日本人ならではの夏の楽しみ方と過ごし方
高温多湿であり、気候的には過ごしづらい日本の夏。 そんな日本の夏を昔から日本人は様々な方法で楽しみ、快適に過ごせるように工夫してきた。 日本には「郷に入っては郷に従え」という諺があるが、夏に観光するなら日本人の楽しみ方や過ごし方をぜひ参考にしてほしい。 そうすることで日本の夏を最大限楽しめるはずだ。 夏に日本を観光する方向けに、日本人がどのように夏を楽しみ、過ごしているかを紹介していこう。
毎年8月16日の夜、京都盆地を取り囲む山々に、炎で描かれた文字や形が浮かび上がる「京都五山の送り火」。東山の大文字を皮切りに、妙法、船形、左大文字、鳥居形と順々に火が灯されていく様は、幻想的で幽玄の美にあふれている。
古都の夏の夜を彩る風物詩として国内外に広く知られ、例年多くの見物客を集める恒例行事だが、その本質は観光仕様のイベントや祭りではない。送り火には、お盆に迎えた先祖の精霊が迷うことなく再び冥府に帰れるように送り出す、精霊送りの意味がある。古くから地元の人々によって大切に守られてきた、厳粛なお盆行事なのだ。京都市では、これらの送り火すべてが登録無形民俗文化財に指定されている。
こうした本質を正しく理解したうえで、改めて送り火を眺めてみると、京都に息づく伝統や風習、人びとの思いなどがより身近に感じられるはず。お邪魔しますの心を忘れず、静かに手を合わせて古都の伝統行事を鑑賞しよう。