原爆の被害と恐ろしさを学び・感じられる【広島平和記念資料館の観光ガイド】

原爆の被害と恐ろしさを学び・感じられる【広島平和記念資料館の観光ガイド】

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

広島平和記念資料館」は、原子爆弾による生々しい惨状・被害を資料や写真によって伝えるスポットだ。
世界で初めて、そして唯一原爆が投下された日本だからこそ伝えられる歴史に触れられるのが特徴で、近年は外国人観光客も増えている。
この記事では、「広島平和記念資料館」にどのような展示品があり、何が体験できるのかを具体的に説明していく。
最後まで読めば、「広島平和記念資料館」の存在意義がわかり、原爆被害や核兵器を身近に感じるために同資料館へ訪れようと思うだろう。

目次

広島平和記念資料館ってどんなところ?

1945年8月6日に世界で初めて原子爆弾が投下された広島市。
周囲の建造物は一瞬にして全壊し、尊い命が無差別に奪われた。
「広島平和記念資料館」は、そんな原爆の惨状を伝える目的で「広島平和記念公園」の敷地内に設立された施設だ。
重要文化財の指定を受けた”本館”と”東館”からなっており、原爆投下前の広島市の様子、原爆投下の歴史や被爆犠牲者の遺品などに関する資料・写真が展示されている。
館内を回れば、被爆当日に広島で何が起こったのかを疑似的に体験でき、改めて核兵器・戦争の恐ろしさを学び感じられるだろう。
過去にはロックバンド・レッドツェッペリンやウクライナのゼレンスキー大統領(2024年2月現在)といった、各国の首脳や世界的スターも訪れて、追悼の意・平和へのメッセージを残している。

広島平和記念資料館の本館
広島平和記念資料館の本館

広島平和記念資料館へのアクセス

広島観光の移動拠点である「広島駅」を起点とした「広島平和記念資料館」へのアクセスを紹介する。
様々な方法で行けるが、最も一般的な路面電車・路線バスの2つから選ぶのがお勧めだ。
なお、近くにある「原爆ドーム」には「広島平和記念資料館」から、徒歩約8分を目安に考えてほしい。

路面電車の場合

経路
1.「JR広島駅」の南口バスのりばから、広島バス24号(吉島)線「吉島営業所」もしくは「吉島病院」行に乗車し、「平和記念公園駅」で下車
2.「平和記念公園駅」から徒歩数分で「広島平和記念資料館」に到着
所要時間
約20分

路線バスの場合

経路
1.「広島駅」の新幹線口「めいぷる~ぷ」のりばから、観光循環バス「ひろしまめいぷる~ぷ」・オレンジルートに乗車し、バス停「平和公園前」で下車 ※グリーン・レモンルートでも可
2. 「平和公園前」から徒歩数分で「広島平和記念資料館」に到着
所要時間
約20分

広島平和記念資料館の営業時間と入場料

広島平和記念資料館の営業時間と入場料は、以下の通りだ。
時期によって閉館時間が異なるため、注意してほしい。

開館時間
・3月~7月 8:30~18:00
・8月 8:30~19:00(8月5〜6日は20:00まで)
・9月~11月 8:30~18:00
・12月~2月 8:30~17:00
入場料(常設展示)
・大人(大学生以上):200円
・高校生:100円
・中学生以下無料

広島平和記念資料館の常設展示を構成する6つのコーナー

「広島平和記念資料館」は、常設展示による6つのコーナーで基本的に構成されている。
それぞれのコーナーには何が展示され、どんな体験ができるかを紹介していこう。

1. 原爆被害の全体像・概要を伝える「導入展示」

東館3Fから始まる「導入展示」では、原爆投下前から投下、そして投下直後の広島市の様子を紹介する複製写真や模型などの資料が展示されている。
原爆被害の全体像や、短時間で被爆の経緯および脅威を感じ取ってもらうために、概要を中心に説明されているのが特徴だ。
また本館に入る前に、平和への取り組みや原爆症に苦しむ人々の生涯といった、直接的な被害以外の視点からも原爆を考えられるような工夫も凝らしている。
特に被爆後の荒廃した市街地の映像をCGで投影した「ホワイトパノラマ」は、原爆の威力がまじまじと伝わるので注目してほしい。

現代の広島市の街並みを目に焼き付けてから訪れてみよう
現代の広島市の街並みを目に焼き付けてから訪れてみよう

2. 原爆による惨状をリアルに感じられる「8月6日のヒロシマ」

廊下を渡って移動すると、ひとりの少女の写真が出迎える本館エントランスに入る。
本館は被爆の惨状や核兵器の非人道性を伝え、現在も向き合うべき問題だと認識させる役割を持つ。
「8月6日のヒロシマ」では、最初に「8月6日の惨状」のセクションで、原爆によって倒壊した街や人々の衣服に、救護所の惨状といった写真や資料が展示されている。
また続く「放射線による被害」のセクションにおいては、原爆による放射線が人体に及ぼした影響、被爆者が抱える健康問題や差別などを紹介している。
直視をためらうほど、原爆による負傷や頭髪が抜けた痛々しい姿の写真も多く、リアルで悲しい実情を感じられるのが特徴。

寄贈された被爆者の遺品も多数展示されている
広島平和記念資料館提供 寄贈された被爆者の遺品も多数展示されている

3. 遺族の感情に触れられる「被爆者」

「被爆者」では、原爆で命を落とした人たちが身につけていた遺品や、残した手記・絵画を大切に保管し、本人の写真と寄贈した遺族の言葉を添えて展示されている。
ボロボロになった遺品、遺族のやるせない悲しみ・怒りに触れることで、今までとは異なる感情も湧き上がるだろう。
セクション「魂の叫び」にある、「三輪車、鉄かぶと」・「三人の中学生の遺品」らは、原爆を伝える貴重な資料なので、見てほしい。
また、「生きる」のセクションは、家族や友人を失った被爆者が、どのように生きてきたかを紹介している。
その中でも、「N家の崩壊」や「一人となって―原爆孤老―」が印象的だ。

被爆者一人ひとりの声に焦点を当てた展示「魂の叫び」
広島平和記念資料館提供 被爆者一人ひとりの声に焦点を当てた展示「魂の叫び」

4. 平和記念公園・資料館の歴史を振り返る「ギャラリー」

常設展示の折り返し地点にあたる「ギャラリー」には、「平和記念公園」の設計・建設にまつわる写真・資料が展示されている。
ここまでは重い内容が続いたが、同コーナーは「広島平和記念館資料館」自体の歴史を振り返っており、外光によって室内が比較的明るくなっているのも特徴。
そのため、窓の外を見ながら一旦気持ちを落ち着かせても良いだろう。
さらに進んで行くと本館の入口に戻るのだが、少女の写真が大人の女性に姿を変えており、原爆の残酷で卑劣な有り様をここでも鑑賞者に伝えている。

広島平和記念館資料館だけでなく、平和記念公園の歴史を振り返れる
広島平和記念館資料館だけでなく、平和記念公園の歴史を振り返れる

5. 原爆の歴史と現状がわかる「核兵器の危険性」

再び廊下を渡り、東館に戻ると「核兵器の危険性」のコーナーにつながる。
同コーナーでは、以下に関する資料が主に展示されている。

  • 原爆が研究開発された背景
  • 広島(日本)への原爆投下に至った経緯
  • 原爆の仕組みと脅威
  • 核兵器開発の現状と世界の動向
  • 核兵器の廃絶へ向けた活動

設置された「メディアテーブル(タッチパネル式の大型情報検索装置)」からも、上記の内容を検索して学ぶことも可能だ。
これまで見てきた内容の再確認や、気になる事柄の深掘りをすると良いだろう。

核兵器の歴史と現状への理解も深められる
核兵器の歴史と現状への理解も深められる

6. 街の歴史と復興への歩みがわかる「広島の歩み」

最後の「広島の歩み」では、城下町として形成された広島が軍都になっていく歴史を振り返り、戦前・戦時下での生活と暮らしの説明がされている。
また、被爆の混乱からの復興への歩み、行政・市民を通じた世界平和を訴える様々な取り組み・運動の概要が記載されたパネルや公文書の展示もある。
同コーナーにも「メディアテーブル」が、設置されているので活用すると良い。
最初の「導入展示」から最後の「広島の歩み」まで、見どころ(考えさせられる・衝撃的な内容)が多い「広島平和記念資料館」。
そのため、全ての展示と真剣に向き合うのは精神的にややハードだと伝えておきたい。

広島の歴史の知った上で市街地を散策すると、これまでとは異なる印象を受けるはずだ
広島の歴史の知った上で市街地を散策すると、これまでとは異なる印象を受けるはずだ

悲惨な歴史を学び・感じられる平和記念公園も巡ってみよう

「平和記念公園」は、人類の永続的な平和を願い訴え、惨劇を繰り返さないことを目的に整備が進み、園内の施設が建設された。
爆心地周辺に位置し、いまも被爆犠牲者の追悼と世界平和を祈念する象徴的な場所となっている。
「平和記念公園」には「広島平和記念資料館」のほか、これから紹介する「原爆ドーム」や「爆死没者慰霊碑」の記念碑などが設置されている。
「広島平和記念資料館」と合わせて巡ると、惨禍な歴史を深く感じられるので、ぜひ足を運んでほしい。

1. 原爆ドーム

「原爆ドーム」は、人類史上初めて投下された原子爆弾(核兵器)による惨禍の実情を、現代および未来に伝える貴重な建造物。
1996年には世界遺産に登録され、核兵器の廃絶と恒久的な世界平和を求め、誓うためのシンボルにもなっている。
当時のままの状態で残されたボロボロの外壁やむき出しの鉄骨からは、悲惨な歴史がひしひしと伝わる。
内部への立ち入りはできないが、スマホを使用すれば360度ビューで内側の様子を見られるので、訪れた際は活用してほしい。

日本が被爆した当時の姿を現代に伝える貴重な建物。平和記念公園には平和の鐘が設置されている
日本が被爆した当時の姿を現代に伝える貴重な建物。平和記念公園には平和の鐘が設置されている

2. 原爆死没者慰霊碑

原爆で全壊した広島を平和都市として再建を祈願し、設置された石碑が「原爆死没者慰霊碑(公式名:広島平和都市記念碑)」である。
埴輪(はにわ)の家型をした屋根が特徴で、「原爆犠牲者の霊を雨露から守りたい」という想いが込められている。
石碑に刻まれた「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」の言葉にも注目してほしい。
この碑文は真の世界平和の実現を祈願しており、外国人にも正確に意味が伝わるように、多言語(英語・ハングル・中国語(簡体字)など)の説明板も設置されている。

特徴的な屋根の形は、原爆犠牲者の霊を雨露から守れるように作られた
特徴的な屋根の形は、原爆犠牲者の霊を雨露から守れるように作られた

原爆の惨状をより深く知りたいなら「長崎原爆資料館」へ

1945年8月9日(広島被爆から3日後)に、長崎県にも原爆が落とされた歴史があることを決して忘れてはならない。
「広島平和記念資料館」と同様に、長崎にも核兵器のない世界を目指して、様々な展示を行う「長崎原爆資料館」が存在する。
同資料館でも原爆の凄惨を筆頭に、原爆投下前後の長崎の生活・被害の度合いに関わる写真・資料・模型らをストーリー性が感じられるように紹介している。
入口にある原爆投下時刻で時が止まった「11時2分の時計」や、長崎に投下された実物大の原爆模型の「ファットマン(長崎型原爆)」などが印象的だ。
また、原爆映像や被爆者の衝撃ビデオも上映しており、長崎原爆の全体像を学べるのも特徴。
館内には、約2万5千冊の原爆・平和に関する文献や新聞記事を所蔵する図書館もある。
原爆や戦争の歴史を深く調べられるので、ぜひ「長崎原爆資料館」にも足を運んでほしい。

1945年8月9日の長崎の惨状。原爆の脅威を学び、核兵器の廃絶と平和を願う
1945年8月9日の長崎の惨状。原爆の脅威を学び、核兵器の廃絶と平和を願う

広島平和記念資料館に関するよくある質問

Q

広島平和記念資料館はどれくらいで回れますか?

A

1時間から1時間30分を目安に考えると良いでしょう。

Q

広島平和記念資料館が出来た理由は?

A

広島に投下された原爆の惨劇を世界・後世に伝える目的で設立されました。

まとめ

「広島平和記念資料館」の概要から常設展示の内容を中心に紹介してきた。
原爆の投下から約79年が経過した現在も「広島平和記念資料館」では、その惨劇を直接的に学び体験できる。
生まれた年代や国籍、環境など置かれた状況は人それぞれだが、被爆の実相に触れれば何かしら感じるものがあるはずだ。
平和や核兵器について考えるきっかけにもなるので、「広島平和記念資料館」に訪れ、忘れてはならない歴史に触れてほしい。
こちらの記事では、グルメや観光名所といった広島旅行に役に立つ情報を厳選してまとめているので、合わせて読めば参考になるだろう。