四季折々の絶景に出会える「岡山後楽園」の観光ガイド
「岡山後楽園」は江戸時代の姿を今もとどめる、日本三名園のひとつ。
人工的につくられた自然美は、四季折々の魅力があり、歴史的建造物もイベントも多く、見どころが盛りだくさん。
いつ・何を見に行けば良いか迷ってしまう方も多いだろう。
「岡山後楽園」をどう楽しむか迷ってしまう方に向けて、この記事では「岡山後楽園」の見どころやイベントなどを、網羅的に紹介していく。
岡山後楽園ってどんなところ?
岡山県岡山市内にある「岡山後楽園」は、「国の特別名勝」に指定されている日本庭園。
日本庭園とは自然の景色を石や水の流れ、植物などを配して人工的に自然景観をつくる庭のこと。
水戸の「偕楽園」・金沢の「兼六園」と並んで、優れた景勝を持つ「日本三名園」の1つに選ばれる、日本を代表する庭園のひとつだ。
13万3千㎡の広大な敷地には、芝生や池・茶室などが道で結ばれ、散策しながら四季折々の景色が眺められる。
江戸時代の面影を残す、風情ある庭園には、日々多くの観光客が訪れる。
「岡山後楽園」は岡山藩(現在の岡山県)の2代目領主・池田綱政(いけだつなまさ)が、憩いの場として1687年から1700年にかけて築いた。
「岡山城」の後ろにつくられた庭園という意味で、「御後園(ごこうえん)」と呼ばれ、歴代領主が客をもてなす際に使用されていた。
1871年に「後楽園」と改め、名園保存を目的として岡山県に譲渡した。
「岡山後楽園」と「岡山城」を結ぶ歩行者用の「月見橋」もあり、短時間で両方の観光スポットを巡れるのも魅力のひとつだ。
岡山後楽園へのアクセス
「岡山後楽園」は市街地にあるため、バスや路面電車などが充実している。
「JR岡山駅」から徒歩でも行ける距離だが、バスや路面電車を活用すれば快適に移動できる。
「JR岡山駅」からバスを使えば、約10分〜15分で「岡山後楽園口」に到着。
「岡山後楽園口」からは鶴見橋を渡れば、すぐに「岡山後楽園」だ。
路面電車ならJR岡山駅から「城下駅」まで5分、「城下駅」からは徒歩10分で到着する。
岡山後楽園の開園時間と入場料
「岡山後楽園」の開園時間と入園料は下記の通り。
「岡山城」との共通券もあり、購入すれば入園料がお得になる。
年中無休だが、行事開催により開・閉園時間を変更することがあるので、注意が必要だ。
- 入園料
-
・大人(15歳〜64歳):500円
・高校生以下:無料 - 共通券(後楽園・岡山城)
-
・大人720円
・高校生以下:無料 - 開園時間
-
・3月20日~9月30日 7:30~18:00(入園は17:45まで)
・10月1日~3月19日 8:00~17:00(入園は16:45まで)
季節によって異なる表情を見せる「岡山後楽園」
四季折々の風景と、歴史的建造物が魅力の「岡山後楽園」。
春夏秋冬いつ訪れても美しい景観が堪能できるので、好みの季節に合わせて観光を楽しんでほしい。
ここからは季節ごとの魅力を紹介しよう。
競うように咲き誇る花々が魅力の春
春の「岡山後楽園」は、様々な花が競うように咲き誇る。
梅林では2月上旬から3月上旬にかけて、紅白合わせて約100本の梅が見頃を迎える。
桜の見頃は3月下旬から4月上旬で、ソメイヨシノを中心に約280本の桜が園内を彩る様子は趣深い。
特に桜林や馬場に出現する「桜のトンネル」は、情緒ある景色の中を散策できるため、お勧めだ。
さらにツツジ・牡丹・シャクヤクなど5月下旬まで春の花が次々に咲き乱れる。
3月には「春の和のおもてなし」が開催され、お庭茶会や狂言など日本文化を体験できる。
タイミングがあえば、お花見と合わせて参加してみよう。
涼しげで情緒ある景観が魅力の夏
夏の「岡山後楽園」では、3,000株の花菖蒲が見頃を迎える。
6月の梅雨時期ではあるが、白や紫の菖蒲が色鮮やかに花壇一面に広がる。
「花葉の池」には、大輪の白い花を咲かせる蓮の「一天四海」が一面に浮かぶ。
沢の池から水を引き込み、滝として流れ落ちる涼しげな風景も美しい。
「岡山城」では「夏の烏城灯源郷」、「岡山後楽園」では「夏の幻想庭園」が開催され、月見橋を挟んでライトアップされた幻想的な「名園」と「名城」も楽しめる。
風情ある紅葉が魅力の秋
錦織りなす紅葉の名所でもある「岡山後楽園」。
約250本のカエデや、サクラ・イチョウなどの紅葉は、11月中旬〜12月上旬が見頃だ。
100本のカエデからなる「千入の森」は、人気の紅葉スポット。
「千入」とは色濃く染めるという例えで、深まる秋の紅葉を表している。
岡山城の天守閣から見下ろす「岡山後楽園」の紅葉も合わせて堪能してほしい。
様々な見どころが詰まった冬
1年を通して様々な花が咲く「岡山後楽園」では、冬でも美しい花々を見られる。
約300本の寒椿や170本のサザンカが、冬の庭園に色を添える様子は格別だ。
飼育しているタンチョウ鶴を園内の芝生に放す「タンチョウ園内散策」も、冬の見どころの一つ。
美しい日本庭園を散策する、優美なタンチョウの姿は必見。
2月には春の芽だしを美しくし、害虫駆除も兼ねて行われる行事「芝焼き」が行なわれる。
広く敷かれた芝を順番に焼いていき、炎とともに黒く変わっていく様子は、早春の風物詩となっている。
歴史的建造物も見逃せない!岡山後楽園の見どころ5選
「岡山後楽園」は見どころが多く、これまで紹介してきた自然景観だけでも、満足してしまうほど。
でも「岡山後楽園」の見どころはそれだけじゃない。
江戸時代から残る建物や、自然景観をさらに美しく感じるための工夫が凝らされた建物など、歴史的建造物も魅力的だ。
数多くの見どころの中でも、特に人気のある見どころを厳選して紹介しよう。
1. 園内全ての美しい景観を一望できる「延養亭」
「岡山後楽園」の要となる建物として、最初に建てられた「延養亭」は領主の居間だ。
「延養亭」から園内全ての景勝が見えるように作られているのが特徴。
領主の静養や客をもてなす場として使われていた。
年2回だけ特別公開され、絵画のような庭園の眺めを堪能できる。
2. 園内屈指の美しい景色が見られる「廉池軒」
領主が好んで利用したといわれている「廉池軒」
池に面して建てられており、池に架かる石橋や対岸の小島など、園内屈指の美観が望める。
戦災を免れた建物の一つで、当時の様子を伝える数少ない貴重な建物だ。
3. 立体的な楽しみ方もできるように変えた「唯心山」
「唯心山」は岡山藩3代目領主により造営された、約6mの築山。
頂上からは庭園全体が見渡せる絶景スポットだ。
築庭当初の平面的な庭園が「唯心山」の築造により、立体的な庭園となった。
庭園を上から眺めても、園内のどこを散策していても「唯心山」が眺められるように設計されている。
4. 珍しい構造の休憩所「流店」
建物の中央に水路を通した珍しい建物で、水の流れを楽しめる「流店」。
庭の眺望を楽しむことに特化して作られたため、シンプルな造りになっている。
領主の休憩所として使われていた場所で、カキツバタの時期は趣が増す。
「流店」の南側では色とりどりの花菖蒲も楽しめ、風も心地よく、ひと休みするのにおすすめのスポット。
5. 迫力と風情を味わえる「花葉の池」
「延養亭」の横には、夏の見どころとしても紹介した「花葉の池」がある。
ふちに立つ「大立石」は、巨大な花崗岩を90数個に割って運び、もとの姿に組み上げた庭石は圧巻。
夏には花蓮「一天四海」が、一面に浮かび、夏の風物詩となっている。
午前4時に開園し、蓮の開花を楽しむ恒例行事もある。
夜明けにゆっくりと開花していく蓮の花を鑑賞するだけでなく、琴の演奏など日本の風情を楽しめる。
春・夏・秋に観光するなら絶対に楽しみたい!ライトアップイベント「幻想庭園」
「岡山後楽園」では、夜間特別開園「幻想庭園」が毎年期間限定で行なわれる。
春・夏・秋にはライトアップされた、夜の「岡山後楽園」を散策でき、幻想的な風景を堪能できる。
それ以外にも、プロジェクションマッピングや和文化体験など、様々なイベントが楽しめる。
「幻想庭園」では、季節に合わせて楽しめるような趣向を凝らしている。
春は水辺に光を灯した巨大な鯉のぼり(鯉)3匹を、いかだに乗せて浮かべる「春の鯉)泳ぎ」が見どころ。
夏は120個の風鈴のトンネル「涼の小径」を楽しんだり、伝統工芸や和文化を体験したり、多彩なイベントが盛りだくさん。
秋は紅葉が一番美しい季節に開催。
紅葉に彩られた夜の庭園を、美しいライトアップと和傘でロマンチックに演出する。
秋の夜長、心ゆくまで散策を満喫してほしい。
「幻想庭園」期間中は「岡山城」でも、ライトアップイベント「烏城灯源郷」が開催される。
漆黒の外観がひときわ存在感を放つ「岡山城」と「岡山後楽園」のライトアップは必見だ。
開催期間はその年により異なるので注意してほしい。
岡山後楽園と合わせて巡りたい岡山の名城3選
「岡山後楽園」の散策を満喫したら、歴史ある城も巡ってみよう。
岡山県の魅力ある3つの名城をご紹介。
1. 岡山城
戦国大名の宇喜多秀家が築城、1597年に完成した。岡山と呼ばれる丘の上に本丸を築き、流路を変えた旭川を背後に天守を建てた。
同時に商人や職人を集めて整備された城下町が今の市街地の中心となり、岡山築城は地名やまちの礎となった。
関ヶ原の戦い後は、小早川秀秋、次いで池田家が城主となり、幕末に至る。
天守は、1階が不等辺五角形という珍しい形をしており、往時には壁に黒漆塗りの板が貼られていたということから「烏城」の呼び名がある。
2. 津山城
前身は1441年に山名忠政が築いた鶴山城で、応仁・文明の乱で廃城となった。
後に、織田信長の側近として知られる森蘭丸の弟、森忠政が、「鶴山」を「津山」と改め築城を開始。
1604 年から13年の歳月をかけて壮大な城が完成し、日本三大平山城のひとつになっている。
津山城最大の櫓で、天守に次ぐ存在感があったといわれる備中櫓が、築城400年記念事業で復元されている。
櫓には珍しく畳敷きの部屋があり、本殿と回廊で結ばれていたことから、本殿の一部として使われたとも考えられている。
天守が建てられていた天守台あたりからは、津山市街を一望できる。
3. 備中松山城
現存する天守が残っている城は、備中松山城も含め全国で12城あるが、山城では備中松山城のみ。
2層の天守をはじめ、二重櫓や土塀の一部が残っており、天守内部の籠城に備えた部屋や囲炉裏のある大広間などを見学できる。
市街地北部に位置する標高約480mの臥牛山は、「大松山」「天神の丸」「小松山」「前山」という4つの峰の総称で、城はこれら4つの峰を中心に築かれていた。
現在残っているのは、標高430mの「小松山」にある近世城郭部分で、中世の城を改築したもの。
岡山後楽園に関するよくある質問
Q
岡山後楽園は何時間で回れる?
ゆっくり観光するなら1時間から2時間程度です
Q
岡山後楽園の紅葉の見頃は?
11月中旬〜12月上旬が見頃です
Q
岡山後楽園のライトアップはいつから?
開催期間は毎年異なりますが、春・夏・秋の3回行なわれます
まとめ
季節ごとに表情を変える「岡山後楽園」の見どころや、ライトアップイベントを紹介してきた。
岡山を観光するなら、いつ訪れても美しい景観と出会える「岡山後楽園」は訪れるべきスポットだ。
「岡山後楽園」と隣接している「岡山城」も見どころが多いため、ぜひ合わせて観光してほしい。
「岡山城」がどんな場所か知らない方は、「岡山城」の魅力をまとめた、こちらの記事も合わせて読んでみよう。