正式名称は「賀茂茂御祖神社」。京都市内を流れる鴨川の下流に位置することから「下鴨さん」「下鴨神社」の名称で親しまれている。東西2棟からなる本殿は国宝に指定されていて、京都で最も古い神社のひとつだ。1994年にはユネスコの世界遺産にも登録された。
本殿までは入口から約1kmの道のり。その前に広がっているのが緑豊かな「糺の森」だ。樹齢200~600年の樹木が約600本近く育まれていて、神聖な空気が漂う。
境内には、縁結び、美容、契約成功などの社がある。厄除けの神様を祀った「御手洗社」では、7月末からの5日間、社前の池に足をつけて無病息災を願う「足つけ神事」でにぎわう。また、この池に湧き上がる水泡をかたどって、甘いタレが団子に絡んだ「みたらし団子」が作られたそう。神社周辺の茶店で食べることができる。
さまざまな行事がある中おすすめしたいのが、五穀豊穣を祈る京都三大祭のひとつ「葵祭」。約1400年前からはじまり、毎年5月15日に行われている。平安時代の衣装を身にまとった人々が、スタート地点・京都御所から下鴨神社、上賀茂神社までを練り歩く「路頭の儀」が見もの。古来の日本文化を間近で目にできる貴重なチャンスだ。先立って「糺の森」で行われる「流鏑馬」も見応えがある。「葵祭」の成功を祈り、公家装束を着た射手が、疾走する馬の上から的を射抜く神事だ。5月のはじめごろに催される。