神代の昔、御祭神である賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)が本殿北北西の神山(こうやま)に降臨し、天武天皇白鳳6年の678年に地元豪族の賀茂氏が社殿を造営したことが創祀とされる、京都最古参の神社。上賀茂神社の社名は通称で、正式には御祭神の名を冠した賀茂別雷神社という。境内にある砂山は立砂と呼ばれ、神山をかたどっている。
賀茂別雷神は雷(いかづち)を別けるほどの強い力であらゆる災厄を祓う神で、平安遷都以降は皇城鎮護の神、鬼門の守り神として皇室から篤い信仰を受けた。また、二葉葵の御神紋に由来した三葉葵の家紋をもつ徳川家も篤く崇敬。官幣大社の筆頭として伊勢の神宮に次ぐ格式を誇った。現在も、厄除、八方除、電気の守り神、必勝の神として信仰を集める。
豊かな自然に囲まれた広大な境内には60棟を超える社殿があり、2棟が国宝、41棟が重要文化財の指定を受けている。また、平成6(1994)年に境内神域全体が「古都京都の文化財」の一つとしてユネスコ世界文化遺産に登録された。
国宝の本殿と権殿は、三間社流造の建築様式で、神社建築の典型である「流造」の原型といわれる貴重な建築。正面には、日本絵画史上最大の画派である狩野派によって描かれた獅子狛犬の絵画「影狛」が奉納されている。本殿、権殿ともに、普段は立ち入りを許されない神域だが、受付で特別参拝を申し込めば神職の案内で見学・参拝可能。古の姿そのままの神聖な場で心静かに頭を垂れ、神のご加護を授かりたい。
ポイント
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神が降臨した山をかたどった立砂。
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国宝の本殿、権殿。
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境内の豊かな自然と神聖な空気。