「北野天満宮観光ガイド」豪華絢爛な歴史的建造物と自然景観を楽しむ
学問と芸能の神様を祀る神社として有名な「北野天満宮」。
豪華絢爛な桃山時代の建築が見られるだけでなく、美しい自然景観も楽しめる。
知っておかないと見逃してしまう見どころもあるため、満喫するためには予習しておく必要がある。
この記事では「北野天満宮」を満喫するために、知っておくべき歴史と見どころ、天神さまの七不思議、周辺スポットを紹介しよう。
目次
北野天満宮ってどんなところ?
京都府京都市の中心部から北に位置する「北野天満宮」は、947年に創建された1,000年以上の歴史を持つ神社。
平安時代の優れた学者・政治家である菅原道真(すがわらのみちざね)を御祭神とする、全国12,000社の天満宮、天神社の総本社だ。
学問の神様としての信仰が厚く、全国各地から多くの受験生が合格祈願に訪れる。
現在の御本殿は1607年に豊臣秀頼(とよとみ ひでより)が造営したもので、桃山時代の絢爛豪華な様式を残す貴重な遺構として、国宝に指定されている
「三光門」も御本殿と同じく桃山時代の建築様式で、国指定の重要文化財となっている。
北野天満宮の成り立ち
947年のご神託によって、平安時代の首都・平安京の北西にある北野の地に、菅原道真を祀って建立。
一条天皇(いちじょう てんのう)の使いが派遣されて、日本の平安を願いました。
この時に一条天皇から神様としての名前「北野天満大自在天神」を与えられたことで、菅原道真は「天神さま」として祀られるように。
豊臣秀吉(とよとみ ひでよし)が「北野天満宮」の境内で大規模な茶会を開催したり、歌舞伎の元となった「ややこ踊り」が行われたりと、日本文化を発信する中心地として認識されるようになる。
江戸時代の読み書きを教える「寺子屋」には、菅原道真の姿を描いたお札が掲げられ、学業成就が祈られていたと伝わる。
このことから菅原道真は「学問と芸能の神様」として広く知られるようになった。
神様が実は日本三大怨霊だった?
怨みや憎しみを持って亡くなり、災いをもたらす霊を怨霊と呼ぶが、実は菅原道真は「日本三大怨霊」の一人に数えられている。
小さい頃から勉強に励み、優れた和歌や漢詩も作るほど、秀でた才能を持っていた菅原道真。
政治家になると、その才能を発揮して異例の出世を遂げて、要職である右大臣に任命される。
左大臣である藤原時平(ふじわら ときひら)と並んで、国家の政務を統括。
藤原時平の策略で無実の罪を着せられて、仕事も給料も少ない九州のお役所に左遷。
2年後である903年に菅原道真は亡くなった。
死後6年後に左遷の原因を作った、藤原時平が病死。
913年は右大臣・源光(みなもとのひかる)が狩りの途中に亡くなり、923年には皇太子も亡くなった。
930年には天皇が日常的に過ごす建物が落雷を受けて炎上し、周辺で働いていた数人が亡くなる。落雷から3ヶ月後に醍醐天皇も亡くなった。
要職についていた人々が次々と亡くなった原因は、菅原道真の怨霊の祟りだとして恐れられ、怨霊を鎮めるために「北野天満宮」を創建して祀ったと言われている。
元々は怨霊だった菅原道真が時を経て、学問と芸能の神様へと変わったことも知っておくと、「北野天満宮」をより深く楽しめるだろう。
北野天満宮へのアクセス
京都市の中心部から外れてはいるがアクセスは良く、JR京都駅から市バスに乗って、約35分で到着する。
伊丹空港からは約1時間、関西国際空港から1時間40分とちょっとで移動できる。
北野天満宮への開門時間・参拝料
「北野天満宮」は無料で参拝可能。
開門時間は時期によって異なるため、観光前に公式サイトをチェックしよう。
- 開門時間
- 7:00〜17:00
- 参拝料
- 無料
北野天満宮のお勧め観光シーズンは?
「北野天満宮」を訪れるなら、梅の見頃である2月上旬から3月下旬がお勧め。
境内には菅原道真が愛した梅が約50種・1,500本も植えられており、古くから梅の名所として知られている。
境内の梅苑「花の庭」では、散策路や展望台で紅白に咲き乱れる梅を眺められる。
ライトアップされたり、梅花祭や梅花祭野点大茶湯などのイベントが行われたりと、様々な楽しみ方ができるため、ぜひ梅の見頃に訪れてほしい。
歴史も自然もイベントも楽しめる!北野天満宮の見どころ5選
国宝の「御本殿」や重要文化財に指定される「三光門」など、見どころが盛りだくさんの「北野天満宮」。
これから紹介する5つの見どころを巡れば、その魅力を満喫できるはずだ。
1. 豪華絢爛な桃山時代の建築様式が特徴の「御本殿」
「御本殿」は神社建築の歴史を伝える貴重な遺構で、国宝に指定されている。
八棟造(権現造)と呼ばれる特徴的な構造や壮大な拝殿があり、江戸時代に流行した建築様式「権現造」の原型となった。
現在の「御本殿」は1607年に豊臣秀頼が造営したもので、豪華絢爛な桃山時代の建築は見るものを圧倒する。
御本殿の前には創建以来、守り継がれてきた梅が植えられている。
梅と御本殿が並ぶ、雅な景観も必見だ。
2. 北極星が輝いてはじめて完成する「三光門」
「御本殿」と同じく桃山時代に建築されたこともあり、「三光門」は豪華で美しい。重要文化財にも指定されている。
「三光」とは、太陽・月・星のことで、梁に太陽と月の彫刻がある。
星の彫刻がない理由は、天皇の住居だった大極殿から北野を眺めると、門の上に北極星が輝き、その北極星を持って「三光」が揃うからだと言われている。
3. 境内に点在するご利益ある「撫牛」
「北野天満宮」には撫でるとご利益があると伝わる牛の像が点在している。
菅原道真が丑年生まれであったこと、菅原道真の遺言で自分の遺体を曳く牛が座り込んだ場所に埋葬するように伝えたことから、菅原道真と牛が強く紐づけられるようになる。
菅原道真の神としての名前である「天満大自在天神」や「日本太政威徳天」の由来とされる神様が牛と関係していることもあり、菅原道真の使いとして牛が選ばれた。
撫でる箇所にご利益があるとされているため、学問成就を願う場合は牛の頭を撫でよう。
4. 初夏と秋に観光するなら外せない「もみじ苑」
梅の名所として名高い「北野天満宮」だが、紅葉の名所でもある。
境内西側に位置する紙屋川沿いの散策道に植えられた、約350本ものモミジが色づいた、深紅の景観は圧巻だ。
初夏の鮮やかな青モミジも美しく、人気の絶景スポットとなっている。
紅葉の見頃と青モミジの見頃は、夜になるとライトアップされ、幻想的な景色が広がる。
初夏や秋に観光するなら、「もみじ苑」は必ず訪れるべきスポットだ。
5. 露店も境内のライトアップも楽しめるイベント「天神市」
毎月25日は「天神さんの日」(菅原道真の日)とされ、神社の縁日が開かれる。
参道には露店が並び、焼きそばやたこ焼きなどの縁日らしいグルメが食べられるだけでなく、骨董品や手作りの財布やカバンなどのアイテムも購入できる。
夜になると350の石燈籠と250の釣燈籠が灯り、昼とは異なる幻想的な雰囲気が漂う。
25日に京都へ観光・滞在の予定がある方は、日程を調整して訪れてみよう。
知ると観光がさらに楽しくなる!天神さまの七不思議
「北野天満宮」の見どころを巡る時は、これから紹介する「天神さまの七不思議」にも注目してほしい。
知らないと気がつけないことばかりなので、「北野天満宮」を満喫するためにも、予習しておこう。
1. 天神が現れる?「影向松」
「北野天満宮」には立冬から立春前日までに初雪が降ると、天神(菅原道真)が降臨するという伝説が残っている。
天神(菅原道真)が降臨する場所は、「影向松」と呼ばれる御神木。
表参道の大鳥居をくぐってすぐ右手にある、石の柵に囲われた一本の松である「影向松」も見逃さないように。
2. 違和感ある不思議な配置「筋違いの御本殿」
神社は一般的に、参道の正面には主祭神が祀られている御本殿がある。
しかし、「北野天満宮」の参道の正面は御本殿ではなく、その土地の神様を祀る「地主社」が建っている。
「地主神社」が元々あった土地に「北野天満宮」を建てたことが、不思議な配置となった理由だ。
3. 不完全な建造物?「星欠けの三光門」
見どころでも紹介した「三光門」は、「星欠けの三光門」とも呼ばれている。
「三光」とは太陽・月・星のことだが、「三光門」には太陽と月の彫刻しかない。
残る星は、実際に光り輝く「北極星」だと考える説が伝わっている。
4. お金が欲しい人はチャレンジすべき「大黒天の燈籠」
「三光門」の近くに立つ石灯籠の台座には、商売繁盛のご利益がある神様「大黒天」の像が刻まれている。
大黒天の口に乗せて落ちなかった小石を、財布に入れて祈るとお金に困らなくなると伝わる。
「落ちない」ということから、縁起が良いとして受験生にも知られるようになった。
5. ぜひ見つけてほしい「唯一の立ち牛」
「北野天満宮」の牛は、菅原道真の故事に由来しており、伏せた牛の像が境内に点在している。
その中でたった1体だけ立った状態の牛が描かれている。
立った状態の牛は「拝殿」の欄間に刻まれているので、ぜひ探してみてほしい。
6. ひっそりと佇む「裏の社」
一般的な神社であれば正面から拝むように造られているが、「北野天満宮」には御本殿の背面にも神様を祀る社が建てられている。
「裏の社」に祀られている神様は、菅原道真のご先祖である天穂日命(あめのほひのみこと)、祖父の「菅原清公(すがわらのきよきみ)」、父親の「菅原是善(すがわらのこれよし)」の三柱だ。
7. 天狗が住むと信じられていた「天狗山」
室町時代に「北野天満宮」を描いた「社頭古絵図」に、鳥天狗が描かれていることから、北西にある「天狗山」には天狗が住んでいると信じられていた可能性がある。
一願成就の撫牛もあるため、天狗のことを想像しながら、周辺を散策してみても面白いはずだ。
北野天満宮の周辺観光スポット3選
北野天満宮周辺には観光スポットとしても人気が高い神社やお寺が多い。
京都市内の神社仏閣を巡るなら、まずはこれから紹介する3つのスポットを観光しよう。
1. 金閣寺
室町幕府の第3代将軍、足利義満がその住まいとした「北山殿」を由来とする寺院。
義満の法名をとって鹿苑寺と名づけられ、自身が創建した相国寺の山外塔頭寺院(=本院とは別の場所に造られた隠居後の庵を寺にしたもの)となっている。
門を入ってすぐのところにある鐘楼の鐘は、作成されたのが鎌倉時代にさかのぼるという黄鐘調(西洋音でラの音に近い)。
金閣寺の通称は、池の前に建つ金箔で覆われた舎利殿に由来する。
さわらの薄い板(こけら)を重ねたこけら葺の屋根や、漆を接着剤にして2層と3層に張られた純金が、足利義満の栄華をいまに伝えている。
2. 龍安寺
「古都京都の文化財」の一つとしてユネスコ世界文化遺産に登録されている、臨済宗妙心寺派の禅宗寺院。
室町時代の1450(宝徳2)年、幕府の管領だった細川勝元が徳大寺家の山荘を譲り受け、妙心寺第五祖の義天玄承禅師を開山に迎えて創建した。
後の応仁の乱で焼失するが、勝元の子・政元の下で妙心寺の僧・特芳禅傑の尽力により再興。方丈や石庭も、この頃に造営されたと伝えられている。
3. 仁和寺
「古都京都の文化財」の一つとしてユネスコ世界文化遺産に登録されている、真言宗御室派の総本山。
平安時代前期の仁和2(886)年、第58代光孝天皇の勅願で建立が始まり、次代宇多天皇によって仁和4(888)年に創建された。寺号の仁和は元号に由来している。
境内奥にある金堂は、桃山時代に建てられた京都御所の紫宸殿を江戸時代前期の寛永年間(1624−1645年)に移築。
当時の宮殿建築を今に伝える貴重な遺構として、仁和寺で唯一国宝に指定されている。
堂内には、御本尊である阿弥陀三尊像をはじめ四天王像や梵天像などを安置し、壁には浄土図が極彩色で描かれている。
北野天満宮に関するよくある質問
Q
北野天満宮の梅の見頃はいつ?
2月上旬から3月中旬まで、長い期間楽しめます。
Q
北野天満宮の紅葉の見頃はいつ?
11月中旬から12月上旬が見頃です。
Q
北野天満宮の御朱印は?
北野天満宮の御朱印には様々な種類があるものの、御朱印帳に手書きで書いてくれる御朱印の人気が高い。
まとめ
豪華絢爛な建造物だけでなく、梅や紅葉といった四季折々の景観も楽しめる「北野天満宮」。
見どころも多く「天神さまの七不思議」も見逃せない、魅力たっぷりの神社だ。
周辺観光スポットで紹介した神社やお寺以外にも、京都にはまだまだ人気観光スポットが多いため、ぜひこちらの記事を参考に京都を満喫してほしい。