古くから漁業が盛んな京都府北部に位置する伊根湾。海沿いには、漁に使用する船置き場として一階部分が海と繋がる「舟屋」と呼ばれる建物が軒を連ねている。約5kmに渡り、約230軒の舟屋が並ぶ景観は全国的にも珍しく、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
舟屋は元来、漁で濡れた木造船を海から引き揚げて乾かしたり、雨風や虫から船を守ったりすることを目的とした施設。一階は船を収納場として、二階は網の干場や漁具置き場として使われていた。近年は船も大型化が進むなどで船を引き上げずに舟屋の前に係留している家が多い。今では出漁の準備や漁具の手入れ、魚干物の乾場、農産物の置き場など幅広く活用されている。かつては舟屋には人は住んでおらず、道を挟んだ母屋で生活するのが通常だったが、現在は住まいにする人も増えているほか、宿や飲食店として営業するなど、様子も変化している。
ゆっくり散策しながら風景を楽しみたいなら、「伊根浦公園」へ。舟屋群の中に位置し、舟屋を間近に見学できる。舟屋を改装したカフェやレストランもあるので立ち寄ろう。
海上タクシーや遊覧船を利用すれば、舟屋を海から望む独特の風景に出会える。海上タクシーは地元の船頭さんが自分の船でガイドをしながら伊根湾内を周遊。遊覧船は大型の船に乗って、約25分の船旅を楽しむ。遊覧船からは飛び交うカモメにエサをあげることも可能だ。また、高台にある「道の駅舟屋の里伊根」には展望台があり、舟屋や伊根湾、観光船が走る姿などを一望できる。それぞれの楽しみ方で見学をしよう。
伊根の舟屋はあくまで住民の生活の場。個人の所有物なので無断で侵入することはご法度だ。舟屋内部の見学がしたいなら、伊根浦散策ガイドツアーや見学可能な舟屋を利用しよう。舟屋を改装した宿泊施設もあるのでチェックして。