのまま天井のデザインに生かした山小屋風の客室からリビングルーム付きのスイートまで計7タイプ。
上高地に関するよくある質問
Q
上高地を観光するにはどれくらい時間がかかる?
散策するコースやスポットによりますが、定番のスポットだけを巡るなら1時間〜1時間30分。ハイキングを楽しむなら3時間〜4時間は見ておきましょう。
Q
上高地に宿泊施設はある?
観光スポットや公共の交通機関から近い場所に、宿泊施設がいくつもあります。
まとめ
この記事では「上高地」で見られる自然景観の魅力や、各ハイキングコースの所要時間や難易度などを紹介してきた。
初心者でも楽しめるコースから玄人向けの本格的なコースまで、自分の体力や時間に合わせたハイキングコースで、多様で美しい自然景観を楽しめるのが魅力だ。
「上高地」へ大自然を感じるために、ぜひ足を運んでほしい。
以下の記事では長野県の魅力的な観光スポットを厳選して紹介している。
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