おにぎりとは?歴史から定番の具材・作り方・購入方法まで

おにぎりとは?歴史から定番の具材・作り方・購入方法まで

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

日本人にとって身近で特別な存在のおにぎりは、和食文化を代表する伝統料理のひとつ。
簡単に作れ、持ち運びに適しているため、弁当や非常食などの様々な場面で食べられている。
具材や握り方などで、無数のアレンジができる奥深さもおにぎりの魅力だ。
この記事では、おにぎりの概要・歴史・作り方、人気およびご当地の個性的なおにぎりをそれぞれ紹介していく。
最後まで読めば、日本人とおにぎりの関係性が理解できるだろう。

目次

おにぎりとは

おにぎりとは、白米に塩をふりかけて手で握り、海苔で巻いた日本発祥の伝統料理。
“にぎりめし”・”おむすび”などといった呼ばれ方もされている。
一般的には三角形に作られ、中には梅干しやこんぶなどの具材を入れることが多い。
三角形の由来は諸説があるが、神様へのお供え物だったというのが有力。
昔は高い所(=山)に神が宿ると信じられていたので、山の形に見立てて握り、食べていたと言われている。
また海苔を巻く理由は、手を汚さないようにし、塩気や香りを加えて美味しさを引き出すためだ。
ただし、現在も地域や家庭、企業で独自の進化を続けているので、俵型・円柱型、海苔なしのおにぎりも珍しくない。
使われる具材もバリエーション豊かになっており、時代の変遷を表す料理とも言える。
そんなおにぎりは日本人にとって、古くから親しみ愛された和食文化の原点のような存在だ。
シンプルで持ち運びも便利ながら、人それぞれに思い出や懐かしさを連想させ、どこか安心感を与える不思議な魅力を持っている。

日本人にとっては日常的な存在でありながら、郷愁を感じられる存在でもある
日本人にとっては日常的な存在でありながら、郷愁を感じられる存在でもある

おにぎりの歴史

おにぎりの正確な起源は定かではないが、時系列にまとめると以下のような歴史を歩んできた。

縄文時代(紀元前約1万8000年頃〜紀元前300年)
稲作が伝わったとされる
弥生時代(紀元前300年~300年)
当時の遺跡からおにぎりの原型となる「チマキ炭化米塊(たんかまいかい)」が発見される※これを最古のおにぎりと呼ぶ説もある
奈良時代(710年~794年)
書物「常陸国風土記」に「握飯(にぎりいい)」の記述が見られる
平安時代(794年~1185年)
蒸したもち米を固めた「屯食(とんじき)」が祝儀などで振る舞われる
鎌倉時代(1185年~1333年)・戦国時代(1467年〜1590年)
梅干し入りのおにぎりが登場、武士の兵糧として重宝される
江戸時代(1603年~1858年)
おにぎりが全国的に普及し、庶民は携行食や弁当などで重宝した※現在見られるおにぎりの確立
昭和時代(1926年~1989年)
1978年にセブンイレブンからコンビニおにぎりが初登場し、日常に浸透していく
現在
「ONIGIRI」の名称で、世界中から愛される料理になる

おにぎりの定番の具

色々な種類があるおにぎりの中でも、定番の具材を5つ紹介していく。
時代ごとに流行りは変わるが、ここで紹介する具材は大人から子供まで根強い人気を持つ王道のおにぎりだ。
入手もしやすいので、初めておにぎりを食べる時は、説明も参考にいずれかを選ぶと良いだろう。

1. 鮭おにぎり

「鮭おにぎり」は、焼き鮭もしくは鮭フレークを具材にした、古くから親しまれているおにぎり。
ご飯の甘味と鮭のちょうど良い塩味がよく合い、ふっくらとした食感から旨みを感じられる。
香ばしい風味は食欲をそそり、十分な満足感を得られる食べ応えも特徴。
鮭は高タンパク質で低カロリーなので、栄養バランス面でも優れた具材と言える。
また、他の食材との組み合わせで様々な味わいを引き出せるため、アレンジおにぎりも多い。

定番かつ人気の具・鮭
定番かつ人気の具・鮭

2. たらこおにぎり

「たらこおにぎり」は、主にスケトウダラの魚卵を塩漬けにした"たらこ"を具材にしたおにぎり。
お店によって提供の仕方が異なり、焼き・生・熟成などの調理方法を明記して販売されることが多い。※焼きたらこおにぎり等
旨みと塩味のバランスが絶妙な風味を生み出し、魚卵ならではのプチプチとした食感も楽しめるのが特徴。
ピリ辛を好む場合は、たらこを唐辛子等で味付けした「明太子おにぎり」を選ぶのがお勧め。

具は同じでも様々なバリエーションがある「たらこおにぎり」
具は同じでも様々なバリエーションがある「たらこおにぎり」

3. 梅干しおにぎり

「梅干しおにぎり」は、その名の通り梅干しを具材にした保存性の高いおにぎり。
鎌倉時代から食べられる古い歴史を持ち、現在も老若男女から愛される日本人にとって馴染み深い具材のひとつ。
梅干しから出る独特な酸味の強さが特徴で、胃がもたれずにサッパリと食べられる。
梅の味付け次第で、好みに合わせて作れるのも魅力だ。
疲労回復効果や抗菌作用があるため、体調が悪い時・食欲がない時にお勧め。

古くから愛されている定番中の定番
古くから愛されている定番中の定番

4. こんぶおにぎり

「こんぶおにぎり」は、海藻の一種である"昆布"を具材にしたおにぎり。
おにぎりの具材としては有名ながら、一番手にはならない地味な印象も強く、隠れた人気を持つ。
同じ海藻類の海苔との相性が良く、口いっぱいに磯の風味と旨みが広がる。
こりこりとした歯ごたえも特徴で、噛むほどに味わい深い。
昆布はミネラル・カルシウム・鉄分がたっぷりなので、食べれば腸内改善の促進効果も得られる。

地味ながらも高い人気を誇る「こんぶおにぎり」
地味ながらも高い人気を誇る「こんぶおにぎり」

5. ツナマヨおにぎり

「ツナマヨおにぎり」は、ツナ(主にマグロの油漬け)をマヨネーズで和えた"ツナマヨ"を具材にしたおにぎり。
シーチキンという呼び方もされる。
コンビニで今もなお続くロングセラー商品になっており、おにぎりの具材で圧倒的な人気を誇る。
子供から高齢者まで食べやすいまろやかな味わいが特徴だ。
ツナとマヨネーズがそれぞれの酸味・脂み・旨みを最大限に引き出し、そこに甘みのあるご飯が加わったおにぎりは、格別の美味しさ。

子供にも大人気の「ツナマヨおにぎり」
子供にも大人気の「ツナマヨおにぎり」

ご当地おにぎり

おにぎりは地域性・風習の影響を受けやすい料理でもあり、全国各地には食文化や特色が色濃く反映されたご当地おにぎりが存在する。
その中でも特にユニークなおにぎりを5つ紹介していく。
定番のおにぎりとは異なり、目にする場面が限られ味も個性的なので、機会があれば食べてみてほしい。

1. えび天むす

「えび天むす」は、小えび1匹を天ぷらの具材にしたおにぎりで、一口サイズで食べやすいのが特徴。
えびをご飯で包み込むように作られ、尻尾が飛び出した見た目も一般的なおにぎりとは異なる。
三重県寿司屋でまかないとして生まれたが、現在では名古屋愛知県)の名物料理で知られている。
プリッとしたえびの食感・風味と、天ぷらの衣・タレが染み渡ったご飯の相性が抜群で美味しい。
時間が経っても味が落ちにくいので、お土産や差し入れにも喜ばれる。

特徴的な見た目を持つ「えび天むす」
特徴的な見た目を持つ「えび天むす」

2. けんさ焼き

「けんさ焼き」は、新潟県を代表する郷土料理で、甘味噌やしょうが味噌を塗った丸型の焼きおにぎりを指す。
戦国武将・上杉謙信(うえすぎけんしん)が、兵糧で食べたのが名前の由来と言われており、「けんしん焼き」や「けんさし焼き」とも呼ばれる。
こんがりと香ばしい味噌の風味に、ねぎやしょうがのアクセントが食欲をそそる絶品だ。
身体にも良く簡単に作れるため、おやつ・夜食としても人気を誇る。

味噌の風味とアクセントを楽しめる「けんさ焼き」
味噌の風味とアクセントを楽しめる「けんさ焼き」

3. めざしおにぎり

「めざしおにぎり」は、千葉県を代表するおにぎり。
めざし(主にイワシを乾燥させた干物)が丸ごとご飯に包まれており、形状は「えび天むす」と似ている。
ただ、見た目のインパクトは「めざしおにぎり」の方が強い。
塩辛い魚の旨みの後に独特の苦みを与えるめざしが、お米の甘さを引き立てる大人向きの味わいが特徴だ。
シンプルながらもヘルシーで栄養価も高いので、健康に気を遣っている人にもお勧め。

めざしがおにぎりに刺さった見た目はインパクト大
めざしがおにぎりに刺さった見た目はインパクト大

4. かしわおにぎり

「かしわおにぎり」は、福岡県の郷土料理「かしわめし(鶏肉をまぜた炊き込みご飯)」で作ったおにぎりを指す。
九州地方では、古くから鶏肉を「かしわ」と呼んでいるのが名前の由来だ。
東京では「とり五目」の名称で売られていることが多い。
通常は鶏肉の他に、にんじん・ごぼう・シイタケなどの具材が入り、醬油・みりん・酒で味付けがされている。
噛むほどに増す鶏の旨みと、ほんのりと甘みのあるご飯が絶妙で、どこか懐かしさを感じる温かみが特徴。

優しい味わいが特徴の「かしわおにぎり」
優しい味わいが特徴の「かしわおにぎり」

5. 弁慶飯

「弁慶飯」は、山形県庄内地方)を代表する郷土料理。
焼いた味噌おにぎりを、海苔の代わりに同じく郷土料理の「青菜漬け(せいさいづけ/山形野菜の青菜を醬油漬けした漬物)」で巻いた料理を指す。
丸型で深緑色の姿をしているので、見た目からはおにぎりと想像しにくいかもしれない。
シャキシャキした青菜の食感とほどよい辛みが「弁慶飯」の特徴で、その味わいは何ともたまらなくクセになる。

見た目からはおにぎりだとはわかりづらい「弁慶飯」
見た目からはおにぎりだとはわかりづらい「弁慶飯」

おにぎりの作り方

おにぎりは、お米と塩に好みの具材・海苔があれば、誰でも簡単に作れる料理だ。
下記の表に、一般的な作り方と上手に美味しく作るためのポイントをまとめた。
これを参考におにぎり作りにも挑戦してほしい。

1.お米を炊く
・スピーディーにお米を研ぎ、1時間程度しっかりと水に浸す
・炊く時の水分は少なめに、少し固めな炊き上がりを意識する
2.ラップを広げて塩を振る
・すぐに食べる時は少なめに、時間を置く時はしっかりと塩を振る
・ラップは必ず新しい物を使う(雑菌の繫殖防止)
3.海苔をラップの上に置き、ご飯をのせる
・炊きたてのご飯を使う場合は、余熱と水分を飛ばす
・ご飯はお茶碗半分ぐらいが目安
4.ご飯の上に好みの具材を置き、包むように握っていく
・力を入れ過ぎずに優しく握る
・中央に具材を置くと崩れにくい
5.三角形に整えて完成
・パリパリした食感のおにぎりの場合は、3ではなく食べるタイミングで海苔を巻く
・好みに応じて形を変えても良い

様々な種類のおにぎりが手軽に手に入るコンビニ・駅の売店

おにぎりは、街中のスーパー・駅構内のキヨスクと、どこでも気軽に手に入る。
購入場所として手っ取り早いのはコンビニになるだろう。
定番商品はもちろん、チャーハンやカレー、鶏のから揚げなど変わり種も多く、バラエティに富んだ品揃えが嬉しい。
こだわりの食材を使った高級志向や期間限定のおにぎりもあり、商品棚を見るだけでも楽しめる。
価格も手に取りやすい110円〜300円程度で、基本的に年中無休で24時間営業なので、旅のお供にピッタリ。
朝食・小腹が空いた時・サクッとエネルギー補給したい時・新幹線の移動中など、あらゆる場面で活躍してくれるはずだ。
コンビニによってはイートインスペースがあるため、朝飯屋のように利用しても良いだろう。

コンビニで気軽に買えてサクッと食べられるので旅のお供にピッタリ
コンビニで気軽に買えてサクッと食べられるので旅のお供にピッタリ

本格的に味わいたいならおにぎり専門店へ

本格的なおにぎりを提供する「おにぎり専門店」も存在する。
専門店では、「素材(お米・具材・調味料・海苔)」と「調理方法(炊き方・握り方・組み合わせ・調味料の加減)」など、コンセプトを持ったおにぎりが作られるのが特徴だ。
現在は、店内で提供される「イートイン型」と持ち帰りの「テイクアウト型」2つの形態が主流。
本場のおにぎりを味わえると訪日外国人にも好評なので、専門店にも足を運んでほしい。

イートイン型
・おにぎりを作る工程を生で観られ、出来たてを食べられる
・味噌汁や漬物など各店舗ならではのメニューも一緒に味わえる
テイクアウト型
・好きな場所で好きな時間に食べられる
・時間がない際や、周りとシェアしたい時に向いている
本格的なおにぎりを食べたいなら専門店へ
本格的なおにぎりを食べたいなら専門店へ

おにぎりに関するよくある質問

Q

おにぎりにはどんな種類があるの?

A

具材も握り方も様々なため、おにぎりには非常に多くの種類があります。白米に塩をふりかけて手で握り、海苔で巻いて三角形の形をした「おにぎり」が定番です。

Q

おにぎりにはどんな具材があるの?

A

定番の具材は鮭やたらこ、梅干しです。その他にもえびの天ぷらを具材にするなど、地域やお店によって入れる具材は多種多様です。

まとめ

鎌倉時代には戦の兵糧、江戸時代には携行食として食べられていた「おにぎり」。
現代でもちょっとお腹が空いた時や時間がない時、室外で食事をする時など、様々なシチュエーションで日本人は食べている。
旅の途中に食べるグルメに「おにぎり」を思い浮かべる日本人も多いだろう。
コンビニでも購入できるため、日本に訪れたらぜひ「おにぎり」を食べてみてほしい。
具材や握り方の異なる「おにぎり」の食べ比べも楽しもう。