【乳頭温泉郷の観光ガイド】日本の原風景の中で特別な体験を

【乳頭温泉郷の観光ガイド】日本の原風景の中で特別な体験を

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

秋田県と岩手県の県境にある秘湯「乳頭温泉郷」。
効能がそれぞれ異なる独自の源泉を持つ7つの温泉を、ひとつの温泉郷にいながら楽しめると温泉ファンに根強く愛されている。
山里の原風景のような雰囲気を味わいながら、周囲の森の深い緑や滝を眺めながら入浴できることも魅力のひとつだ。
この記事では「乳頭温泉郷」の魅力や楽しみ方、周辺の人気飲食店などをご紹介。
記事の内容を参考に、「乳頭温泉郷」の奥深い魅力を堪能しよう。

目次

乳頭温泉郷ってどんなところ?

秋田県と岩手県の県境近く、「乳頭山」のふもとにある自然に囲まれた秘湯「乳頭温泉郷」。
「温泉郷」の文字通り、1つの湯ではなく、それぞれ独自の源泉を持つ7つの湯が集まった温泉の楽園だ。
7つの湯は源泉が違うので、湯の色や香り、肌触りがそれぞれ違い、宿の雰囲気も異なる。
乳頭温泉郷で最古の歴史を誇る茅葺き屋根の「鶴の湯温泉」、最も豊富な湯量を誇る「黒湯温泉」、古き良き湯治場(温泉で病気療養するため滞在する宿)の風情を残している「山の薬湯」、滝を見ながら露天風呂に入れる「妙の湯温泉」、最も森林浴を楽しめる「蟹場温泉」小学校の廃校舎したノスタルジーな雰囲気が漂う「大釜温泉」、最も近代的な施設を備えている「休暇村乳頭温泉」というように、それぞれ異なる個性がある。
1つの小さな温泉郷なのに多種多様な湯が楽しめる不思議さが、温泉ファンを虜に。特徴の違う湯をまわる「湯めぐり」は、乳頭温泉郷の楽しみ方の1つ。
7つの湯は、すべて日帰り入浴も可能。
100年以上前の山里がそのまま現代に残っているような風景や、湯宿を囲むように広がる豊かな自然、露天風呂から見る絶景など、幽玄な風景も味わい深い。

秘境ならではの景色と風情を堪能しよう
秘境ならではの景色と風情を堪能しよう

乳頭温泉郷へのアクセス

ここでは、秋田県の空の玄関口「秋田空港」を起点とした「乳頭温泉郷」へのアクセスを紹介する。
「秋田空港」から「乳頭温泉郷」へは直通の乗合タクシー「秋田エアポートライナー 乳頭号」が運航されている。
「タクシー」という名前ではあるが、小型のマイクロバスをイメージしてもらえば良い。事前予約が必要であることに注意してほしい。

経路
1. 秋田空港から乗合タクシー「秋田エアポートライナー 乳頭号」乗車
2. 「乳頭温泉地区」下車
所要時間
約2時間10分

乳頭温泉郷のお勧め観光シーズンは?

季節に応じて彩りを変える乳頭温泉郷は、いつ来ても絶景と出会えるが、お勧めの季節は秋と冬。
10月中旬から下旬にかけては紅葉に彩られた温泉郷の風景は、特に日本の原風景らしく趣深い。
赤やオレンジに染まった山々を見ながら入る露天風呂はまた格別。
雪深い土地、秋田ならではの風景が楽しみたいなら冬もお勧め。
一面を真っ白に覆う雪景色を眺めながら温かい湯につかる贅沢を味わえる。

紅葉に染まる山々を見ながら入る露天風呂は格別だ
紅葉に染まる山々を見ながら入る露天風呂は格別だ
秘境で入る雪見風呂も捨て難い
秘境で入る雪見風呂も捨て難い

乳頭温泉郷の奥深い魅力を堪能できる3つの楽しみ方

ここでは「乳頭温泉郷」の魅力を満喫するためにチャレンジして欲しい、3つの楽しみ方を紹介する。
秘湯ならではの景観と雰囲気、7つの湯をめぐる「はしご湯」、ご当地グルメなど、ここでしか体験できないことも多い。
その奥深い魅力を堪能するためにも、ぜひこれから紹介する楽しみ方を参考にして欲しい。

1. 100年を超える歴史を持つ湯治場の風情と美しい自然景観を楽しむ

「乳頭温泉郷」の魅力は、なんといっても100年以上昔の湯治場がそのまま残されているようなその雰囲気。
温泉の多い日本では、古くから病気療養のために温泉に長期滞在する、湯治という文化があった。
食料などを持参して自炊しながら、一定期間生活するための湯治場が設けられていた。
現在ではその数が激減し、湯治場の雰囲気を味わえる場所は少ない。
だからこそ、「乳頭温泉郷」の茅葺き屋根の湯宿が並ぶ風景は、ここでしか見られないといっても過言ではない。
湯宿を囲むように広がる豊かな自然、露天風呂から見る絶景も魅力。
ブナ林に囲まれた露天風呂や、渓流や滝を望みつつ入浴できる湯殿など、大自然を眼前に入浴できる体験は秘湯ならではだ。

湯治場が残る雰囲気もゆっくり堪能してほしい
湯治場が残る雰囲気もゆっくり堪能してほしい
周囲の豊な自然景観も露天風呂からじっくり眺めてみよう
周囲の豊な自然景観も露天風呂からじっくり眺めてみよう

2. はしご湯で7つの温泉の違いを楽しむ

7つの源泉があり、それぞれ湯の色や香り、肌触りがそれぞれ違う「乳頭温泉郷」。
それらの湯を巡り、温泉に入り比べることを「はしご湯」と呼ぶ。
はしご湯をすれば、湯の違い、湯宿の雰囲気の違い、それぞれの湯の景観を味わえる。
ひとつの温泉郷にいながら、源泉の違いに驚いたり、自分のお気に入りの湯に出会えたりできる。
ただ、1日で泉質が異なる温泉のはしご湯は、体に負担のかかることを忘れないでほしい。
7つすべての湯を味わいたいと思うかもしれないが、少しでも疲れを感じたら、休憩したり、水分補給をしたり、入る湯を厳選したりしながら体調に気をつけて楽しんでほしい。
はしご湯をするなら宿泊者限定の「湯めぐり帖」がお勧め。7軒すべての湯にわずか1,800円で日帰り入浴できるお得なチケット。
7軒いずれかの宿泊者だけに販売されており、購入者は乳頭温泉郷を循環するシャトルバスにも乗車できる。

宿泊者限定の「湯めぐり帖」を手に入れて、はしご湯にチャレンジしてみよう
宿泊者限定の「湯めぐり帖」を手に入れて、はしご湯にチャレンジしてみよう

3. 秋田の名物グルメを味わう

乳頭温泉郷では温泉と絶景だけでなく、ここでしか味わえないグルメも楽しもう。
宿泊すれば、それぞれの宿が秋田の食材を活かし、趣向を凝らした郷土料理でもてなしてくれる。
秋田の食材と言えば大きななめこ、大根和え、ぜんまい炒め、など山菜を活かしたものが多い。
いぶした大根を漬物にした秋田名物「いぶりがっこ」は有名。
岩魚を囲炉裏で炭火焼してくれる宿もある。
温泉たまごも販売されており、安価で気軽に食べられるので、はしご湯の途中、小腹が空いたらぜひ試してほしい。
黒々とした卵に驚くかもしれないが、殻をむくと、淡い肌色でピカピカとしており、塩をかけて食べるとほのかに口の中に温泉の香りが広がる。

温泉卵のイメージ
温泉卵のイメージ

迷ったらココ!乳頭温泉郷でお勧めの温泉3選

乳頭温泉郷には7つの温泉があるが、滞在期間によっては回りきれないこともあるだろう。
そんな時はこれから紹介する、3つの温泉に絞って楽しんでほしい。
これから紹介する3つの温泉は、古い湯治場の雰囲気、大自然に囲まれた景観、湯量と効能をたっぷり味わえるという、乳頭温泉郷の魅力が凝縮された宿。
日帰り入浴だけでも利用可能だが、もちろん宿泊も可能だ。

1. 鶴の湯温泉

乳頭温泉郷のなかでも特に人気の高い温泉宿。
人里離れた山奥にあり、まるで武士の隠れ里のようなたたずまい。
それもそのはず、ここはかつての秋田藩主の湯治場であり、現在客室となっている茅葺屋根の長屋は、2代目藩主佐竹義隆が湯治に訪れた際に、警護の従者の詰め所として使われたもの。
乳頭温泉郷を代表する景観として名高いメインの露天風呂は混浴。女性は勇気が必要だが、にごり湯なので、湯に入ってしまえば気にならない。

温泉ファンあこがれの山間の秘湯
温泉ファンあこがれの山間の秘湯

2. 黒湯温泉

最も奥地にある「黒湯温泉」。
1674年頃に発見されたと言われる、350年以上の歴史を持つ湯で、宿泊はもちろん日帰り入浴も可能。
先達川の上流という立地でまわりをブナの林に囲まれているため、源泉と山の静寂が味わえる。
2つの源泉があり、湯量の豊富さは乳頭温泉郷随一と言われている。露天風呂と内湯があり、歴史を感じさせる「打たせ湯」も名物となっている。

乳頭温泉郷の最奥、350年以上前の湯治場の雰囲気を伝える「黒湯温泉」
乳頭温泉郷の最奥、350年以上前の湯治場の雰囲気を伝える「黒湯温泉」

3. 休暇村乳頭温泉郷

乳頭温泉郷の中で、最も近代的な施設を備えているのが「休暇村乳頭温泉」。
近年リニューアルされ、歴史ある温泉郷にありながら便利で清潔感にあふれ、現代的な温泉施設だ。
温泉は、切傷、火傷などに効果のある赤茶色で少しぬるめの炭酸水素塩泉「乳頭の湯」と、高血圧、動脈硬化などに効果のある乳白色で少し熱めの硫黄泉「田沢湖高原の湯」。
2種類の源泉掛け流しの天然温泉がある。

歴史と確かな泉質は感じつつ、乳頭温泉郷で最も近代的な「休暇村乳頭温泉郷」
歴史と確かな泉質は感じつつ、乳頭温泉郷で最も近代的な「休暇村乳頭温泉郷」

乳頭温泉郷周辺の人気飲食店3選

乳頭温泉郷から少し足を延ばせば、話題のグルメスポットで食事ができる。
山菜や川魚を使った料理やそば、味の染みたおでんなど、北国の旅人のお腹と心を温める優しい滋養あふれるグルメの数々。
温泉と合わせて、これから紹介する人気飲食店も巡って、グルメも満喫しよう。

1. 仙岩峠の茶屋 田沢湖本店

秋田県と岩手県との県境付近の有名な「仙岩トンネル」を抜けた先に、ドライブイン「仙岩峠の茶屋 田沢湖本店」がある。
1966年の創業以来、峠を往来する旅人の休憩所として愛されてきた歴史あるドライブインだ。
ラーメンやそば、うどんといった麺類、定食に丼もの、カレーライスといったドライブイン定番の食事メニューも充実。

名物「甘口おでん」で旅人に愛され続ける、歴史あるドライブイン
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2. お食事処 庵

乳頭温泉郷に佇む温泉宿、鶴の湯別館「山の宿」内の「お食事処 庵」では、囲炉裏を囲んで食事を楽しめる。
人気メニューは岩魚の塩焼き、山の芋鍋など。
山の芋鍋は、乳頭温泉郷のある田沢湖地区の郷土料理で、粘り気の強い「山の芋」で作った団子と野菜がたくさん入った味噌仕立ての鍋だ。

歴史ある「乳頭温泉郷」の郷土料理が楽しめる食事処
歴史ある「乳頭温泉郷」の郷土料理が楽しめる食事処

3. そば五郎 田沢湖駅前店

田沢湖駅前に、旧家を利用して作られた物産館「田沢湖市(たざわこいち)」。
ここは旧家の風情が漂うレトロな雰囲気の物産館で、地元の農産物や特産物、地酒などが売られている。
その中に、席数20席程度のこじんまりとした日本そば専門店がある。それが「十割そば処 そば五郎」だ。その名の通り、十割そばが一押しメニュー。

レトロな旧家の片隅で、のど越しつるつる本格十割そば
レトロな旧家の片隅で、のど越しつるつる本格十割そば

乳頭温泉郷の周辺観光スポット3選

乳頭温泉郷も自然あふれる土地であるが、周辺には他にも雄大な自然を満喫できるスポットがたくさんある。
美しい湖や渓谷など、自然の作り出した絶景を1度訪れて自分の目で見てほしい。その迫力に圧倒されること間違いなしだ。

1. 田沢湖

日本で最も深い423.4mの水深を誇る湖。
息を呑むほど美しいコバルトブルーの湖面を持つ湖は、日本百景にも選ばれる秋田県の景勝地だ。
2022年には、田沢湖にのぼる月が日本百名月に認定され、更なる魅力がプラスした。夕方には茜色、日暮れには紫色と時間によって空の色と映す湖面は一見の価値あり。

コバルトブルーの湖面が美しい日本一の水深を誇る湖
コバルトブルーの湖面が美しい日本一の水深を誇る湖

2. 抱返り渓谷

抱返り渓谷(だきがえりけいこく)は田沢湖と角館を流れる玉川中流に沿って続く全長10kmの渓谷。
昔は人同士がすれ違う時に、お互い抱きかかえるようにしなければ通れなかったほど、狭く険しい山道だったことから名づけられたと言われている。

新緑と紅葉に彩られる渓谷美に感動必至
新緑と紅葉に彩られる渓谷美に感動必至

3. 漢槎宮(浮木神社)

1769年、秋田藩士の俳人・益戸滄洲によって命名されたと伝わる神社。
流れ着いた大木である浮木を祀ったといわれることから、「浮木神社」とも呼ばれている。
湖に張り出すよう立ち、少し離れた場所からみると、湖に神殿が浮いているような神秘的な光景に出会える。
白木造りの社殿、青く澄んだ湖水、社殿を囲む豊かな緑が織りなすコントラストは、見る者の心を魅了する風景だ。

たつこ姫伝説の辰子を祀る、湖畔に佇む神秘の神社
たつこ姫伝説の辰子を祀る、湖畔に佇む神秘の神社

乳頭温泉郷に関するよくある質問

Q

JR秋田駅から乳頭温泉郷までのアクセスは?

A

秋田新幹線こまちでJR「田沢湖駅」下車後、駅前バスロータリーから羽後交通バス乳頭線乳頭温泉行きに乗り40~50分程です。

Q

乳頭温泉郷にある7つの宿の名前は?

A

「鶴の湯温泉」「黒湯温泉」「山の薬湯」「妙の湯温泉」「蟹場温泉」「大釜温泉」「休暇村乳頭温泉」です。

まとめ

この記事では「乳頭温泉郷」の魅力や楽しみ方、お勧めの温泉などを紹介してきた。
秋田を観光する予定があれば、秘湯ならではの体験ができる「乳頭温泉郷」にも、ぜひ足を運んでみてほしい。
非日常的な空間の中で、特別な時間を過ごせるだろう。
秋田には他にも魅力的なスポットが多いので、定番観光スポットを紹介している、
こちらの記事も合わせて参考にしてほしい。