歴史と自然が織りなす日本情緒を感じよう!清水寺の観光ガイド

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

古都京都で「金閣寺」や「嵐山」と並ぶほど人気が高い、観光スポット「清水寺」。
国宝・重要文化財に指定された歴史的価値の高い建造物が多く、美しい自然景観も見られる、見どころの多いお寺だ。
京都の人気観光スポットで見どころの多い「清水寺」を満喫するために、絶対に外せない見どころだけでなく、その歴史やお勧めの観光シーズンも合わせて紹介しよう。

目次

清水寺ってどんなところ?

「清水寺」はJR京都駅の北東側、京都市内と琵琶湖滋賀県)の間にそびえる音羽山の中腹に位置し、「ユネスコ世界遺産」に認定されている歴史的価値の高いお寺だ。
境内には国宝の「本堂」、国の重要文化財に指定されている「仁王門」、「西門」、「鐘楼」、「三重塔」などを含め、30以上の建物や宝塔、碑などが点在している。
「清水寺」を訪れて最初に目に入る「仁王門」とその奥に控える「西門」、「三重塔」の姿にも心惹かれること間違いなし。
参道から見上げる、「本堂」の舞台の堂々たる姿も見逃せない。
「清水寺」は緑豊かな山の中腹にあるため、四季折々の美しい景観が境内で見られるのも魅力のひとつだ。

清水寺の歴史と成り立ち

778年に延鎮上人(えんちんしょうにん)により「清水寺」は開山され、798年に坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が仏殿を建立したと伝わる。
奈良で修行していた延鎮上人が、お告げに従い北へと歩き、音羽山中で見つけた清らかな滝を霊場として定め、観音像を祀ったのが始まり。
そこで出合った坂上田村麻呂が、殺生を戒め、人を始めすべての動植物を慈しむという延鎮上人の考えに感銘し、後に仏殿を建立した。
「清水寺」は創建以来、10回を超える火災に遭い、その都度再建されてきた。
しかし、1629年の火災では本堂をはじめ、ほとんどの建物が焼失してしまう。
現在残る建物のほとんどは、1631年から1633年に江戸幕府の3代将軍・徳川家光(とくがわ いえみつ)の寄付によって再建されたものだ。

清水寺の中でも特に有名な本堂の舞台
清水寺の中でも特に有名な本堂の舞台

清水寺へのアクセス

京都観光の拠点となる「京都駅」から「清水寺」へのアクセスを紹介しよう。
「京都駅」からのアクセスは、バスがお勧めだ。
最寄りのバス停は「五条坂下」で、そこから徒歩約10分で到着する。
「京都駅」から乗車するバスは、下記の表を参考にしてほしい。

京都市交通局(京都市バス)
・206系統 東山通北大路バスターミナル行き
・100系統 清水寺・祇園・銀閣寺行き
京都バス(土・休日のみ運行)
・18系統 大原行き

清水寺の拝観時間と拝観料

清水寺の拝観時間と拝観料を表にまとめたので、参考にしてほしい。
拝観時間は時期によって異なるため、注意しよう。
イベントの時期は夜遅くまで拝観可能であることも、要チェックだ。

拝観時間

6:00〜18:00
・1月1日〜3月24日
・4月3日〜6月30日
・9月1日〜11月17日
・12月1日〜12月31日
6:00〜18:30
・7月1日〜8月13日
・8月17日〜8月31日
6:00〜21:30(受付終了は21:00)
・3月25日〜4月2日(春の夜間特別拝観)
・8月14日〜8月16日(千日詣り/夏の夜間特別拝観)
・11月18日〜11月30日 (秋の夜間特別拝観)

拝観料

一般
400円
小・中学生
200円

清水寺のお勧め観光シーズンは?

「清水寺」を観光するなら、春と秋がお勧めだ。
春にはソメイヨシノ、ヤマザクラなど1,500本もの桜が咲き誇る、境内を散策できる。桜の見頃は3月下旬から4月上旬。
秋には1,000本以上のヤマモミジが真っ赤に染まった、見事な紅葉を楽しめる。
日没後のライトアップされた本堂と真っ赤な紅葉は、まさに絶景。
紅葉の見頃は、11月中旬から12月上旬。

桜と三重塔の美しいコラボレーション
桜と三重塔の美しいコラボレーション
ライトアップされた本堂と紅葉を見に、多くの観光客が訪れる
ライトアップされた本堂と紅葉を見に、多くの観光客が訪れる

ここだけは絶対に外せない!清水寺の見どころ6選

「清水寺」の見どころといえば、「清水の舞台」を備えた本堂をはじめ、国の重要文化財に指定されている仁王門、三重塔、子安塔などの歴史的建造物だ。
素晴らしい造形美と建築技術を今に伝えてくれている。
「清水寺」の原点となった、「音羽の滝」も見逃せない見どころのひとつだ。
見どころの多い「清水寺」の中でも、絶対に外せない見どころを6つに厳選して紹介しよう。

1. 人気のパワースポット「音羽の滝」

「音羽の滝」は「清水寺」が建立される起源であり、名称の由来でもある滝だ。
この滝から流れ落ちる清水は、古来より「延命水」や「金色水」として人々から尊ばれてきた霊水。
現在も人気のパワースポットとなっており、3筋に流れ出る霊水それぞれに、異なるご利益があるとされている。
ご利益は滝に向かって右側が「延命長寿」、真ん中は「恋愛成就」、そして左側が「学業成就」だ。
その内の1本を選び、柄杓で霊水を受けて、一口飲むとご利益が得られる。

ご利益を選んで柄杓で霊水を飲むという行為も楽しい
ご利益を選んで柄杓で霊水を飲むという行為も楽しい

2. 清水寺のシンボルであり続ける「三重塔」

「清水寺」の三重塔は高さ約30mと、日本最大級の三重塔だ。
創建は847年で、現在の三重塔は1632年に再建されたもの。
今も昔も京都の市街地からよく見えており、「清水寺」のシンボルであり続けている。
塔内には真言密教(しんごんみっきょう)で最も尊い存在である、大日如来像(だいにちにょらいぞう)が祀られ、四方の壁や塔内の壁には仏画が極彩色で描かれている。
三重塔は京都東山の景観を形づくる、重要な建築群として国の重要文化財に指定されている。

モミジと並ぶ三重塔も美しい
モミジと並ぶ三重塔も美しい

3. 朱色が美しい最古級の建造物「仁王門」

「仁王門」は「清水寺」の正門で、幅約10m・高さ約14mの堂々とした楼門(ろうもん/二階建ての門)だ。
門の両脇には鎌倉時代(1185〜1333年)の金剛力士像が安置されている。
戦火により1469年に焼失したが、1500年頃に再建。
「清水寺」のほとんどの建物が焼失した、1629年の大火を免れた数少ない建物だ。
現存する「清水寺」の建造物の中でもかなり古く、国の重要文化財に指定されている。
2003年には解体修理され、鮮やかな朱色が再現された。

美しい朱色と金剛力士像は必見だ
美しい朱色と金剛力士像は必見だ

4. 諺になるほど有名な舞台がある「本堂」

「本堂」は音羽山の断崖上に造営されており、ご本尊の十一面千手観音立像(じゅういちめんせんじゅかんのんぼさつ)が祀られている。
現在の「本堂」は1633年に再建されたもので、国宝に登録されている。
「本堂」の前面には舞台が設えられていて、高さは約13m。
日本古来の伝統工法で建てられており、木材同士が支え合うことで、建築が難しい崖でも耐震性に優れた構造となっている。
舞台を支えている、樹齢400年を超える太い欅の柱にも注目してほしい。
「本堂」の舞台は昔から有名で、舞台が語源となった「清水の舞台から飛び降りる」という諺は、江戸時代(1603年〜1868年)から使われている。
諺の意味は「死んだつもりで思い切った行動をする」こと。
実際に江戸時代には願掛けで、「清水寺」の舞台から飛び降りる人々もいたそうだ。

舞台の構造にも注目してみよう
舞台の構造にも注目してみよう

5. 安産祈願の仏様を祀る「子安塔」

聖武天皇(しょうむてんのう)・光明皇后(こうみょうこうごう)の祈願所と伝えられている、高さ約15mの三重塔「子安塔」。
現在の塔は1500年に再建されたもので、国の重要文化財に指定されている。
塔内には子安観音(千手観音)が祀られていて、安産祈願の仏様として信仰されてきた。
「清水寺」の参道である「三年坂」は、古くは「産寧坂(さんねいさか)」と呼ばれており、子安塔へ参拝する道だったと言われている。

1500年頃に再建された歴史ある「子安塔」
1500年頃に再建された歴史ある「子安塔」

6. 縁結びのパワースポットとして有名な「地主神社」

「清水寺」の中に位置する神社で、「本堂」を過ぎるとすぐに境内が見えてくる。
創建は日本建国以前の時代とされ、京都盆地がまだ湖だった頃からこの地に鎮座し、不老長寿の霊山として信仰を集めていた。
社殿と境内地全域が国の重要文化財に指定され、世界文化遺産に登録されている。
主祭神は縁結びの神様として有名な大国主命で、境内には縁結びにまつわる社殿や祈願所が集結。
なかでも人気なのが、本殿前にある「恋占いの石」だ。
10mほど離れて立つ2つのご神石で、一方の石からもう一方の石まで目を閉じて歩き、無事たどり着くことができると恋の願いが叶うとされている。

神代の創建とされ、世界文化遺産にも登録される縁結びの神様
神代の創建とされ、世界文化遺産にも登録される縁結びの神様

歴史ある神社仏閣を巡ろう!清水寺の周辺観光スポット5選

「清水寺」の周辺には、由緒ある神社仏閣が多い。
日本の伝統的な歴史文化をもっと知りたい方は、ぜひこれから紹介する観光スポットも合わせて観光してほしい。

1. 建仁寺

京都最古の禅寺で、臨済宗建仁寺派の大本山。
1202年、鎌倉幕府二代将軍の源頼家が寺域を寄進し、栄西禅師を開山として創建された。
京都五山第3位の格式をもち大いに栄えたが、戦乱や火災などにより荒廃。
慶長年間に安国寺恵瓊が方丈を移築して復興が始まり、徳川幕府の保護で堂塔が再建された。
その後、明治政府の宗教政策等により、臨済宗建仁寺派の大本山として独立。高台寺や法観寺(八坂の塔)は、建仁寺の末寺にあたる。

方丈などの建築遺産とともに、天井画や襖絵、国宝の風神雷神図屏風といった絵画の名品で訪れる人を魅了する
方丈などの建築遺産とともに、天井画や襖絵、国宝の風神雷神図屏風といった絵画の名品で訪れる人を魅了する

2. 八坂神社

御祭神は、素戔鳴命(スサノヲノミコト)、櫛稲田姫命(クシイナダヒメノミコト)、八柱御子神(ヤハシラノミコガミ)で、全国に点在する八坂神社や素戔鳴尊が御祭神の関連神社、約2,300社の総本社。
656年、新羅国牛頭山の神をこの地に祀ったことが創祀の由来とされる。
古くから祇園感神院、祇園社の名で敬われており、地元では今も「祇園さん」と呼ばれ親しまれている。

平安遷都以前より鎮座し、1300有余年の歴史をもつ古社
平安遷都以前より鎮座し、1300有余年の歴史をもつ古社

3. 八坂庚申堂

清水寺や八坂神社がある京都随一の観光スポット・東山に建つ寺院。
中国の道教由来である庚申信仰を日本で最初に始めたとされて、日本三庚申のひとつでもある。
境内で一際目を引くのが、近年ではSNSでも話題となっているカラフルな布で作られた“くくり猿”。
手足を縛られて動けなくなった猿の姿のお守りで、猿のように常に動き回る心を落ち着かせて心をコントロールすることを表している。
くくり猿に願いを込めて欲を一つ我慢すると、願いを叶えてくれるそう。

地元で「八坂の庚申さん」の愛称で親しまれる寺院で、カラフルな布で作られた“くくり猿”が話題
地元で「八坂の庚申さん」の愛称で親しまれる寺院で、カラフルな布で作られた“くくり猿”が話題

4. 知恩院・友禅苑

浄土宗の開祖である法然上人ゆかりの地に建立された浄土宗の総本山・知恩院
その境内にある友禅苑は、友禅染の生みの親である、江戸時代中期の絵師・宮崎友禅の生誕300年を記念し、1954年に改修造園された庭園だ。
東山の湧き水を引き入れた池泉回遊式庭園と「鹿野苑」と呼ばれる枯山水庭園によって構成されている。

知恩院の境内にあり、池泉式庭園と枯山水によって構成される名園
知恩院の境内にあり、池泉式庭園と枯山水によって構成される名園

5. 円山公園

かつて寺社などが所有していた地を整備して造られた京都最古の公園。
河原町から四条大橋を渡り、四条通の祇園商店街を真っすぐ進んだところにある。四条大橋から京阪祇園四条駅を過ぎて商店街を進むと、正面に見えてくるのが八坂神社だ。
ここから東側の一帯が円山公園で、回遊式庭園に料亭や茶房が並ぶ。
京都で最も有名な桜といっても過言ではない祇園しだれ桜は、初代のしだれ桜から種を取って育てられ、昭和24年(1949年)からここに立つ2代目。
特に夜桜の美しさで知られており、ライトアップされる夜はその姿をひと目見ようと、大勢の花見客でにぎわう。

池のほとりにたたずむ祇園しだれ桜は、京都屈指の撮影スポット
池のほとりにたたずむ祇園しだれ桜は、京都屈指の撮影スポット

清水寺に関するよくある質問

Q

清水寺は誰が建てたの?

A

778年に延鎮上人が開山、798年に坂上田村麻呂が仏殿を建立しました。

Q

清水寺は何のために建てられたの?

A

観音様の教えを広めるため、坂上田村麻呂の蝦夷征伐の成功を祈願するためなど諸説あります。

Q

清水寺が人気の理由は?

A

世界遺産であり、国宝・重要文化財の宝庫であることが人気の理由です。

まとめ

「清水寺」は国宝・重要文化財の宝庫で、美しい自然景観も見られる。
その上、恋愛成就や延命長寿などのご利益を授かれるパワースポットまである。
京都ならではのグルメが味わえる参道や、歴史ある神社仏閣も近くに点在しており、周辺にも魅力的なスポットやお店が多い。
京都観光で外せないスポットのひとつが「清水寺」だ。
もちろん、「清水寺」とその周辺以外にも、京都には魅力的なスポットが多い。
京都観光を満喫するためにも、定番観光スポットを紹介している、こちらの記事をぜひ参考にしてほしい。