フェリー好きの、フェリー好きによる、偏愛旅ガイド。フェリー旅の魅力と、推しの航路14選

フェリー好きの、フェリー好きによる、偏愛旅ガイド。フェリー旅の魅力と、推しの航路14選

更新 :
筆者 :  GOOD LUCK TRIP
監修 :  吉澤 慶子

旅のスタイルが「速さ」や「効率」を求めるものに偏りがちな現代において、あえて時間をかけて移動する「フェリー旅」が静かなブームとなっている。
そんな「フェリー旅」をテーマにした今回の『偏愛トラベル』ガイドは、「フェリー好き兼業イラストレーター」として活動する吉澤慶子さん。ここ3年だけで130回以上も日本各地のフェリーに乗ってきたほか、片道40分の東京湾フェリーに2日間で24回!(初日は10回、2日目は14回)も乗ることもあるという。
新幹線や飛行機などに比べると、まだまだ身近な感覚がないフェリーだが、その魅力はどんなところにあるのか?

海なし県育ちの私がハマった、フェリーの沼

私は生まれも育ちも埼玉県で、今も変わらず埼玉に住んでいます。海なし県の埼玉で生まれ育った私がフェリー好きになったきっかけは、子どもの頃にゲームの中で見た豪華客船でした。
当時の身近な乗り物といえば、電車、バス、車のほか、せいぜい飛行機くらい。フェリーや客船なんて全く馴染みがなくて、非日常でファンタジーのような乗り物だったんです。

大人になると、横浜港に停泊しているクルーズ船、コンテナ船や自動車運搬船やタンカーなどの大きな船を撮影するのが趣味になっていました。毎週のように横浜港へ行って船の写真を撮る生活が続く中で、大好きな大型船をもっと近くで見たいという欲求が沸々と湧き上がってきたんです(笑)。

いろいろ調べた結果、福岡の門司港と山口の下関を結ぶ関門橋に行けば、大型船が行き交うのを近くで見られるという情報を得ました。さらに、門司港のすぐ近くに新門司港があり、長距離フェリーが多く発着していることも知ったんです。「見られるし乗れるし、ちょうどいい!」ということで、思い切って一人旅に出かけたのが、人生初の長距離フェリー旅でした。実際に乗ってみと楽しくて楽しくて、それから転げ落ちるようにハマってしまってかれこれ10年・・・。今なおハマり続けているという感じです。

フェリー沼にハマり続けて10年の吉澤慶子さん
フェリー沼にハマり続けて10年の吉澤慶子さん

フェリーってどんな船?

本題に入っていく前に、まずはフェリーの定義を整理しておきましょう。意外と間違われやすいのですが、フェリーと一般的な旅客船には決定的な違いがあります。それは、車を載せられるかどうか。

フェリー
車両甲板をもち、車を輸送でき定期航路を行き来する船。
旅客船
車を載せず、コンテナや人のみを運ぶ船。

ちなみに、東京の竹芝と伊豆諸島を結ぶ船は、大型ですが車を載せないため、フェリーではなく旅客船扱いです。一方、広島の厳島(宮島)へアクセスする船は、小型で片道約10分の短い航路ですが、車を載せるので、フェリーに属します。

ただ、今回の「フェリー旅」というテーマに当てはまるのは、比較的大型で運航距離も長めのフェリーですね。

フェリーとは、車を載せて輸送する船を指す
フェリーとは、車を載せて輸送する船を指す

旅客にうれしいあれこれが充実で快適

「フェリー旅って快適に過ごせるの?」と思っている方はいないでしょうか。そんな方にこそ、ぜひフェリーに乗っていただきたいです。
以前のフェリーは、どちらかと言えば旅客よりも貨物メインという感じが否めない部分もあったかとは思います。ただ、最近は貨物車のドライバーさんはもちろん船旅のお客さんにも満足してもらえるようなフェリーが増えてきている印象です。

衛星通信などでインターネットが繋がりやすくなっていたり、個室の種類が充実していたり、パブリックスペースも船内の様々な位置にあったり、相部屋でもプライベート空間が確保されていたり、そもそも相部屋がなく全て個室だったり・・・。

旅客にうれしいあれこれが充実していて快適に過ごせることが、最近のフェリーでは当たり前になってきています。

ホテルのように豪華な個室を備えたフェリーも
ホテルのように豪華な個室を備えたフェリーも

女性の一人旅や学生のグループ旅も増加中!

フェリーが快適で満足度の高い乗り物だということは、お客さんの利用動向からも見て取れます。
10年前に私が乗っていた時と比べ、女性の一人旅でフェリーを使う方がとても増えているんです。私と同年代、 30代や40代くらいの女性が多い印象で、今後もまだまだ増えるだろうと思っています。
他の乗り物にはない部分として、お風呂に入れたり、横になって寝られたり、個室のプライベート空間があったり、防犯面も安心だったり・・・。女性専用ルームやパウダールームが備え付けられていたりするので、身支度もしやすいですし。

あとは、長距離フェリーの運航時間もポイント。長距離フェリーは、夕方や夜に出発して翌日の早朝に到着するケースが多いんですよ。横になって眠れてスッキリ起きた状態で朝から動けるというのも、旅人にとって大きなメリットだと思います。

一人旅でフェリーを使う女性も増加中
一人旅でフェリーを使う女性も増加中

集め始めると沼!? 御朱印ならぬ御船印

そうした最近のフェリー人気を強力にプッシュしているのが、御朱印の船バージョン「御船印」です。2021年にスタートしたのですが、その前からとても楽しみにしていて、スタート直後からずっと集めています。集めるともうやばいですよ、沼ですよ(笑)。もう初めから沼にダイブする感じで、突っ込んでいきました。

船の就航何周年記念や、引退のお別れ記念など、船のイベントに合わせた限定の御船印が出ると、それを目当てに旅の予定を立てたり、その旅で乗る船に合わせて別の船に乗って御船印をゲットしたり。御船印をきっかけに、乗る船の種類が増えました。長距離フェリーばかり乗っていたのに、レストラン船や遊覧船など、フェリー以外の船にも乗るようになりましたね。それぞれの良さが分かったりして、船旅の幅がぐっと広がった印象です。
また最近は、あえて自分の誕生日に合わせて乗りに行き、バースデーカードとして御船印を手に入れて楽しんでいます。

御船印をきっかけにフェリー旅の魅力に目覚める人も多い
御船印をきっかけにフェリー旅の魅力に目覚める人も多い

旅の楽しみ「食」も充実で大満足!

旅の楽しみといえば、やっぱり「食」ですよね。もちろん、フェリー旅でもその醍醐味を存分に堪能できます。九州航路では焼きカレーとか、四国航路ではうどんとか、発着地の名物グルメがレストランで出たりするんですよ。フェリーごとに食事の形式が違うのも魅力。
大抵はバイキング形式なんですが、オーダー形式もあれば、カフェテリア方式もあり、夏季限定ですがデッキでバーベキューを楽しめるケースもあります。

逆に、レストランがなくて冷凍食品の自販機が並んでいるようなフェリーも。味気なく思われるかもしれませんが、これはこれでめちゃくちゃ楽しいです。自販機が一面に何台も並んでいて、その傍に自販機で買ったものを温めるための電子レンジも同じように何台も並んでいる光景は圧巻(笑)。
うどんやおにぎりといった手軽なものから、一つ1,000円近くするような豪勢なもの、お酒のおつまみまで、内容もバラエティ豊かで楽しめます。

フェリーによって食事のスタイルやシステムが違っていたり個性が光っていたりするので、いろいろ乗り比べて体感してみてください。

非日常な船上での食事もフェリー旅の大きな楽しみ(※写真は名門大洋フェリーのもの)
非日常な船上での食事もフェリー旅の大きな楽しみ(※写真は名門大洋フェリーのもの)

自由度の高いフェリー旅。楽しむためのコツやポイント

フェリーは、とても自由度の高い乗り物です。豪華なバルコニー付きの個室もあれば、ちょっとしたカプセルホテルのような寝台がたくさん並んだ相部屋なんかもあったりして。
その時の懐具合や気分などによって、いろんなチョイスができます。フェリーごとに雰囲気も違いますから、ご自身の中でどう過ごすのが好きなのかを掘り下げながら、いろいろ乗ってみるのが楽しいんじゃないでしょうか。

自由度の高いフェリー旅の楽しみ方に、How Toやマニュアルなんてありません。ただ、楽しむためのコツやポイントは幾つかあるので、ここでは持ち物についてご紹介しましょう。

持っておくと便利なものは、延長コード。個室が前提なのですが、船内にコンセント自体が少なかったり、ベッドから離れていたりすることも結構ありますから。「延長コードを持っていけばよかった」という話を、よく聞きますよ。
あとは、日常生活でよく食べたり飲んだりしている嗜好品も、フェリー旅に持っていくとテンションが上がります。私の場合は、コーヒー。紙カップ入りのコーヒーを持っていって、給湯できる場所でお湯だけいただいて、自分の好きなタイミングで飲んだりしていますね。普段の日常と船旅の非日常が混ざる感じがして、良いなと思います。

延長コードはフェリー旅で重宝する持ち物のひとつ
延長コードはフェリー旅で重宝する持ち物のひとつ

フェリー旅につきものの船酔い対策

フェリーに限らず船の旅に対して、船酔いの不安や心配を抱いている方も少なくないでしょう。私自身、もともと三半規管が弱くて、エレベーターやブランコでも酔ってしまうんですが。

そんな私が、おすすめしたいのが瀬戸内海航路。関西から北九州へ行く、私が初めて乗った航路ですね。もちろん天候にもよりますが、基本的には波がなくて、動いているのかどうか分からないくらい穏やかな海域を進みます。ここから始めると自分の中で船に乗る事への抵抗感がなくなっていきました。

あとは、薬です。私は、アネロンニスキャップという酔い止め薬を常備してフェリーに乗っています。何かあっても、これを飲めばひとまず大丈夫だという安心感がありますからね。(※吉澤さん個人の感想です)

また、寝方も船酔い対策のポイント。頭を船の中心の方に向けて寝ると、揺れの感覚が抑えられます。外側に向けて寝ると、揺れと一緒に頭も動いてしまうので酔いやすいです。

携行用ピルケースの中に酔い止め薬を入れておくと安心
携行用ピルケースの中に酔い止め薬を入れておくと安心

乗ってみればきっと沼る!全国各地の推しフェリー14選

全国各地のフェリーの中から、悩みに悩んで選んだ推しフェリーをご紹介します。理路整然とフェリーの魅力を語れないので、あくまでも私の実体験と主観に基づいたガイドです。乗ってみたいと思っていただけたら、とてもうれしく思います。

1. 【北海道】シルバーフェリー シルバーティアラ(北海道・苫小牧西港〜青森県・八戸港)

前面展望ビューシートからの絶景は必見!

北海道からは、苫小牧西港フェリーターミナルを発着する2つのフェリーをご紹介します。
まず一つは、苫小牧と八戸を結ぶシルバーフェリー。1日4便、4隻体制で運航されています。そのうち「シルバーティアラ」という船がおすすめです。
船自体が結構新しめで綺麗なことに加え、前面展望のビューシートがあることが気に入っています。プレミアシートのような前がしっかり見えるシートでしっかり見届けられるんです。また、苫小牧発は夜出港なので星もすごく綺麗に見えますよ。

ビューシートからの眺望が素晴らしい「シルバーティアラ」
ビューシートからの眺望が素晴らしい「シルバーティアラ」

〜ターミナルの推し情報〜

苫小牧西港フェリーターミナルは、北のフェリー聖地みたいな場所。シルバーフェリーと太平洋フェリーと商船三井さんふらわあが三隻停泊している時の風景なんて、もうたまりません。10分ほど歩くと、入船公園という小さな公園があり、間近で着岸や離岸のシーンが見られます。

2. 【北海道】商船三井さんふらわあ さんふらわあ さっぽろ・ふらの(北海道・苫小牧西港〜茨城県・大洗港)

入港船と出港船のすれ違いは必見

2つ目は、商船三井さんふらわあの夕方便、さんふらわあ さっぽろ・ふらの。苫小牧→大洗の上り便です。
出航して20分後くらいのタイミングで、苫小牧に入港しようとする深夜便とすれ違うんですよ。特に放送などもなく、汽笛を鳴らすわけでもなく、シレっとすれ違うので、知る人ぞ知るという感じ。

海から昇る朝日もまた絶景
海から昇る朝日もまた絶景

3. 【東北】津軽海峡フェリー(青森県・青森港〜北海道・室蘭/函館)

名物の自販機グルメは大ボリュームのガッツリ系

東北は、青森港発着の津軽海峡フェリーです。大間と函館を結ぶ便もありますが、私は青森から室蘭港か函館港発着の便をよく利用します。距離的にはそれほど長いわけではないのに、割としっかりした個室もあり、値段もそんなに高くないんですよ。徒歩乗船用の割引もあるので、気軽に利用しやすいと思います。
レストランはなく、食事は自販機グルメを楽しむタイプ。ドライバーさん向けに、ボリュームのあるガッツリ系なんですよ。焼きおにぎりなんて、ずっしりしたサイズが2つ入っていて、バターが乗っかっていたり。何を食べようか悩むのも、すごく楽しいです。

青森〜函館間を運航する「ブルーマーメイド」
青森〜函館間を運航する「ブルーマーメイド」

4. 【関東】オーシャン東九フェリー(東京都・東京港(有明)〜徳島県・徳島港(中州)〜福岡県・新門司港)

1,000km超、2泊3日34時間の長距離航路

関東もすごく悩ましくて、2つご紹介させてください。
まず一つが、東京の有明から徳島を経由して北九州の新門司へ向かう長距離航路の、オーシャン東九フェリー。関東を発着する数少ないフェリーで、長距離フェリーの中では唯一東京ゲートブリッジをくぐるんです。私はフェリーで橋をくぐるのが好きで、毎回デッキや窓から見ています。
これも、レストランがなく自販機グルメを楽しむタイプ。他のおもてなし系のフェリーとは違って、結構放っておいてくれるので、ちょっと渋い感じのが好きな人にはおすすめです。
徳島で降りることもできますが、せっかくなら新門司まで乗り通して、1,151km、2泊3日のフェリー旅を楽しんでみてください。

東京から出航後30分ほどで東京ゲートブリッジをくぐる
東京から出航後30分ほどで東京ゲートブリッジをくぐる

5. 【関東】東京湾フェリー(神奈川県・久里浜港〜千葉県・金谷港)

間近を行き交う大きな船や、富士山の眺めは最高

関東の2つ目は、短距離航路の東京湾フェリーです。浦賀水道を突っ切るような航路で、千葉県の金谷と神奈川県の久里浜を片道約40分で結んでいます。
浦賀水道は船にとって黄金のルートで、東京や横浜、横須賀などを発着するいろいろな船が行き交っているんです。東京湾フェリー自体はそれほど大きな船ではないですが、目の前を300m級の巨大な船が通っていく光景が見られるので、船好きにはたまりません(笑)。
発着地の久里浜が横須賀に近いので、船内の売店で海軍ゆかりのカレーパンが売られています。温めてもらって、外のデッキで食べながら海を眺めるのも楽しいです。天気が良ければ、富士山が綺麗に見えますよ。

富士山の雄大な姿を一望できるのも大きな魅力
富士山の雄大な姿を一望できるのも大きな魅力

〜ターミナルの推し情報〜

金谷港のフェリーターミナルは小さいながらも品ぞろえが豊富で、いろいろな美味しいものが売っています。おすすめは、地元産のアジを使った肉厚なアジフライを、フワフワのバンズでサンドした「漁師バーガー」。揚げたてを出してくれるので、すごく美味しいんですよ。よく乗船の合間に買ってかじりついています。

6. 【関東】東京九州フェリー(神奈川県・横須賀港〜福岡県・新門司港)

横須賀と新門司を結ぶ長距離フェリー

せっかくなので、関東からもう一つ。横須賀と新門司を結ぶ、東京九州フェリーです。久里浜から横須賀までは、電車でサクッと移動できる距離。東京湾フェリーに乗って久里浜へ着いた後、東京九州フェリーに乗ってそのまま九州へ出発するという、フェリーはしごの旅も楽しめます。2021年に誕生したばかりの新しい航路で、関東と九州を一日で移動できます。船も新しいので、船上でバーベキューできるなどかなり快適な船なんですよ。

最新鋭の大型フェリー「はまゆう」と「それいゆ」が運航
最新鋭の大型フェリー「はまゆう」と「それいゆ」が運航

〜ターミナルの推し情報〜

東京九州フェリーの横須賀フェリーターミナルも、好きなターミナルですね。すぐ近くに、連合艦隊の旗艦として活躍した戦艦「三笠」を保存展示した「世界三大記念艦『三笠』があったりして、軍港のまち横須賀ならではの風景や雰囲気が楽しめます。そうそう、ターミナル内にあるカフェのミックスジュースがめちゃめちゃ美味しいという噂を最近聞きました。次に乗る時は絶対飲もうと思っています。

7. 【中部】太平洋フェリー いしかり(愛知県・名古屋港〜宮城県・仙台港〜北海道・苫小牧西港)

日本最長航路の豪華フェリー

中部も推しが2つあるのですが、まずは私が一目惚れしたフェリーをご紹介します。名古屋〜仙台〜苫小牧を結ぶ太平洋フェリーで、中でも「いしかり」という船が好きなんです。長距離フェリーで最初に出会ったのがこの「いしかり」で、自分の中でもずっと特別感があります。
「エーゲ海の輝き」というコンセプトで、船内の至る所が豪奢。パブリックスペースには展望エレベーターがあったり、透明なグランドピアノが置かれていたり。船としての余裕みたいなものを感じて大好きです。
また、この航路を推したもう一つの理由は、「名港トリトン」という橋をくぐること。出港する時にくぐると「旅が始まる!」ってテンションが上がり、逆に北海道から帰ってくる時は「ああ終わっちゃう」って寂しくなるんです。旅の切り替えポイントみたいな感じで、気分が上がったり下がったりします。
また、太平洋フェリーは、姉妹船の反航も見どころです。船同士が近い距離ですれ違い、お互いに汽笛を鳴らし合ったり手を振り合ったり。船旅ならではの旅情が感じられて、すごく好きですね。
ちなみにこの航路は、片道1,330km、約40時間2泊3日で日本最長を誇ります。仙台で一時下船もできるので、散策や買い出しに出かけて仙台の名産品を食べながら、北海道に向かう過ごし方もたのしいですよ。

展望エレベーターがあるなど豪奢な船内
展望エレベーターがあるなど豪奢な船内

8. 【中部】駿河湾フェリー(静岡県・清水港〜静岡県・土肥港)

駿河湾の海上から富士山の絶景を一望

中部の二つ目は、日本三大美港の一つに数えられる清水港と、海上交通や近海漁業の基地として知られる西伊豆の土肥港を結ぶ、駿河湾フェリーです。
船名は「富士」で、その名の通り富士山の景色がよく見えます。富士山の山頂から山麓、海岸線までを一望する絶景は、いつ見ても何度見ても感動ものです。
デッキには「県道223(ふじさん)号」の面白い標識があり、富士山をバックに撮影すれば映えること間違いナシ。ちなみにこの航路は、静岡県から県道223号に認定されているそうですよ。
船内のカフェでは、駿河湾のオーシャンブルーをイメージしたジェラートやバウムクーヘンも売られています。

雄大で美しい富士山の姿が船上から一望できる
雄大で美しい富士山の姿が船上から一望できる

9. 【北陸】新日本海フェリー すずらん・すいせん(福井県・敦賀港〜北海道・苫小牧東港)

哀愁や旅情を感じさせてくれる長距離航路

北陸のフェリーは開拓中なんですが、推しを一つ。福井県の敦賀港と北海道の苫小牧東港を結ぶ、新日本海フェリーの「すずらん」「すいせん」です。新日本海フェリーの船には、それぞれに植物の名前が付いていて、船内のあらゆる場所に花の絵が描かれた看板があって可愛いんですよね。
まだ乗った回数は多くありませんが、敦賀からターミナルや他の船を眺めながら出港していくのが、苫小牧の雰囲気に似た部分もあって好きです。工場地帯っぽい港を後にする雰囲気が、哀愁を感じさせてくれます。
そして、北海道に近づいてくると、だんだん他のフェリーとすれ違ったりするのも旅情があって、印象に残っています。

敦賀と苫小牧を約20時間30分で結ぶ
敦賀と苫小牧を約20時間30分で結ぶ

10. 【関西】オレンジフェリー(大阪府・大阪南港〜愛媛県・東予港)

「宇和島鯛めし」など食事の美味しさに定評アリ!

関西も、本当に悩ましいんですが、オレンジフェリーを推しましょう。推しポイントが幾つかあるので、順番にいきますね。
まず、大阪南港の最寄り駅を降りてすぐのところにターミナルがあるので、すごくアクセスがいいんです。すぐ隣に名門大洋フェリーもあるので、船を見るのも楽しめます。
次に、食事が美味しい! なかでも、愛媛県の郷土料理「宇和島鯛めし」がめちゃめちゃ美味しいんです。
そして、窓付き個室ですね。一般的に一人用のシングル個室は、船の内側に配置されていて窓がないケースが多いんですよ。でも、オレンジフェリーは、デラックスシングル個室を取ると窓がついた個室で過ごせます。やっぱり、船旅をするうえで窓の有る無しは重要ですよね。窓なしの個室と比べて値段もそれほど高くないので、ぜひ窓付きの方のシングル個室を取ってみてください。
そうそう、部屋の中に自転車も持ち込めるので、しまなみ海道のサイクリングにも便利です。

愛媛県の名物「宇和島鯛めし」 ※写真はイメージです
愛媛県の名物「宇和島鯛めし」 ※写真はイメージです

〜ターミナルの推し情報〜

オレンジフェリーとは関係ないんですが、商船三井さんふらわあが発着しているターミナルも近くにあって、大阪南港ATCから、さんふらわあの船がしっかりと見えます。すぐ近くのホテルから、かじりつくようにさんふらわあの発着を眺めてていたのもいい思い出です。
また、ATCの中には、さんふらわあが運営している「ふねしる」という船の博物館があります。そこで売っている船グッズが、めちゃめちゃ可愛いんですよ。

最寄り駅直結のATCからフェリーを間近に眺められる
最寄り駅直結のATCからフェリーを間近に眺められる

11. 【中国・四国】SEA PASEO(広島県・広島港〜広島県・呉港〜愛媛県・松山観光港)

おしゃれで素敵な個性派フェリー

中国・四国からは、まず瀬戸内海汽船さんのシーパセオです。広島から呉を経由して松山に行くフェリーで、日々定期便が運航されています。
とにかく外観が個性的で、初めて見た時に「これフェリーなの?」と思ってしまったくらいです。波が穏やかな瀬戸内海航路ならではの、構造やデザインなんでしょうね。食事メニューが美味しかったり、ノンアルコールのメニューが豊富だったり、全てがおしゃれな感じで、本当に素敵ですよ。
また、船内にはパノラマソファという階段状にレイアウトされた眺望席があったり、デッキには「しお風のガゼボ」という東屋が6つくらいポンポンポンと置かれていたり。全ての席に座ってみて乗り心地を試したんですが、どれもそれぞれの良さがあって、めちゃめちゃおすすめしたいです。

印象的な外観をはじめ随所に個性が光る
印象的な外観をはじめ随所に個性が光る

12. 【中国・四国】ジャンボフェリー(香川県・高松東港〜香川県・坂手港(小豆島)〜兵庫県・神戸港)

新船のプレミアエリアには展望風呂や足湯も

中国・四国のもう一つが、高松小豆島神戸ジャンボフェリー。なかでも、高松からの深夜便が大好きです。
他のフェリーと同じように、目的地へ早朝に着くように運航する夜行フェリーだからこそ楽しめる良さがあります。神戸に向かっている間、新門司などから出発した他の大型長距離フェリーと一緒に並走したり、同じタイミングで明石海峡大橋をくぐったり。最前方席のキャプテンシートから、「どこかに船はいないかな?」と双眼鏡でずっと見ています(笑)。真っ暗な場所で、船の光を探して見つけるのが好きですね。
新船「あおい」のプレミアエリアには展望風呂や足湯もあるので、ぜひプレミアにグレードアップすることをおすすめします。深夜に入るお風呂や足湯の背徳感たるや、もうたまりません。

新船「あおい」のプレミア専用施設「海のテラス」では足湯も楽しめる
新船「あおい」のプレミア専用施設「海のテラス」では足湯も楽しめる

13. 【九州】マリックスライン/マルエーフェリー(鹿児島県・鹿児島新港〜鹿児島県・奄美群島〜沖縄県・那覇港)

鹿児島から離島に寄港しながら沖縄へ

九州・沖縄では、鹿児島から奄美群島を経由して沖縄本島に行くマリックスラインマルエーフェリーを推します。
長距離航路と離島航路のいいところを合体させたような、他にはないフェリー航路です。いろいろな港に寄港してコンテナを積み下ろす作業を、間近に見て楽しんでいます。
また、沖縄の方へ向かうに連れて、海の色が明らかに変わっていくのが分かるんです。これは、船ならではの感動だと思います。
そして、マリックスラインとマルエーフェリーさんが販売している14日間乗り放題のフリーパスも注目。鹿児島と那覇の間で寄港する他の島にも乗り降り自由で3万円という、めちゃめちゃおトクで面白いプランです。基本設定は2等の雑魚寝部屋ですが、空きがあれば追加料金で個室にランクアップできます。私は未経験なんですが、いつか14日間まるまる船に乗って旅をしようと野望を抱いています。

マリックスラインの「クイーン コーラル プラス」
マリックスラインの「クイーン コーラル プラス」
マルエーフェリーの「フェリー波之上」
マルエーフェリーの「フェリー波之上」

14. 【九州・沖縄】名門大洋フェリー(福岡県・新門司港〜大阪府・大阪南港)

比較的運賃が安く、バイキングメニューが豊富

いよいよ最後ですね。九州は新門司という聖地があるので、本当に悩ましいです。全て等しく大好きなんですが、つい先日乗ってきた北九州新門司港と大阪南港を結ぶ名門大洋フェリーを推しましょう。
運航は上り下りとも、17:00発5:30着と19:50発8:30着の1日2便。私は遅い出港の2便目に乗りました。出港時は、新門司発の船が全て出た後なので他の船を眺められないのですが、到着時は大阪南港へ先に着いたオレンジフェリーや名門大洋フェリーの1便が停泊しているので、それらをじっくり眺めて垂涎でした。
名門大洋フェリーは、個室でも運賃が比較的安いのが推しポイントですね。あとは、バイキングのご飯がめちゃめちゃ美味しいのもポイント。門司港名物の焼きカレーをはじめ、讃岐うどんなどもあり、メニュー豊富で美味しかったです。

新門司港と大阪南港の約460kmを約12時間30分で結ぶ
新門司港と大阪南港の約460kmを約12時間30分で結ぶ

まとめ

時間を気にすることなく、フェリー旅の非日常感にどっぷり浸ろう!

吉澤さんの偏愛ガイドで見えてきた、さまざまなフェリー旅の楽しみ。飛行機や新幹線での時短アクセスもいいけれど、時にはフェリーに乗って海上をゆったり進みながら、時間を気にせず非日常感に浸ってみよう。フェリーは単なる移動手段ではなく、乗ること自体が旅なのだ!

吉澤 慶子

監修

フェリー好きの兼業イラストレーター

吉澤 慶子

フェリーってこんなに面白い!