比類なき美しさを誇る世界遺産・姫路城の観光ガイド

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筆者 : GOOD LUCK TRIP

日本で初めて世界文化遺産に登録され、木造建築の最高傑作と世界から高い評価を受ける「姫路城」。
現存する多くの建造物は国宝や重要文化財に指定され、日本屈指の名城として高い人気を誇る。
「白鷺城(しらさぎじょう)」とも呼ばれる、その白く威厳ある姿は観光客の心を掴んで離さない。
この記事では初めて観光する人でも楽しめるよう、お勧めの見どころを中心に「姫路城」の魅力を紹介していこう。

目次

姫路城ってどんなところ?

兵庫県姫路市にある「姫路城」は、天下の名城として名高い。
木造建築の最高傑作とも称される「姫路城」は、天守群などの建築物が良好に保存されており、日本独自の城郭構造を伝える城としても世界から評価されている。
その歴史的・芸術的価値が認められ、1993年に「法隆寺」とともに日本で初めて世界遺産に登録された。
白鷺が羽を広げたような優美な姿に見えることから、「姫路城」は「白鷺城」の愛称でも親しまれている。
400年以上の歴史を持つ大天守は、現存12天守(江戸時代以前に建築され、現存する12の天守)の中で最も高く、約31.5mもある。
姫路城天守は5重6階からなる大天守と、東・西・乾の3つの小天守が渡櫓(わたりやぐら)で繋がる「連立式天守」が特徴だ。
大天守・小天守・渡櫓は、いずれも国宝に指定されている。
そんな「天守閣」はもちろんのこと、装飾性の高い「軒唐破風(のきからはふ)」や白で統一された城壁の美しいデザインにも注目してほしい。

姫路城の歴史

「姫路城」は赤松貞範(あかまつさだのり)が、1346年に築いた「姫山城」を前身に持つ。
当初は小規模だったが、西国統治の重要拠点として、時代とともに拡張が進められた。
1580年に豊臣秀吉(とよとみひでよし)が入城すると、3層の天守閣建築をはじめとした大改修を実施し、城名を「姫路城」と改める。
戦乱の世が落ち着いた1617年に、城主・本多忠政(ほんだただまさ)が整備・増築を行い、このときに現在見られる「姫路城」の全容が整う。
以来、大きな戦災を受けず100棟近くの建築物が現存している。

数多くの建築物が現存する貴重な遺産である「姫路城」
数多くの建築物が現存する貴重な遺産である「姫路城」

姫路城へのアクセス

兵庫観光で訪れることが多く、移動拠点でもある「神戸駅」からのアクセスを紹介しよう。

経路
1.「JR神戸駅」新快速・姫路行に乗車し、「姫路駅」で下車
2.「姫路駅」の北口から神姫バスへ乗車して、バス停「大手門前」で下車
3.「大手門前」から徒歩約5分で到着
※姫路駅北口から徒歩(約20分)で向かうことも可能
所要時間
約50分(姫路駅から徒歩の場合は約1時間)

姫路城の開城時間と入城料

姫城城の開城時間と入城料は、下記の表を参考にしてほしい。
17時には退城しないといけないため、受付なども16時30分から順次閉まってしまう。時間に余裕を持って出かけよう。

開城時間
9:00〜17:00(閉門は16:00)
入城料
・大人:1,000円
・小学生〜高校生:300円

姫路城のお勧め観光シーズンは?

「姫路城」を観光するなら、春か秋がお勧め。
「姫路城」は桜・紅葉の名所として知られており、その絶景に目を奪われるはずだ。
観光時期を調整できるのならば、どちらかのシーズンに訪れてほしい。

白鷺が桜に染まる「春の姫路城」

「さくら名所100選」に選ばれている「姫路城」。
見頃である3月下旬から4月上旬には、ソメイヨシノ・シダレザクラなど約1,000本の桜が敷地内に咲き誇る。
満開の桜と白壁の建造物のコントラストは、格別に美しい。
大天守や白壁を背景に、桜の花びらが舞い散る幻想的な風景も見逃せない。
日没から0時の間は桜がライトアップされ、昼間とは異なる夜桜の色彩や城壁・石垣に映し出される桜の影を楽しめる。

姫路城を背景とした桜は実に美しい
姫路城を背景とした桜は実に美しい
ライトアップされた夜桜と姫路城は、昼間とは異なる表情を見せる
ライトアップされた夜桜と姫路城は、昼間とは異なる表情を見せる

色彩豊かな紅葉が広がる「秋の姫路城」

紅葉の見頃を迎えた「姫路城」は、白い天守閣・城壁と紅・黄色に色づいた木々がコントラストを作り、美しい景観を楽しめる。
「姫路城」は周辺にも紅葉の名所が多く、その中でも「姫路城」を背景に造られた「姫路城西御屋敷跡庭園 好古園」は、ぜひ合わせて観光してほしい。
紅葉シーズン(11月中旬から11月下旬)になると、9つに分かれた庭園に植えられたモミジが鮮やかに色づき、目の前には絶景が広がる。

色彩豊かな紅葉と白い姫路城が織りなす景色は必見
色彩豊かな紅葉と白い姫路城が織りなす景色は必見
紅葉の名所として名高い「姫路城西御屋敷跡庭園 好古園」
紅葉の名所として名高い「姫路城西御屋敷跡庭園 好古園」

ここだけは外せない!姫路城の見どころ5選

「姫路城」は世界遺産に登録されているほか、日本100名城や国宝五城にも名を連ねる名城だ。
国宝・重要文化財に指定された建造物は、外観の美しさはもちろん、軍事的役割を兼ね備え、さまざまな工夫がされている。
魅力が尽きない「姫路城」の中でも、外せない見どころを厳選して5つ紹介しよう。

1. 美しさと迫力を兼ね備えた「天守閣」

「姫路城」のシンボルと言えば「天守閣」。
国宝に指定された大天守と3つの小天守(東・西・乾)が渡櫓で繋がる、「連立式天守」という大きな特徴を持っている。
4つの屋根が立体的に重なる天守群は、見る角度によって異なる表情を見せるので面白い。
現存12天守の中でも最大の規模・高さを誇り、世界遺産の名にふさわしい貫禄がある。
1609年に池田輝政(いけだてるまさ)によって建てられた大天守は、戦火や災害を免れて現在までその姿を伝えてきた。
2009年から5年かけての大天守保存修理工事(通称/平成の大修理)により、以前にも増して鮮やかな姿となった。

姫路城のシンボルである天守閣を様々な角度から楽しもう
姫路城のシンボルである天守閣を様々な角度から楽しもう

2. 細部までこだわって造られた「大手門」

「姫路城」の正面玄関にあたるのが、高麗門形式(防御を高める工夫がされた門)で大きく造られた「大手門」。
かつては三重の城門からなり、城内で最も格調が高い厳重な門として、重要な役割を担っていた。
敵の攻撃を防ぐ守りの強さに加えて、櫓や石垣など美しい外観にも定評があった。
残念ながら「大手門」は明治時代に取り壊され、1938年に新しく建築されたものが現在の「大手門」になる。
当時の場所やデザインとは異なるが、現在の「大手門」も意匠にこだわって建築されているため、細部を観察することで、より楽しめるだろう。

ただ通り抜けるだけでなく、細部までよく観察してみよう
ただ通り抜けるだけでなく、細部までよく観察してみよう

3. 水上から絶景を眺める「和船巡り」

伝統技術で造られた木造の和船に乗って、「姫路城」の内堀を1周する人気アクティビティ。
和を感じられる笠を被った船頭さんの案内を聞きながら、約30分間の優雅なクルージングを楽しめる。
水面から見渡す天守閣や城壁は迫力満点で、普段とは違う角度から「姫路城」を堪能できる。
「桜門橋」の下をギリギリくぐり抜けるスリルや、季節によって趣を変える自然の色彩など、船上でしか味わえない体験を満喫してほしい。
「観光和船」は期間限定、現地での予約が必要となるので注意しよう。

水上から眺める桜や天守は、地上とは違った風情がある
水上から眺める桜や天守は、地上とは違った風情がある

4. 記念撮影にピッタリのスポット「城見台公園」

「大手門」から徒歩約5分の場所にある、「城見台公園(しろみだいこうえん)」。
「姫路城」が美しく見える、絶好のビュースポット「世界遺産姫路城十景」のひとつに選ばれている隠れた観光名所。
「城見台公園」の代名詞と言えば、モニュメントとして置かれている約2mの鯱瓦(しゃちがわら)だ。
鯱瓦から眺める青空に映えた「姫路城」は絶景で、記念撮影ポイントとしても人気を誇る。
この辺りは観光客も少なく、ゆったりと過ごせるのでお勧め。

鯱瓦と姫路城が並ぶ場所で記念撮影してみよう
鯱瓦と姫路城が並ぶ場所で記念撮影してみよう

5. 優美な雰囲気が漂う「菱の門」

「菱の門(ひしのもん)」は「姫路城」における最大の門で、重要文化財に指定されている。
かつては敵の侵入を防ぐ、守備の拠点として重要な役割を持っていた。
桝形虎口(ますがたこぐち/敵を四方に誘い込めるような四角い形状)構造が採用され、門の左側だけに石垣がある変則的な形をしている。
柱や建築材がそのまま浮き出る真壁造り(しんかべづくり)に白漆喰総塗龍(しろしっくいそうぬりこめ/屋根以外の露出部分を白で塗り固める)された荘厳な外観が「菱の門」の特徴だ。
これらの格式高い工法からは桃山時代の優美な雰囲気が感じられる。

美しいデザインや特徴的な形をじっくり楽しもう
美しいデザインや特徴的な形をじっくり楽しもう

知れば観光がさらに楽しくなる!姫路城に伝わる伝説と逸話

「姫路城」には数多くの伝説や逸話が残されている。
この記事ではその中から、3つに絞って伝説・逸話を紹介しよう。
これらの伝説・逸話を知ってから「姫路城」を訪れれば、さらに観光が楽しくなるはずだ。

1. 播州皿屋敷

姫路城の城主・小寺則職(こでらのりもと)の家臣・青山鉄山(あおやまてっさん)は、城を奪い取る計画を立てていた。
これに勘づいた小寺則職の忠臣・衣笠元信(きぬがさもとのぶ)は、愛人である「お菊」を青山家に送り、計画を未然に防ぐ。
青山鉄山の家臣である町坪弾四郎(ちょうのつぼだんしろう)に、お菊が裏切り者だと気付かれ、助ける代わりに町坪弾四郎との結婚を強要されるがお菊は拒絶。
怒り狂った弾四郎は、家宝の皿10枚のうち1枚を隠し、お菊に罪を着せた。
最終的には責め殺し、井戸に投げ込んでしまう。
それ以来、井戸からは「1枚、2枚・・」と皿を数える声が毎晩聞こえるようになったと伝わる。
お菊が投げ込まれた井戸は、「お菊井戸」として「姫路城」の本丸に現存している。

お菊が投げ込まれたと伝わる井戸
お菊が投げ込まれたと伝わる井戸

2. 刑部姫の伝説

刑部姫(おさかべひめ)は、「姫路城」の天守に隠れ住んでいるとされる妖怪。
1年に1度だけ城主が会うことを許され、刑部姫から城の運命を告げられていたという伝説がある。
「姫路城」に伝わる様々な伝説や逸話に登場し、ストーリーによって正体は妖怪だったり、神様だったりする。
その姿も老女として伝えられていたり、美女として伝えられていたりと様々だ。

運が良ければ刑部姫に出会えるかも?
運が良ければ刑部姫に出会えるかも?

3. 宮本武蔵の妖怪退治

名前を隠し足軽奉公をしていた剣豪・宮本武蔵(みやもとむさし)は、姫路城天守に現れる妖怪退治を命じられる。
灯ひとつを持ち天守閣を登った宮本武蔵が3階の階段に差し掛かると、激しい炎があたりを包み、地震が起こる。
しかし、宮本武蔵が腰の刀に手を掛けると異変は止まり、静けさを取り戻したため、最上階まで登り妖怪を待った。
明け方になると美しい姫が現れ、宮本武蔵に次のように語りかけて、姿を消す。
「私は姫路城の守り神、刑部明神。あなたが来てくれたおかげで妖怪は逃げていった。褒美にこの宝剣を与えよう。」
宮本武蔵の前には白木の箱に入った、郷義弘(ごうのよしひろ)の名刀が残されていた。
今でも姫路城天守の最上階には刑部明神を祀る「刑部神社」がある。

天守閣に訪れるなら「刑部神社」に参拝してみよう
天守閣に訪れるなら「刑部神社」に参拝してみよう

ご当地グルメと日本食を堪能!姫路城周辺で人気の飲食店3選

「姫路城」を満喫したら、近くの飲食店でご当地グルメや日本食を味わおう。
数ある飲食店の中から、人気の飲食店を厳選して紹介するので、ぜひ足を運んでみてほしい。

1. たまごや

世界遺産「姫路城」の門前に店を構えるたまごかけご飯専門店。
「卵本来の味を楽しんでほしい」と、大正14年(1925)創業の卵農場が2009年にオープンした。卵のみならず、自社でつくったお米と卵など地場の素材を使用した安心・安全で健康的な食を楽しむことができる。
こちらでいただけるのは、自社農場で大切に育てた「夢そだち」を使用した「玉かけめし」。

卵農場直送の新鮮卵で食べる、絶品たまごかけご飯
卵農場直送の新鮮卵で食べる、絶品たまごかけご飯

2. レストラン 活水軒

世界遺産・姫路城を借景に整備された日本庭園、好古園内にあるレストラン。
趣の異なる9つの庭を有する好古園内最大の庭で、池泉回遊式庭園「御屋敷の庭」を眺めながら食事を楽しむことができる。
こちらでいただけるのは、数量限定の「姫御膳」や「官兵衛御膳」をはじめとする定食。
なかでも人気は穴子料理で、ここでは穴子丼や穴子天ぷらなどがうどんやそばとセットになった定食を是非とも食べて戴きたい。

姫路城を望む日本庭園・好古園内にあるレストラン
姫路城を望む日本庭園・好古園内にあるレストラン

3. 酒饌亭 灘菊かっぱ亭

姫路の蔵元直営の居酒屋「酒饌亭(しゅせんてい) 灘菊かっぱ亭」。
姫路名物「姫路おでん」をはじめとする一品料理を肴に、灘菊の日本酒を味わうことができる地元の人からも人気の一軒だ。
こちらの名物は、姫路を代表するB級グルメ「姫路おでん」。50年伝承する出汁で炊くおでんを、姫路流に生姜醤油につけていただく。なかでも注目は、灘菊オリジナルの大串白おでん。

姫路おでんなど姫路名物が揃う、蔵元直営の居酒屋
姫路おでんなど姫路名物が揃う、蔵元直営の居酒屋

姫路城周辺の観光スポット3選

姫路城周辺には数々の映画やドラマのロケ地として使われてきた、風情ある観光名所が盛りだくさん。
親子で楽しめるスポットもあるので、誰と巡っても楽しめるだろう。
これから紹介する3つのスポットは「姫路城」と合わせて、ぜひとも観光してほしい。

1. 姫路城西御屋敷跡庭園 好古園

世界遺産「姫路城」を借景に城の南西側に整備された池泉回遊式の日本庭園で、約3300㎡の広大な敷地に、御屋敷の庭をはじめとする趣の異なる9つの庭園で構成。
江戸時代(1603〜1868年)の風情を体感することができると人気を集めるほか、時代劇など映画やドラマのロケ地としても知られている。
美しい庭園が広がる好古園は、四季折々の風景も見どころ。
桜が庭をピンク色に染める春、新緑がまぶしい夏、燃えるような紅葉が園内を赤く染める秋、そして真っ白な雪が庭を化粧する冬と、季節ごとに表情を変えるのも魅力だ。

時代劇やドラマのロケ地としても登場する、世界遺産姫路城に隣接する日本庭園
時代劇やドラマのロケ地としても登場する、世界遺産姫路城に隣接する日本庭園

2. 姫路市立動物園

世界遺産「姫路城」の城内、三ノ丸広場に隣接する場所にある「お城の中の動物園」。
動物園を入って真っ直ぐ進むと現れる、赤い「城見橋」からは、お堀越しの姫路城が、旧ゾウ舎の西側からは、大天守がお堀の水面に映る逆さ大天守を見ることができるなど、姫路城のビュースポットとしても知られている。
園内を散策しつつ出会えるのは、キリンやカバなど約30種150点のほ乳類の仲間、ペンギンやフクロウなど約60種200点の鳥類の仲間、ヘビやカメなど約10種30点のは虫類の仲間など約92種、375点の動物たちだ。

世界遺産「姫路城」を望む、「お城の中の動物園」
世界遺産「姫路城」を望む、「お城の中の動物園」

3. 兵庫県立歴史博物館

世界遺産「姫路城」の北東にある歴史博物館で、昭和58年(1983)に郷土の歴史を学ぶことができる博物館として開館。2021年には大規模改修に着手、2023年にリニューアルオープンした。
石垣の壁や狭間を表した換気口など、建築家・丹下健三氏の設計による建物は、別名「白鷺城」とも呼ばれる姫路城をイメージ。
ガラスに映る姫路城は、絶好のフォトスポットとしても知られている。

ガラスに映る姫路城が美しい、郷土の歴史について学べる歴史博物館
ガラスに映る姫路城が美しい、郷土の歴史について学べる歴史博物館

姫路城に関するよくある質問

Q

姫路城は誰がいつ建てた?

A

1346年に赤松貞範によって、建てられたと言われています。

Q

姫路城の魅力は?

A

気品ある外観の美しさや独自の城郭構造から放たれる威厳ある姿などです。

まとめ

現存する城の中でも比類なき美しさを持つ「姫路城」の魅力を紹介してきたが、いかがだっただろうか。
格別の美しさと貫禄を併せ持つだけでなく、長い歴史と日本の文化が詰まった「姫路城」に、ぜひ一度訪れてみてほしい。
「姫路城」とその周辺以外にも、兵庫には魅力的な観光スポットは多い。
兵庫の観光スポットやグルメを厳選した、こちらの記事も参考にして、兵庫観光を楽しんでみよう。