【組紐完全ガイド】日本人の美意識込めた“組紐”の世界

【組紐完全ガイド】日本人の美意識込めた“組紐”の世界

更新 :
筆者 : 元村颯香

2016年に公開されたアニメ映画「君の名は。」ではヒロインの髪ひもや主人公のブレスレットに組紐が使われ、劇中で重要なアイテムとして描かれています。公開直後から組紐のブレスレットが日本国内で大流行し、産地では生産が追い付かないほどになり、社会現象となりました。
“組む”ことをして作られる紐状のものはいくつかあります。ロープ・紐は2束以上の糸をねじって作る“よりひも”。真田紐は経糸と横糸で織っていく“織紐”。リリアンは編み物と同じで、糸をひっかけて結んでいく“編み紐”です。
その中でも組紐は日本の中で、その時代の文化とともに特別に発展してきました。糸を組むことで作られる組紐は、単なる実用品として使われてきただけではなく、日本人の美意識が込められています。
今回はその繊細で美しい組紐の世界をご紹介します。

組紐とは

日本の伝統工芸品のひとつ「組紐(くみひも)」。編んだり織ったりするのではなく、特定のパターンに従って複数の糸を交差させながら組み、立体的な構造の1本の紐に仕上げます。

ひとえに“紐”と言っても、糸の本数や組み方によってその構造はさまざまです。
古代から日本で使われてきたと考えられていて、宗教的に使われてきたり、武具に使われてきたりしてきました。
そして江戸時代以降は、その組紐を帯締めや帯留めという“装飾品”として使用し、着物をいっそう華やかにしたり個性を出したりすることに使ってきました。

かんざしに使用される組紐
かんざしに使用される組紐

組紐の歴史

組紐の起源

組紐の起源は正確には定かではありません。「紐」は人間が誕生した以降いつから使われていたのでしょうか。日本でいうと縄文時代からだと言われています。はじめは獲物を捕らえる道具として木と石を結ぶために“紐”を使っていました。何か新しい道具を作るときには“紐”は必ず必要で、道具を発展させるために不可欠でした。しかしながらその後は機能的な面からは“紐”は大きくは発展していきませんでした。ただ、“飾り”としてはさまざまな進化を遂げていきます。まず飾りとして紐が使われたのは縄文時代(いまから13000年くらい前から2300年くらい前)。2束の糸で作った縄がその始まりと考えられていて、縄文土器の文様をつけるために使われていました。古墳時代のハニワには、服飾に簡易に作られた組紐らしい装飾がつけられています。このことから、古代の人々は衣服の装飾に組紐を取り入れていたであろうことが推察されます。また世界でみると、インカ帝国でも紐を使った痕跡があるとされています。

仏教徒ともに伝来

飛鳥時代奈良時代になると仏教とともに中国大陸から複雑で高度な組紐技術が伝来します。飛鳥時代の聖徳太子の肖像画では刀を腰から下げるための紐として組紐が使われている様子が描かれています。赤・紫・萌黄・淡茶・濃茶・紺の色がついた糸を使って平織のように糸を組んで、左右対称に文様を作っていたようです。男性の小物の装飾に取り入れられることから、仏教文化が盛んだったこの時代、経巻を結んだり仏具を飾ったりすることにまで、さまざまな場面で重宝されていました。この時期の組紐は宗教的な意味合いが強かったと考えられています。というのも、仏教文化の中で使われる組紐には“神聖なものを結んで守る”という意味が込められているからです。

組紐の発展

平安時代には、宮廷文化が発展することとともに、大陸から渡ってきた組紐技術に日本人らしい独特の洗練さが加わります。複雑な組み方が発展していき、縁起の良い柄を生み出したり、多色染めのものが出てきたりしました。貴族たちは組み方や色にこだわった組紐を使って冠や装束を飾りました。ほかに、調度品の飾り紐としても活躍していました。

武士が世の中を治めていた鎌倉時代以降になると、組紐は武具と切り離せない存在になっていきます。伸縮性や耐久性に優れている組紐は普及し、実用化されました。例えば、刀を握る際に滑り止めや防具の固定として組紐を柄に巻き付ける「柄巻(つかまき)」や、刀が抜け落ちないように固定する「下緒(さげお)」として使っていました。ほかにも鎧の各部位をつなぎ、可動性を確保するための「威(おどし)」の役割としての使用もしていました。このように主に武具の付属品となって、色彩も落ち着いていきました。

現在手で組む“手組(てぐみ)”のデザインの種類は100前後ありますが、これは室町時代にはベースの技術である基本構造は完成されていて、この技術を元に現在でも組紐が作られています。

江戸時代末期には和装の帯が現在の形となって、帯締め・帯留めとして使われるようになり、武士が使うだけでなく庶民にも普及していきました。日常的な衣服の一部として使われるようになっていったのです。また、専門の組紐職人が現れ、地方ごとに特色ある組紐が誕生しました。

そして現在は伝統工芸品として伝統が受け継がれていく一方で、帯締めや帯留めだけに留まらず、ストラップやブレスレットなどファッション小物としても使われるようになってきました。いまもなお、伝統を受け継ぎながら新しいデザインを追求しています。

それぞれの産地で発展した組紐

江戸時代に地方ごとに発展した組紐は現在でも産地として残っています。

  • 京都…京都市や宇治市など。平安貴族の華やかさが残る、和装飾用の帯締め・帯留めなど工芸組紐を製造しています。
  • 東京…台東区や杉並区、北区など。武家社会と町人文化の影響を受け、「わび・さび」を感じさせる渋い落ち着いたものが多いです。生糸・絹糸・金銀糸で帯締めや根付紐からネクタイやストラップまで製造しています。
  • 三重県…伊賀市や名張市など。絹糸や金銀糸で作られていて色鮮やか。帯締めや羽織紐などとして欠かせません。

雅な京の地で発展していった「京くみひも」

組紐の一大産地のひとつ、京都・宇治。京都府南部に位置します。「宇治上神社」や「平等院」の世界遺産があり、日本最古の長編小説である源氏物語の舞台にもなっています。また、銘茶「宇治茶」のお店が軒を連ね、歴史を感じる町並みが特徴です。
この宇治の地で京くみひもを製造・卸し・販売を行って約80年。1948年創業の「昇苑くみひも」を訪ねました。創業当時は帯締めや髪飾りなどを作る工房としてスタートしました。創業したご夫婦の家が宇治にあったことからこの地で工場を構えたそうです。
店内に入ると、組紐で作られた雑貨がずらり。こちらではお土産として組紐雑貨を購入することもできます。かんざしからストラップや時計のバックル、グラスコードまで。およそ53種類の商品が並んでいました。中でも人気なのはストラップだそうです。

組紐になるまで

さっそく組紐の作り方を教えていただきました。糸を紐にしていく作業には2種類あります。ひとつひとつ手で組んでいく「手組(てぐみ)」と製紐機(せいちゅうき)という機械を用いて組む「機械組」です。
昇苑くみひもさんでは創業当時は全て手組だったそうですが、60年ほど前に製紐機を導入したのだそうです。現在は手組と機械組の両方で組紐を作っています。その組紐ができあがるまでには様々な工程があります。

手組の場合

糸の染色→糸繰り→経尺→玉付け→手組みという工程になります。

機械組の場合

糸の染色→糸繰り→経尺→撚りかけ→木管巻き→玉付け→組み上げ という工程になり、
手組と機械組で少し工程がちがうことがわかります。
それぞれの工程でどういうことを行っているのか、ご紹介します。

手組による組紐づくり

1. 糸の染色

絹糸を糸の束のまま酸性染料で染め、酢酸で色を定着させます。
昇苑くみひもさんでは現在14色の染料を使って多くの色を表現しています。
染料を正確に溶かして酢酸の量やタイミングに注意しながら、色ムラを少なく、きれいに染め上げています。

2. 糸繰

染色後に、糸の束の状態では次の工程の経尺(へいじゃく)ができないため、絹糸を機械か座繰りで木管や枠に巻き取っていく作業があります。巻き取る際に絡まったり糸が切れたりしないように注意しながらこの糸繰りの作業を行っています。

3. 経尺

きれいな組紐を作る工程で最も肝になる、糸を束ねる作業「経尺」(へいじゃく)。
作る紐に応じて、束ねる糸の本数や長さ、そして色や巻き取る枠の数をこの作業で調整しているのだそうです。
この作業で糸のほつれがなく、スムーズに経尺できるかできれいな組紐ができるかどうか大きく関わってくるのだとか。

4. 撚りかけ

「撚りかけ」(よりかけ)とは経尺した糸に撚糸を施す工程です。
糸を撚ることで、糸のたわみや乱れが解消され、強度が増して紐にピンとした張りを与えます。

5. 木管巻き

撚りを施した糸の束をボビンに巻いていきます。
機械組の場合はその機械に対応したボビンが決まっているため、ひとつひとつ手で巻いているそうです!

6. 玉付け

ボビンのことを玉とも呼び、その玉を機械にセッティングしていく作業です。

7. 組上げ

組紐に組みあげていきます。

組上げ(くみあげ)
組上げ(くみあげ)

製紐機による組紐づくり

1. 製紐機について

現在機械で作る組紐は、60台ほどの鉄製の製紐機を使って作っています。
基本的には1台の機械で組むことのできる紐の構造は1種類です。

製紐機
製紐機

当時、機械を取り入れることで組紐の量産を実現したのだそうです。機械が組紐を作りはしますが、機械場で紐づくりに携わる職人の方も手組の技術と知識を大切に、より高品質な紐を目指して日々技術を磨いていらっしゃいます。
製紐機によって大きさがさまざま。
こちらで所有している製紐機のボビンの最小単位は3個でできる「三つ組」から、最大56個で組む「平紐」まで。

4本のボビンの製紐機
4本のボビンの製紐機

そのボビンがレールに沿って自動で動いて、組紐を組んでいく、というわけです。
よくみると、ボビンの動きが機械によって違います。それもそのはず。
レールのデザインがそれぞれの機械によって違います。

多くのボビンを使った製紐機
多くのボビンを使った製紐機

どの機械で組むかは、組み方や商品によって変えているのだそうです。
自動でカシャカシャ動いていく様子はボビンが踊っているようで、何時間でも見ていられました。

2. 製紐機で組める組紐の種類

製紐機で組める種類は多数あります。ここでは一部をご紹介します。

名称 玉数 特徴
江戸打 八玉 代表的な組紐。8色まで混色することが可能。
四つ組 四玉 四玉で作られるシンプルな構造。バランスと撚りの加減で良し悪しが出やすい紐。
根付紐や羽織紐として使用されています。
唐打 十六玉 江戸打よりも目が細かい紐です。
江戸紐よりも丈夫で固く組むことができます。
神社仏閣の結びで使われたり、数珠の軸紐に使われたりすることが多いです。
角杉 二十四玉 糸と糸の組み目が滑らかで、つるつるとした見た目が特徴的です。
金剛組 二十四玉 筒状になった丸紐で、かなり密に組まれる構造のため、
表面の凹凸があまりなく、丈夫な組紐です。

手組の美しさ

手組で組紐を作る際には組台と呼ばれる台を使って組んでいきます。
台の形によってできあがるデザインや形状はさまざまです。

1. 手組で使用する台

角台

後述の組紐体験でも使用している組台です。紐が上に組みあがってくるため、組んだ部分を自分の目で確かめながら組むことができます。初心者にも向いている台です。

丸台

台の真ん中の穴から紐が組み下がってくる組台です。平紐や丸紐の形状を組むことができます。大きいもので30玉前後の組目のものも作ることができます。

綾竹台

一般的な組紐は糸が螺旋構造で絡まった形で組み上げられていますが、綾竹台で作ることのできる組紐の特徴は織物の構造に似ているため経糸と緯糸にあたる糸が存在していて、経糸がしっかりと組織の中を走っていることにより組紐の中でも伸縮性が少ない組紐になります。
横糸にあたる抜き糸の絞め具合で紐の固さを調整することができます。

高台

1m四方ほどの組台の中央に職人が座り、左右に広がる糸を繰りながら紐に組み上げていきます。
紐を組むために使用する玉が数十から100を超えるものまであり、細かい組目が特徴です。
2段や3段の複雑な構造で、さまざまな柄を出すことができる組台です。

2. それぞれの組台でできるデザイン

角台

丸唐
糸の交差を外に出しながら組み上げます。耐久性がある組み方です。
千倉
複雑な組み目が特徴的です。内側へと組み込まれていく動きのため、奥行きのある陰影が印象的な組紐です。

丸台

丸源氏
色違いの矢羽柄を交互に組み込むのが特徴です。配色によってさまざまな模様を表現できます。また、丈夫な仕上がりで、室町時代には鎧兜の紐としても使用されていました。
ゆるぎ
玉数24玉。紐の中に空気を含むように組まれているため、伸縮性があるのが大きな特徴です。帯締めとして広く使われていて、紬や小紋などの普段着から正装まで幅広く使うことができます。
唐組
紐自体の凹凸が非常に強調されるところが魅力的な紐です。

綾竹台

よろい組
緻密で複雑な文様が特徴です。強度があります。
よろい組
よろい組

高台

菊唐組
菊の花をモチーフにした組み方です。立体感があり、華やかさがあるのが特徴です。
点絣
1枚ものの紐です。裏と表は同じ柄で、繊細な組目の中にワンポイントの色目がかわいい組紐の一つです。

組紐を“結ぶ”

組紐は紐を結び、形づくって使用することができます。日本では古来より「結び」の技術が発展してきました。この「結ぶ」に込められた意味も日本の精神性を感じざるを得ません。結びの語源は「産霊(むすひ)」で「魂が生まれること」を意味しています。
日本最古の史書のひとつである日本書紀に登場する「かたむすひの神」は万物の生成にまつわる神として日本神話においてとても重要な神のひとつです。日本では古くから「結ぶ」ことで新しいエネルギーが生まれると考えられていました。実はこの「むすひ」という言葉は日本人の日常でも多く見られます。
人と人が「結」ばれて生まれてくる子どもを指す「息子」や「娘」という言葉は「むすびひこ」「むすびひめ」が由来とされています。人と人との縁や絆などの「結びつき」を大切にする日本人の精神性が表れています。

組紐も結ぶことでご縁を結んだり、幸運を招いたりする象徴として使われてきました。
結び方にもそれぞれ意味が込められています。ここでいくつかご紹介します。

梅結び

梅の花をモチーフにしています。
梅の固い形をイメージしていて、一度結ぶと簡単にはほどけません。そこから固く結ばれた絆を象徴します。
また梅の花は厳しい寒さの冬を乗り越えて開花するため運命向上の意味があります。
さらに梅は魔よけの効力があると考えられているため、魔よけとしての意味が込められています。
結婚祝いや就職祝い、新築祝いなど、さまざまな祝い事で使われる。

梅結び
梅結び

荘厳結び

仏前を荘厳にするために使われる結びのひとつです。お寺などでよく見られます。
縁起のいい結びです。

荘厳結び
荘厳結び

淡路結び

一度結ぶとほどきにくい「結び切り」と言われる結びのひとつで、結婚祝いや快気祝いなど二度と繰り返したくないお祝い事で用いられることが多いです。
結び目の両端が輪になっていて鮑に似ているためこの名がついたと言われています。
また、両端を引くと強く結ばれるためその絆が「末永く続くように」という意味も込められています。

淡路結び
淡路結び

菊結び

結び目が菊の花の形に似ていることから名付けられました。
縁起のいい飾り結びで、延命長寿の意味が込められています。
着物の上着やたすき、刀剣・弓などの飾り房として使われることが多いです。

菊結び
菊結び

国結び

「国」の字に似ていることからこの名前が付けられました。
複雑な結び目から、平安や幸運などの意味をもちます。中国では「藻井結」と呼ばれています。

国結び
国結び

叶う結び

願いが叶いますようにという願いが込められた縁起のいい結びのひとつです。
結び目を表から見ると「口」に見え、裏から見ると「十」の形に見えます。
そこから“叶”う結びと名づけられました。神社やお寺でいただくお守りや木札の結びに使われています。

叶う結び
叶う結び

亀結び

亀の甲羅の形に似ていることからこの名がつけられました。
亀は古来より長寿の象徴。そのためこの結びには「長寿の願い」や「末永く続きますように」の意味が込められています。お正月には門松や鏡餅の飾りつけに用いられています。

亀結び
亀結び

華鬘結び

仏教とともに日本に伝わりました。仏の力によって万物を幸福に導くとされる結びです。
華鬘(仏具)の飾りや人形の胸の部分の紐など装飾として使われています。
夫婦の契りを結ぶ、ご縁を結ぶなどの意味合いが込められています。

華鬘結び(けまんむすび)
華鬘結び(けまんむすび)

総角結び

古くから伝わる飾り結びのひとつです。結び目の形によって意味が変わります。

  • 「人型」…魔除けや災難除けの意味が込められていて、戦場へ赴く武士の武具、鎧兜に使われていました。
  • 「入型」…福を呼びこむという意味が込められていて、調度品や御簾を巻き上げる房に使われています。

ほかに結婚式の祝い事に用いられることもあります。

総角結び
総角結び

袈裟結び

僧侶が身に着けている袈裟の装飾の房で使われています。
尊い経文を大切に守るために結び留めておくという意味が込められています。
ほかにも絆を強くするなど縁起物としての意味もあります。

袈裟結び(けさ結び)
袈裟結び(けさ結び)

職人の手

昇苑くみひもさんでは結んだものを商品として販売しています。
この結びの作業は、全て職人の方の手作業で行っています。

職人の手
職人の手

社内の加工を担う職人は10名前後だそうで、この人数では年間数千、数万の商品づくりに間に合いません。
そこで創業当時から内職として自宅で組紐を結ぶ職人が宇治だけで60名ほどいるのだそうです。
宇治の町全体で手作りの商品を実現していて、この生産体制があるからこそ、小ロットでも高品質なものづくりを実現しているのです。
ひとつひとつが手作りということを知るとより商品に愛着がわいてきますね。
また、組紐だけを買って、自身で好きな形で結んで何かを作ることもできます。

実際に組紐を“組む”体験をしてみよう!

「昇苑くみひも 宇治本店」では体験日の一週間前までに予約を申し込むと、組紐を手で組む体験ができます。
全くの初心者でも問題ありません。糸から紐になるまでの”組む”工程を職人の方に直接指導してもらいながら体験することができます。
まず予約時点でどの色で体験するか伝えます。色はクジャク色、抹茶色、赤色、藤色、濃紺色、黄色の全6種類から選ぶことができます。

色見本:クジャク色、抹茶色、赤色、藤色、濃紺色、黄色
色見本:クジャク色、抹茶色、赤色、藤色、濃紺色、黄色

体験当日、角台を使って赤4本、白4本、合計8本の糸で組んでいきます。
角台の四辺に赤白1本ずつぶら下がった状態になっています。

体験で使用する角台
体験で使用する角台

木玉が重りになっているので糸はぴんと張っています。その糸を左右に交差させて組んでいきます。
体から離れたほうの糸を取るときは親指で、体に近いほうの糸を取るときは4本指で糸を下からかけて取っていきます。慣れるまでは左右どちらに動かせばいいのか、手はどの方向から取るかなど頭の中がこんがらがりましたが、職人の方がやさしく教えてくれたので安心して組んでいきました。

もし左右組み間違っても問題ありません。
職人の方がほどいて、正しく組めているところまできっちり元に戻してくれました。
慣れ始めると、組んだときに重りの木玉がもうひとつの木玉に当たって「カチッカチッ」と心地よい音が聞こえてきます。自然と集中しながら、手を使って糸を交差させて組み上げていきます。

組みあがっていく様子
組みあがっていく様子

少しずつ組みあがっていく様子が楽しく、無心になりました。30分~45分ほどかけて出来上がり。
出来上がった紐は、ストラップ・バッグチャーム・ブレスレットの中から2点選んで、職人の方にその場で仕上げてもらえます。

ストラップ・バッグチャーム・ブレスレット
ストラップ・バッグチャーム・ブレスレット

木玉と木玉がぶつかるぬくもりある音が室内に響き、ゆったりとした時間を過ごすことができました。
完全予約制なので、もし訪ねるときは必ず予約をしてから行きましょう。

体験概要

場所
昇苑くみひも 宇治本店
電話
0774-66-3535
人数
1回につき4名まで(小学5年生以上が対象)
完全予約制
1週間前まで(向こう2か月間)
費用
ひとり3,850円(税込)
開始時間
11時~、13時30分~(1日2回)
所要時間
約1時間
内容
角台を使って江戸紐と呼ばれる八つ組を組みます
公式サイト
手組み体験公式サイト

予約の手順

参加希望の方は、1週間前までに上記体験の公式サイトの問い合わせフォームから予約が必要です。
申し込み内容の確認後、ショップからメールで返信があります。

組紐で作られたアクセサリーをお土産に

昇苑くみひもさんでは組紐で作られたアクセサリーや雑貨を購入することもできます。

正絹ストラップ

さまざまな色とデザインで作られているのは正絹ストラップ。
こちらは携帯電話の飾りとしてお土産の中でも特に人気があり、昇苑くみひもの代名詞ともいえるアクセサリーです。携帯電話だけでなく、かばんや杖などの飾りとして使ったり鍵やUSBにつけたり、何にでも使うことができます。天然染、厄除け、ちりめん、江戸打、矢絣、絹艶、綾高麗、キュービック、四つ組、裏金の10種類のデザインと、それぞれ5~11色からなるこのストラップは、絹のあでやかな高級感が特徴です。

正絹ストラップ
正絹ストラップ

グラスコード

こちらも大好評の商品のひとつです。紐の良さを最大限にいかしたこちらの商品は、絹ならではの艶と軽さが特徴。絹なので首にかけたときに優しく柔らかい肌触りで、肩や首に余計な負担をかけずにすみます。
角八つ、八つ組、唐打、四つ組の4種類の組み方でできていて、3~6色から選ぶことができます。

グラスコード
グラスコード

くつひも

お気に入りのスニーカーをもっとおしゃれにしてみたい方におススメなのがこちらの組紐でできたくつひもです。紐に凹凸をつけたり、柔らかくしたり、幅を変えたりと1年以上何度も試行錯誤しながら商品化したそうです。靴にこだわる方へのプレゼントにも最適です。

くつひも
くつひも

正絹カードケース

「襲色目(かさねのいろめ)」という平安貴族によって生み出された、伝統的な優雅な和の色彩文化の配色を元に作ったカードケースです。大和組と呼ばれる光沢が美しい組紐を縫い合わせて職人の方がひとつひとつ手作りで仕上げています。立体感のある重厚な手触りで、とても温かみが感じられるひとしなです。

正絹カードケース
正絹カードケース

ここで紹介したのは一例にすぎず、まだまだ魅力的な組紐アクセサリーがたくさんあります。
組紐づくりを体験したあとは、自分用や家族・友人用のお土産にぜひお買い物してみてください!

昇苑くみひも 宇治本店

住所
〒611-0021 京都府宇治市宇治妙楽146-2
営業時間
10:00 - 17:00
定休日
なし(夏季・冬季休業あり)
電話番号
0744-66-3535
アクセス
1)JR奈良線・宇治駅から徒歩8分
2)京阪宇治線・宇治駅から徒歩12分
公式サイト
公式サイト

まとめ

その1本の紐を“結ぶ”ことで人と人との縁までもを結んできた組紐。古くに確立されたデザインをこれまで脈々と受け継いできました。大昔に考えられた組み方なのにも関わらず、現代にも通用する洗練されたデザインは、当時の日本人の美意識の高さがうかがえます。組紐を通してあなたの新しいご縁が結ばれることを願っています。

元村颯香

筆者

フリーアナウンサー

元村颯香

伝統文化や芸能、歴史を中心に発信