
【名古屋から始める新たな関西旅行】ディープな体験満載のモデルコース
関西旅行の定番である大阪や京都を何度か訪れたことがある方なら、次の関西旅行では旅の上級者ならではの回り方をしてみるのはいかがだろう。
そこで提案したいのが名古屋から始める関西旅行だ。
名古屋を起点に関西旅行を始めれば、コストを抑えつつ効率的に楽しめることは日本人にもあまり知られていない。
この記事では、名古屋の「中部国際空港(セントレア)」からスタートし、名古屋・京都・大阪の3都市のディープなスポットを巡る3泊4日のモデルコースを紹介する。
名古屋から関西旅行を始める3つのメリット
名古屋から関西旅行を始める大きなメリットは、アクセスの良さと旅の自由度の高さだ。
新幹線以外にも交通網が非常に充実しており、関西の主要都市へ短時間で快適に移動できる。
目的・予算に合わせて柔軟に移動手段を選べるので、コスパとタイムパフォーマンスが良く中部地方・関西地方の両方を楽しめる。
ここからは、メリットをより具体的に紹介していく。
1. 宿泊費用を抑えてグルメやレジャーなどに充てられる
関西旅行なのに名古屋に宿泊するのは意外に思うかもしれないが、実は、1泊目をあえて名古屋にするというのはコストを抑えながら楽しめる賢い旅の回り方だ。
時期に関わらず大阪より名古屋の方が、1泊1部屋あたりの宿泊費用は基本的に数千円から数万円ほど安い。
例えば、有名な高級ホテル「ヒルトン」を例に挙げると、平日1泊あたり「ヒルトン名古屋」は「ヒルトン京都」よりほぼ1万円安く、時期によっては3万円以上の差が出ることもある。さらに、リーズナブルなビジネスホテルで比べても、名古屋の宿泊費は関西地域に比べて数千円ほど安い傾向があるのだ。
浮いた宿泊費をグルメやその他レジャーに充てれば、旅行の充実度がさらに増すだろう。

2. 関西地方へのアクセスがスムーズ
名古屋の空の玄関口が中部国際空港(セントレア)だ。
同空港には主要航空会社が乗り入れており、中部地方の国内線・国際線の拠点として重要な役割を担う。
24時間の運用体制を敷くほか、ターミナル内は飲食店・土産店・温浴施設などの設備が充実し、ショッピングやグルメを楽しめる。
また、アクセス面でも多様な交通手段が用意され、空港線直結で名鉄名古屋駅までは最短約28分で着く。
名古屋〜京都は新幹線でたったの34分、1日100便以上あるので旅程を柔軟に調整できる。
ちなみに、中部国際空港(セントレア)から京都(新幹線利用)までは、関西国際空港経由で向かうよりも乗車時間が短く済む。

3. 入国審査待ちが少なくスムーズに観光を始められる
西日本最大級の規模を持つ関西国際空港は、フライト本数・利用者数が多く、中部国際空港(セントレア)の約3倍の台湾・香港旅客需要を有している。
一方、中部国際空港(セントレア)は、最新の入国管理システムや自動化ゲートの導入による効率的な対応に定評がある。
そのため、混雑時でも待ち時間が短く、飛行機の着陸から30分〜40分後には観光に出かけられるのがメリットだ。

名古屋から始めるディープな関西旅行3泊4日モデルコース
ここからは中部国際空港(セントレア)を起点に、名古屋・京都・大阪の観光地を巡る3泊4日のモデルコースを紹介する。
内容を参考にすれば、観光名所も織り込みつつ、穴場スポットや現地のグルメ文化なども幅広く楽しめるディープな旅になるだろう。

Day1:名古屋の隠れた名所を巡る
モデルコース初日は、名古屋で隠れた名所を巡って散策・グルメ・絶景などの多彩な魅力に触れる。
写真映えするスポットも多いので、たくさんの思い出を記録に残してほしい。
旅の始まりは中部国際空港(セントレア)から
本旅は名古屋の中部国際空港(セントレア)からスタート。
旅客ターミナルと各種交通手段は屋根付きの連絡通路「アクセスプラザ」で直結しており、天候や荷物の多さを気にせず移動できる。
また、飛行機を降りた後の中部国際空港駅までの導線もスムーズなので、初めての利用でも安心だ。

常滑市の「やきもの散歩道」を散策
中部国際空港(セントレア)駅から名鉄空港線で約5分の常滑(とこなめ)駅に向かい、最初の目的地「やきもの散歩道」を目指そう。
道中にある「とこなめ招き猫通り」の壁には様々な猫のオブジェが飾られ、見どころのひとつになっている。
壁の上に聳える高さ3.8m ・幅6.3mの巨大な招き猫「とこにゃん」は、招き猫の生産量一を誇る常滑のシンボル。常滑に訪れた記念に撮影していこう。
昭和初期〜中期に窯業で栄えたやきもの散歩道には、レンガ造りの煙突や登り窯、黒塀工場・土管坂といった遺構が今も残る。
古い街並みが続く散策路は「美しい日本の歴史的風土準100選」に選ばれており、生活感あふれる空間と歴史遺産が調和した独特の雰囲気が人気だ。
迷路のような路地にカフェ・雑貨店なども点在し、歩くだけでも楽しい。
レトロな外観の「常滑牛乳ミルクスタンド」を見かけたら、ぜひ立ち寄ってほしい。
この地域でしか味わえない、甘い香りとまろやかさが特徴の「常滑牛乳」を楽しめる。
「中部電力 MIRAI TOWER」で名古屋の景色を堪能
続いて向かうのは、名古屋の象徴的なランドマーク「中部電力MIRAI TOWER」。
常滑駅から電車を乗り継ぎ、約1時間かけて栄駅まで行き、降車後徒歩3分ほどで着く。
1954年に完成した日本初の集約電波塔建設であり、2022年には全国のタワーで初めて国の重要文化財に指定された。
高さ180mを誇り、地上約90mの屋内展望「スカイデッキ」と100mの屋外展望「スカイバルコニー」からは、360度パノラマの名古屋市街や遠望の山並みを一望できる。

「オアシス21」で建築とショッピングを楽しむ
中部電力MIRAI TOWERを満喫後は、歩いて数分の「オアシス21」に立ち寄ろう。
近未来的なデザインが印象的な立体型公園で、芝生広場やバスターミナル、30以上のショップなど一体化した市民の憩いの場だ。
シンボルである円形のガラス屋根「水の宇宙船」には薄く水が張られ、光によって美しい波紋が描き出す様子を楽しめる。
夜はライトアップも施され、幻想的な雰囲気が味わえるフォトジェニックスポットとしても人気が高い。

「海老どて食堂 エスカ店」で「海老どて」を味わう
オアシス21を十分に巡ったら、名古屋市営東山線で約10分の名古屋駅まで行こう。
駅直結の地下街エスカにある全国でも珍しい海老フライ専門店「海老どて食堂」で、夕食をいただき1日目を締めくくる。
同店では新名古屋名物で見た目も楽しめる「海老どて」をお勧めしたい。
揚げたてサクサクの大ぶりの海老フライを、八丁味噌ベースで作った秘伝のソースにディップして食べるユニークな一品だ。
お腹を満たした後は、翌日に備えて丸の内駅周辺のホテルに泊まってほしい。

Day2:名古屋のグルメ・歴史を堪能
2日目も引き続き名古屋らしさを存分に味わうプランだ。
名古屋のモーニング文化からスタートし、歴史散策・神社参拝・伝統グルメなどをバランス良く楽しめ、初日とはやや趣向を変えた体験ができる。
知的好奇心と食欲の両方を満たす面白い1日になるだろう。
「喫茶ニューポピー」で名古屋のモーニング文化を体験
名古屋ではドリンクを1杯注文すると、トーストやゆで卵などのサービスが付くモーニング文化が有名である。
2日目は丸の内駅より徒歩約5分の「喫茶ニューポピー」に足を運び、モーニング文化を楽しむところから始めよう。
古き良き昭和の趣を残した店内はどこを切り取ってもフォトジェニックで、アットホームな空間は地元民にも人気だ。
同店のモーニングはドリンク+トースト1枚+ゆで卵+サラダが基本構成、がっつり食べたい人は追加料金でトースト2枚、カレーモーニングも頼める。
時間に余裕があれば、歩いてすぐの場所にある「円頓寺商店街」にも立ち寄りたい。
明治時代(1868年〜1912年)から続く商店街で、老舗とユニークな新しい店舗が共存し、散策するだけでも楽しいスポットだ。
織田信長と深いゆかりを持つ「清洲城」を散策
朝食を食べ終わったら丸の内駅から約20分かけて清洲駅まで行き、「清洲城」に向かって15分ほど歩こう。
織田信長(おだのぶなが)の居城で知られる同城は、「清洲同盟」・「清洲会議」が行われた日本史において非常に重要なスポットだ。
特に信長の天下統一の第一歩となった場所として歴史ファンの人気が高い。
1989年に模擬天守が復元され、内部は郷土資料や甲冑の実物レプリカ、映像展示を行う資料館となっている。
最上階の展望台から望む周辺の街並み、春に咲き誇る美しい桜も見どころ。

「あつたnagAya」で地域ならではの”モノ”に出会う
清洲城で史跡巡りを楽しんだ後は、神宮前駅にある観光商業施設「あつたnagAya」を目指そう。
清洲駅から金山駅に行き、名鉄名古屋本線特急に乗り継ぐと約30分で到着する。
“地域で継がれる魅力を嗜み、再発見できる場所”というコンセプトのもと、2024年にオープンした新しい施設だ。
街道沿いの長屋の雰囲気を現代風に再現した一帯には、地元の名産品・土産店・飲食店などの店舗が集まり、食べ歩きや買い物を楽しめる。

「熱田神宮」で日本の歴史に触れる
あつたnagAyaと一緒に訪れたいのが、徒歩圏内に鎮座する「熱田神宮」。
創建は約1,900年前の113年まで遡り、伊勢神宮に次ぐ格式の高い神社として古くから”熱田さん”の愛称で親しまれている。
広い社域には本宮や神楽殿、宝物館などが整備されるほか、古木「七本楠」、石橋「二十五丁橋」といった見どころも満載。
また、三種の神器の一つ「草薙神剣(くさなぎのつるぎ)」を祀る場所でもあり、神聖な参道を歩きながら歴史と自然に触れられるのが魅力だ。

「あつた蓬莱軒 本店」で「ひつまぶし」を味わう
熱田神宮でパワーをもらったら、すぐ近くにある老舗うなぎ専門店「あつた蓬莱軒 本店」で夕食をいただこう。
お勧めは、同店で発祥した名古屋名物「ひつまぶし」。
150年以上継ぎ足して守り続けている秘伝のタレを使い、備長炭で丹念に焼き上げたうなぎは格別に美味しい。
まずはそのまま、次に薬味を添えて、最後はだしつゆをかけて、少しずつ変化を楽しみながら3通りで堪能できるのもポイント。
食事後は翌日のスケジュールを踏まえ、名古屋駅まで戻り駅周辺のホテルに泊まろう。

Day3:京都の奥深い歴史文化を体感する
3日目は名古屋から京都に移動し、古都の歴史文化と日本食の奥深さに触れる心豊かなプランとなっている。
短い時間ながら京都の歴史が息づく静謐な空間を堪能できるはずだ。
名古屋駅から新幹線で京都駅へ
好きな場所で朝食を済ませたら、JR「名古屋駅」から新幹線・のぞみ号に乗って京都駅まで行こう。
のぞみ号以外に乗ってしまうと、到着までに時間がかかるので気を付けてほしい。
運行本数は10分に1本程度と多いため、焦らなくても大丈夫だ。

世界遺産「下鴨神社」で参拝
京都駅に着いたら、そのまま駅前のA2バスのりばから京都市営バスに約30分乗車し、下鴨神社前まで向かおう。
降車後徒歩数分で、最初の目的地「下鴨神社(賀茂御祖神社)」が見えてくる。
京都をひらいた神様の賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)、娘の玉依媛命(たまよりひめのみこと)を主祭神に祀る由緒ある古社だ。
1994年に「古都京都の文化財」の一部として世界遺産にも登録された。
境内には「糺の森(ただすのもり)」と呼ばれる太古の植生を残す広大な森林があり、古代の息吹を今に伝える。

「京都国立博物館」で京都の歴史と文化の厚みを知る
下鴨神社を参拝した後は、出町柳駅まで行き京阪線で七条駅に向かおう。
駅から徒歩10分ほどで、「京都国立博物館」に到着する。
ここでは京都にゆかりの深い絵画・彫刻・工芸など、多彩な文化財を鑑賞でき、日本の歴史や美意識を深く感じられる。
明治時代に建てられた赤レンガ造りの「明治古都館」や、近代的な「平成知新館」など建物自体も見どころで、館内外を巡るだけでも京都の歴史や文化の奥深さを実感できる。

京都駅ビル内「はしたて」で京の味覚を堪能
京都国立博物館を満喫したら再び京都駅に戻り、駅ビル内にある「はしたて」で夕食の時間だ。
京都の老舗料亭「和久傳」がプロデュースするカジュアルな和食店で、丼もの・御膳・一品料理といった上質な京の味覚を気軽に楽しめるのが特徴。
魅力的なメニューが並ぶが、看板の「はしたてセット」がお勧め。
鯛の胡麻味噌丼にお味噌汁や西湖(せいこ/れんこん菓子)などが付いた、料亭の技を存分に味わえる満足感の高い逸品だ。
テイクアウトも可能なので、時間がない場合は新幹線で食べるのも選択肢のひとつ。

京都駅から大阪駅へ
夕食後はそのままJR「京都駅」からJR京都線新快速に乗車し、約30分かけて大阪駅まで行き、近くのホテルに泊まって3日目が終了だ。
20時以降は20分に1本程度の運行本数なので、事前に時刻表とスケジュールを照らし合わせておくと待ち時間が少なく快適に移動できる。
体力に余裕があれば、大阪駅周辺の街並み散策や繁華街、粉ものグルメ(たこ焼き・お好み焼きなど)を楽しむのもお勧め。

Day4:大阪の穴場スポットを巡る
最終日は大阪の穴場スポットを巡り、旅を締めくくる。
大阪が持つ自然と歴史、ローカル文化、そしておおらかでエネルギッシュな活気に1日で触れられるので、充実感に包まれながら帰路に就けるだろう。
自然美と荘厳な空間が広がる「勝尾寺」を散策
まずは大阪メトロ御堂筋線「梅田駅(大阪駅から徒歩約5分)」を起点に電車と阪急バスを乗り継ぎ、箕面市の山間に佇む「勝尾寺」に向かおう。
1,300年以上の歴史を持ち、「勝運の寺」として古くから信仰を集めるパワースポットだ。
受験・厄除け・病気など人生の勝負事に祈願する人々が多く訪れており、境内に奉納された赤い「勝ちダルマ」が所狭しと並ぶ光景は圧巻のひと言。
敷地には桜やしゃくなげ、紅葉といった四季折々の花々が咲き誇り、美しい自然と調和した荘厳な空間が広がる。

「中崎町」でディープな街歩きを楽しむ
勝尾寺を楽しんだ後は再び梅田駅に戻り、東梅田駅から「中崎町」のある中崎町駅に約1時間かけて足を運ぼう。
戦前〜戦後の木造建築や長屋が多く残る同エリアは、昭和レトロな街並みと現代のクリエイティブな感覚が共存する人気の観光地だ。
狭い路地と入り組んだ区画はまるで迷路のようで、散策そのものがアクティビティとなる。
一帯には古民家カフェや雑貨店、古着屋、ギャラリーが点在しており、都会の喧騒を忘れて多様な魅力を満喫できるだろう。

大阪ならではの雰囲気が漂う「戎橋筋商店街」でショッピング
続いて向かうのは大阪・ミナミの中心地に位置し、非常に長い歴史を持つ「戎橋(えびすばし)商店街」。
中崎町駅から再び梅田駅に戻り、大阪メトロ御堂筋線「なんば駅」で降りてすぐの場所にある。
約370mのアーケード街に100店舗ほどの多彩な商店が軒を連ねており、大阪らしい活気と温かいぬくもりを肌で感じられるのが魅力だ。
また、道頓堀川近くの「グリコの看板」・「かに道楽」の巨大看板は観光名所として有名で、観光客に人気のフォトスポットになっている。

関西国際空港から帰路へ
戎橋商店街で思い思いの時間を過ごしたら、旅もいよいよフィナーレを迎える。
南海線「なんば駅」から空港急行に乗車し、約50分かけて関西国際空港に向かい帰路へ着く。
この4日間は、中部・関西地方の多彩な顔に触れる充実の旅となったはずだ。
歴史的な名所や世界遺産、レトロな街並みなどを楽しんだ思い出を飛行機の中で振り返ると、自然と笑みがこぼれているだろう。

まとめ
この記事では、中部国際空港(セントレア)を起点に関西旅行を始めるメリット、名古屋・京都・大阪の穴場スポットをディープに楽しむモデルコースを紹介してきた。
関西旅行を検討中なら、ぜひ内容を参考に名古屋から旅を始めてみてほしい。
今まで知らなかった中部・関西地方の魅力に触れられる旅ができるだろう。