一宝 本店

西区江戸堀に店を構える大阪でも屈指の老舗料亭。1850（嘉永3）年、油屋を営んでいた初代が副業で創業した天ぷらの店がルーツで、5代にわたり180年余の歴史を重ねている。長い歴史のなか世界的なVIPをはじめ、国内外の要人をもてなしてきた。

そんな名店中の名店での非日常体験は、石垣と土壁に瓦葺の屋根を冠した立派な門をくぐることから始まる。玄関では、女将さんと中居さんの出迎えを受け、自然に背筋が伸びるが心配は不要。「伝統や格式にこだわり過ぎず、お客様それぞれの楽しみを追求することが、一宝のおもてなしです」という柔らかな笑顔の女将さんが、優しく迎え入れてくれる。

この先は、一組ずつ専属の仲居さんがアテンド。最初に待合室へ通され、屋久杉の一枚板を使った特注テーブルでお茶をいただく。一息ついたところで、いよいよ客室へ。通されるのは、掘りごたつ式の日本座敷で、一組ごとに専用で使う完全個室。ここでは、天ぷら懐石コースの前半として、先附け、季節の八寸、旬のお造りなどの前菜が振る舞われる。庭の景色や、部屋の調度品を愛でながら、老舗料亭の味を楽しもう。

その後、仲居さんの案内で再び部屋を移動。カウンターに揚げ器が設えられた天ぷら専用の完全個室へ通され、各室専属の料理人が目の前で揚げる天ぷらをいただく。一組ごとに取り替える極上の紅花油と、旬と鮮度にこだわった最上級の食材を使った天ぷらは、まさに名店の逸品。口福のひと時を、存分に堪能したい。