
【奈良で見つける「異界」の風景9選】神々が潜む山と水の迷宮への誘い
奈良の奥深くには、瀞峡や大台ヶ原のような原始の景観と、室生寺や玉置神社に代表される信仰の場が点在する。水と岩が形づくる地形と、そこに重なる祈りの歴史が、この土地ならではの空間を生み出してきた。自然と信仰が交差する場所をたどりながら、日常から少し離れた風景へ足を踏み入れてみよう。

標高1076mの玉置山の山頂直下に鎮座する修験道の霊場。神武天皇の東征の折、この地で兵を休めて武運を祈ったとされ、熊野三山の奥の院として信仰を集めてきた。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」及び史跡「大峯奥駈道」の構成資産として登録されている。
車で行くことはできるものの、九十九折りの細い山道が続くので運転には注意が必要。冬季は積雪することも珍しくない。また濃霧の発生する日が多く、境内は幻想的な雰囲気に包まれる。
本社は欅材で造られた入母屋造の風格ある社殿。また1804年築の社務所は、書院建築と参籠所を組み合わせた修験教団ならではの建築様式で、国の重要文化財に指定されている。幕末の狩野派絵師・橘保春による襖絵は必見。
なお本殿からさらに登った山頂近くには、神武天皇が鎮めたと伝わる玉石を祀る玉石社がある。神社名の由来ともなった末社であり、修験者は本殿参拝より先に、まずこの玉石社に参拝するのがしきたりとなっている。

霧の立ちこめる幻想的な本殿

樹齢3000年ともいわれる神代杉

山頂からの眺めは絶景

山頂近くの玉石社。社殿はない

社務所の襖には花鳥図が描かれている