日本遺産「桑都物語」の魅力を満喫!高尾山1泊2日モデルコース
「高尾山を登山した後、周辺地域を観光したいけど、どこに行けばいいかわからない」という方も少なくないはずだ。
そこで、この記事では高尾山をメインに、高尾山が位置する八王子市の日本遺産の構成文化財を巡る1泊2日のモデルコースを紹介しよう。
記事の内容を参考に観光すれば、まだ知らない東京の魅力に出会えるはずだ。
日本遺産「桑都物語」とは
モデルコースを楽しむ前に、日本遺産と日本遺産に認定された「霊気満山(れいきまんざん) 高尾山 ~人々の祈りが紡ぐ桑都(そうと)物語~」を知っておこう。
日本遺産とは、地域の歴史的な魅力と特色を通じて、文化・伝統を語るストーリーを文化庁が選定する制度のこと。
八王子市では、高尾山の豊かな自然と江戸時代に「桑都」と呼ばれた文化が持つ「桑都物語」が日本遺産として認定されている。
構成文化財には、高尾山をはじめ「八王子城跡」や「八王子神社」、「八王子芸妓」など有形・無形の文化財が指定。
「桑都物語」の魅力を満喫してもらうために、八王子の歴史を簡単に紹介しよう。
桑都物語を満喫するなら知っておきたい八王子の歴史
桑都物語は戦国時代(1467年〜1615年)に、関東地方を治めていた北条家の武将「北条氏照(ほうじょう うじてる)」が山城を築いたところから始まる。
奈良時代(710年〜784年)に開山した高尾山を要塞として見立て、侵略から守るための要衝に「八王子城」を築城。
戦の神「飯縄大権現(いづなだいごんげん)」を本尊とする「髙尾山薬王院」が位置する高尾山を手厚く庇護していた。
城下町として八王子は整備され、絹産業によって発展。国内で唯一「桑都」と称されるように。
江戸時代には甲州街道で最大の宿場町を形成し、周辺から大量の生糸が集められ、明治時代(1868年〜1912年)には「絹の道」を通って、横浜へ出荷していた。
その後は「織物のまち」として栄え、商人たちの社交場として料亭ができ、芸者文化が芽生える。
八王子が発展する土台となった絹産業は、髙尾山薬王院への信仰と深く結びついており、養蚕農家は大切な蚕を守るために「蚕守」の護符を髙尾山薬王院に求めた。
そして、その見返りとして杉の苗木を奉納してきた。
城下町から宿場町へと発展し、育んできた独自の信仰・文化・歴史を受け継ぐストーリーが「桑都物語」だ。
モデルコース1日目:高尾山の自然と信仰を感じる旅へ
前置きが長くなってしまったが、八王子が持つ独自の伝統文化・歴史・信仰を巡るモデルコースをスタートしよう。
1日目は日本遺産の構成文化財である高尾山に登り、その豊かなと自然と信仰を感じられるスポットを巡る。
9:00 京王高尾山口駅からスタート
モデルコースのスタート地点は、高尾山の玄関口となる「京王高尾山口駅」。
京王高尾山口駅から歩いて、数分で6号路の入り口に到着する。
9:10 高尾山の6号路で豊かな自然と信仰に触れる
6号路はケーブルカー「清滝駅」の左側の舗装道路から入っていく。
6号路はその他の登山コースと比較すると、難易度は高く、山頂までトイレやお店がないため、しっかりと登山の準備をしておこう。
小川沿いを登るコースで舗装路もほとんどなく、足場が悪い場所が続くが、それだけに高尾山の豊かな自然を満喫できる。
道中には「洗心七福神」「岩屋大師」、髙尾山薬王院の修験者の水行道場となっている「琵琶滝」など、信仰を感じられるスポットが多い。琵琶滝は日本遺産「桑都物語」の構成文化財にも指定されている。
高尾山が霊山であることを感じつつ、山頂まで登っていこう。
11:10 山頂の絶景とランチを楽しむ
山頂に辿り着いたら、休憩しつつ展望台からの眺めを満喫しよう。
山頂にはいくつかの茶屋があり、そばをはじめとする名物グルメを味わえる。
お勧めは「曙亭」の「とろろそば」と「なめこそば」。高尾山の名物グルメをランチにいただこう。
12:10 高尾山の1号路で下山
下山は見どころもお店も多く、舗装路も多い1号路で。
山頂から30分ほど1号路を下っていくと、髙尾山薬王院に到着。
1号路には日本遺産の構成文化財である、「高尾山のスギ」も点在しているので、見逃さないように。
12:40 髙尾山薬王院で八王子に根付く信仰を感じる
日本遺産の構成文化財である「髙尾山薬王院」は、山腹に位置する。
不動明王の化身である飯縄大権現が御本尊で、そのお供である天狗が住む山と言われ、境内には天狗の像が多数点在する。
石車を回すと身を清められる「六根清浄石車」、大きな石の輪をくぐり、奥にある大錫杖を鳴らすと願いが叶うとされる「願叶輪潜」など、さまざまなご利益を授かれるスポットもあるので、境内をゆっくり散策してみよう。
13:40 髙尾山薬王院の入り口「高尾山薬王院浄心門」に到着
髙尾山薬王院からさらに1号路を下っていくと、髙尾山薬王院の入り口であり、日本遺産の構成文化財である「高尾山薬王院浄心門」に到着。
門の扁額(門の高い位置に掲出された額)には、「霊気満山」と書かれており、古くからこの地で高尾山薬王院が信仰を集めていたことを感じられる。
霊気満山とは、霊気(生命力)が満ち溢れる霊山という意味だ。
14:20 高尾山スミカで休憩&お土産を購入
浄心門を過ぎてしばらく歩くと、蕎麦処やカフェレストラン、お土産ショップが入った人気施設「高尾山スミカ」が見えてくる。
イートインで高尾山のグルメを味わえるお店はもちろん、側のベンチで食べられるテイクアウトグルメも充実。高尾山グルメを味わいながら、一息つこう。
15:30 高尾山麓の温泉施設「京王高尾山温泉 / 極楽湯」で疲れを癒やす
高尾山スミカで休憩したら、併設する高尾山ケーブルカー「高尾山駅」からケーブルカーに乗って、麓へ戻ろう。
麓に戻り京王高尾山口駅まで歩くと、日帰り温泉施設「京王高尾山温泉 / 極楽湯」が見えてくる。
施設では、高尾山の豊かな自然に包まれた絶好のロケーションの中で、地下約1,000mから湧く天然温泉に浸かれる。
マイクロバブルの「檜風呂」や「サウナ」をはじめ、多彩な湯船を楽しもう。
温泉を満喫したら、施設内の食事処で夕食を堪能しよう。
高尾山名物の「とろろそば」はもちろん、様々な和食メニューが取り揃えられている。
17:00 駅近の「ホテルタカオネ」で早めに就寝
温泉と夕食を堪能したら、1日目の宿「ホテルタカオネ」へ。ホテルタカオネまでは歩いてすぐだ。
客室は5タイプ全28室。バスタブがなくシャワーのみのスタンダードルーム、2段ベッドがあり、部屋の2階に風呂があるルーフトップバスルームなどバリエーション豊富なので、人数や好みにあわせてセレクトしよう。
モデルコース2日目:八王子の伝統文化と歴史を満喫
2日目は八王子城跡、八王子芸妓など、八王子の伝統文化と歴史を感じられる内容となっている。
これから紹介する内容を参考に巡れば、東京の定番観光プランではできない、ディープな体験ができるだろう。
8:00 京王高尾山口駅から高尾駅へ
ホテルから歩いて京王高尾山口駅へ行き、京王高尾線で高尾駅へ。
駅北口からバスに乗り、バス停「霊園正門」で下車。歩いて約15分で「八王子城跡」に到着する。
9:00 桑都物語の始まりとなった「八王子城跡」を散策
八王子城跡は戦国の山城としての状態を良く残していることなどから、2006年に「日本100名城」に選定。日本遺産の構成文化財にも指定されている。
現在は山の麓に御主殿跡と復元された石垣や虎口、山頂には本丸跡や八王子神社などがあり、山頂までは徒歩で片道約1時間。敵の侵入や攻撃を防ぐための「曲輪」などの遺構も残る。
八王子が発展していくきっかけとなった山城を巡ってみよう。
12:00 名物グルメ「八王子ラーメン」をランチに味わおう
八王子城跡の観光を終えたら、最寄りのバス停からバスに乗車して高尾駅へ戻り、中央線に乗り換えて八王子駅へ。
醤油タレとトッピングの刻みタマネギが特徴のご当地ラーメン「八王子ラーメン」を、ランチに食べに行こう。
JR八王子駅南口側にある人気店「びんびん亭 本店」では、厳選した北海道の農家直送のタマネギの甘みがスープをまろやかにしてくれる、八王子ラーメンの王道を行く一品を味わえる。
13:20 「はちはく」で八王子の歴史と文化を楽しみながら学ぶ
ランチを食べたら、歩いて約5分の場所にある「桑都日本遺産センター 八王子博物館(はちはく)」へ。
日本遺産「霊気満山 高尾山 ~人々の祈りが紡ぐ桑都物語~」では、資料の展示だけでなく、プロジェクションマッピングやイラストがあり、大人も子供も楽しみながら八王子の歴史と文化を学べる。
14:30 「はちまるステーション」で八王子土産を購入
八王子の歴史と文化を満喫したら、八王子駅直結の商業施設「セレオ八王子」の2階にある「はちまるステーション」へ。
ショップには八王子のみならず、周辺地域の魅力を発信するアンテナショップ。
店内には、地元の名産品や地域に根付いたショップのアイテムがずらりと並ぶ。
八王子だからこそ手に入れられるお土産を購入していこう。
15:20 「桑都テラス」で食べ歩きを楽しむ
次は花街の面影を残す黒塀通りの一角にあり、八王子の伝統文化や伝統芸能を体感できる和の空間「桑都テラス」へ。
歴史的伝統文化・芸能を発表する場である演芸場や、新しく老舗を目指す飲食店をはじめとする店舗、そして中庭のように広がるにぎわい広場で構成されている。
施設内にはいくつかの飲食店が営業しており、ドーナッツや猫型の大判焼きなどテイクアウトメニューも充実。好きなグルメを購入して、にぎわい広場で一息つこう。
16:30 「東京八王子酒造」でお土産用に日本酒を購入
日本遺産の構成文化財のひとつに「桑都の銘酒」が指定されている。
八王子城を建てた武将の家臣の子孫が、200年以上前に酒造りを始めたと伝っており、古くから八王子では酒造りが盛んだった。
現在は八王子市内に酒造がほとんどないものの、桑都テラスのすぐそばには醸造所「東京八王子酒造」があリ、1年を通してフレッシュな日本酒を提供している。
醸造所にはショップが併設されており、金・土・日・祝日であれば、その場で日本酒を購入できる。
八王子産の酒米を使った果実のようなジューシーさとフルーティさを感じる生酒「prototype 1」をお土産に買って帰ろう。
高尾山の観光に関するよくある質問
Q
高尾山でお勧めのお土産は?
天狗黒豆まんじゅうと高尾山チーズタルトが特にお勧めです。
Q
八王子でお勧めのお土産は?
八王子産の酒米を使った生酒「prototype 1」がお勧めです。
Q
八王子駅周辺にホテルはある?
JR八王子駅、京王八王子駅どちらの周辺にもホテルが点在しています。
まとめ
高尾山を中心に、周辺地域も満喫する1泊2日のモデルコースを紹介してきた。
東京の中心部とは異なる、独自の歴史文化を持つ高尾山と八王子の魅力を、ぜひ満喫してほしい。
高尾山の魅力や見どころをもっと知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしよう。