
【九度山・高野山3DAYモデルコース】 九度山から高野山へ。世界遺産・町石道を歩く旅
世界遺産・町石道を歩いて高野山を目指し、写経体験や精進料理を楽しむ……、それだけで満足してしまうには惜しい魅力が、麓の九度山には広がっています。かつて「女人高野」と称され、高野山信仰を支えてきたこの町には、町石道の起点となる慈尊院や丹生官省符神社をはじめ、戦国武将・真田幸村ゆかりの史跡、郷土の味を伝えるグルメ、地域に根付く伝統文化など見どころが豊富。今回は、九度山を起点に町石道を歩いて高野山へ向かい、帰路には九度山町の歴史や文化、食の魅力を巡る3日間のモデルコースを紹介します。
九度山へのアクセスは?
九度山町へは、南海電車を利用すると大阪市内や関西国際空港からスムーズにアクセスできます。
南海難波駅からは、南海高野線を利用し、橋本駅で乗り換えて九度山駅へ。所要時間は約1時間5分です。また、2026年4月には難波駅と高野山の玄関口・極楽橋駅を結ぶ新たな観光列車「GRAN 天空」がデビュー。九度山駅にも停車するため、沿線の自然や文化に触れながら、旅そのものを楽しむこともできます。
関西国際空港からは、まず南海空港線で天下茶屋駅へ向かい、その後、南海高野線に乗り換えて橋本駅経由で九度山駅へ。空港から天下茶屋駅までは約40分、そこから九度山駅までは1時間ほど。海外からの旅行者でも比較的わかりやすいルートでアクセスできます。
身軽な山歩きをかなえる手荷物配送サービス
町石道を歩いて高野山を目指すなら、出発前に利用したいのが九度山タクシーの手荷物配送サービスです。荷物を預けると高野山の宿坊まで届けてもらえるため、大きなスーツケースや旅行バッグを持たずに歩くことができます。
九度山駅まで配送車が来てくれるので手続きもスムーズ。午後1時までに預けた荷物は、その日の夕方までに宿泊先の宿坊へ届けられます。長い参詣道を快適に歩くためにも、出発前に利用しておきたいサービスです。


DAY1|歴史ある町石道を登り高野山へ
町石道へ向かう途中に「柿の葉すし九和楽」で昼食探し
まず立ち寄りたいのが柿の葉すし九和楽。これから町石道を歩いて高野山を目指すなら、道中で味わう昼食として柿の葉寿司を購入しておくのがおすすめです。
柿の葉寿司は、奈良県南部から和歌山県北部にかけて受け継がれる郷土料理。海から遠い山間部で魚を保存する知恵から生まれ、魚と酢飯を柿の葉で包んで寝かせることで味をなじませます。九和楽では定番のサバ、サーモン、タイ、シイタケの4種類を展開。サバは焼津産、タイは愛媛産、シイタケは和歌山産を使用するなど、素材選びにもこだわっています。また、季節限定でタケノコや赤かぶなどの野菜を使った柿の葉寿司も登場。


柿の葉寿司 九和楽の基本情報
「慈尊院」で手を合わせ町石道へ
柿の葉すし九和楽から歩くこと約20分。町石道の出発地点・慈尊院が見えてきます。弘法大師・空海によって開かれた高野山の麓に建つ古刹で、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一つ。古くから高野山参詣の出発点として親しまれ、参詣者はここで手を合わせ、心身を整えてから山上へと向かったと伝えられています。
また、空海の母が暮らした寺としても知られ、高野山が女人禁制だった時代には女性たちの信仰を支える拠点となりました。その歴史から「女人高野」と呼ばれ、現在も安産や子授け、良縁などを願う多くの参拝者が訪れます。境内には国宝の木造弥勒仏坐像を安置する弥勒堂などがあり、長い歴史を今に伝えています。
町石道は、単なる山道ではなく、道沿いに並ぶ町石をたどりながら、高野山へ続く祈りの道を歩く体験そのものが参詣の一部。かつての人々に思いを重ねながら、一歩ずつ高野山を目指して歩き始めましょう。




慈尊院の基本情報
「丹生官省符神社」で参詣の安全祈願
慈尊院で参拝を終えたら、境内の階段を登って丹生官省符神社へ。高野山の守護神を祀る神社として知られ、参詣者たちはここでも旅の安全を祈願してから山上へ向かいました。
神社には、弘法大師・空海が高野山の霊地を探していた際、白と黒の二匹の犬を連れた猟師に導かれて高野山へたどり着いたという伝説が伝わります。その猟師は高野御子大神(たかのみこのおおかみ)の化身とされ、この地に祀られています。
境内には重要文化財の三社殿が残り、屋根の巴紋や千鳥破風など見どころも豊富。また、境内からは高野山を望むことができ、かつて高野山へ入れなかった女性たちが遥拝した場所としても知られています。




丹生官省符神社の基本情報
- 日本語名称
- 丹生官省符神社
- 郵便番号
- 648-0151
- 住所
- 和歌山県伊都郡九度山町慈尊院835
- 電話
- 0736-54-2754
- 定休日
- 参拝自由
- 時間
- 参拝自由(社務所は9:00〜17:00)
- 料金
- 参拝自由
- アクセス
- 南海高野線「九度山」駅から徒歩約20分
- クレジットカード
- 不可
- 公式サイト
- 公式サイト
180基の町石に導かれ「町石道」をゆく
丹生官省符神社で高野山信仰の歴史に触れた後は、いよいよ町石道の山登りが本格的にスタート。道中で目を引くのが、約109mごとに建てられた町石です。慈尊院から高野山の根本大塔まで180基が並び、それぞれに仏を表す梵字が刻まれています。かつての参詣者たちは、この町石を道しるべにしながら山上を目指しました。
歩き始めると、のどかな集落や田園風景、深い竹林など表情豊かな景色が次々と現れます。高野山へ近づくにつれて空気や景観が変化していくのも、この道ならではの魅力。春の新緑や秋の紅葉など、四季折々の自然も旅に彩りを添えてくれます。




長い参詣路の先に立つ「大門」に感動!
町石道を歩き続けること約20km。長い参詣路の先で迎えてくれるのが、高野山の総門である大門です。朱塗りの堂々とした門は高野山の入口に位置し、現在の建物は1705年に再建されたもの。高さ約25mを誇るその姿は、聖地への到着を実感させる象徴的な存在となっています。


歩いた先で出会う「根本大塔」の世界
高野山のシンボルであり、今回のルートのゴールでもある根本大塔。壇上伽藍の中心に建つ高さ約48.5mの朱塗りの大塔で、弘法大師・空海が構想した真言密教の世界観を表す重要な建造物とされています。
内部には大日如来を中心に諸仏が配置され、立体曼荼羅の世界が広がります。長い参詣路を歩いてたどり着いたからこそ、その荘厳な空間により深く心を動かされるはず。

僧侶の気分で高野山宿坊体験
町石道を歩き終えた後は、高野山ならではの宿坊に泊まり、ゆっくりと旅の疲れを癒やしましょう。宿坊はもともと僧侶や参拝者のための宿泊施設として発展してきたもので、現在は一般の旅行者も利用することができます。
高野山には50を超える宿坊があり、歴史ある建築や庭園を楽しめるほか、精進料理や朝のお勤めなどを体験できるのも魅力。それぞれに異なる歴史や特色を持ち、滞在を通して高野山の文化や信仰に触れられます。

DAY2|高野山を満喫し、日本でも珍しい駅舎ホテルへ
高野山散策で密教の世界に触れる
2日目は、世界遺産・高野山の散策へ。高野山全域は高野山金剛峯寺の境内とされ、山内には100を超える塔頭寺院が点在。歴史ある建築や仏像、経典など数多くの文化財が受け継がれています。
高野山の魅力は、寺院を巡るだけでなく、仏教文化を体感できること。阿字観や写経、授戒といった修行体験のほか、護摩祈祷を見学できる寺院もあります。前日に歩いた町石道の先に広がる聖地を実際に巡ることで、高野山信仰への理解もより深まります。まずは高野山を代表する見どころである金剛峯寺と奥之院へ向かいましょう。


列車を眺めて過ごす「The Railway Hotel 高野山 参詣鉄道」
高野山散策を楽しんだ後は、高野山駅からケーブルカーで極楽橋駅へ。南海電車に乗り換え、高野下駅にあるThe Railway Hotel 高野山 参詣鉄道へ向かいます。1925年に建てられた木造駅舎を活用した宿で、列車旅の情緒をそのまま味わえる特別な滞在先です。
客室は2室のみ。かつて駅員の宿直室や乗務員の待機室として使われていた空間を改装しており、当時の面影を残す柱や建具が随所に見られます。館内には実際の車両で使われていた椅子や網棚、行先表示板などが展示され、鉄道好きにはたまらない空間。客室の窓からはホームを行き交う列車を眺めることができ、現役駅舎ならではの滞在を楽しめます。




トマトにこだわる「ピザハウス Mieux」の本格ピッツァ
高野下駅の駅舎ホテルでひと息ついた後は、タクシーを手配して、地元で長く愛されるピザハウス Mieuxへ。ナポリから取り寄せた薪窯で焼き上げる本格ピザが評判の一軒です。なかでも看板のマルゲリータは、トマトの出来を何より重視しており、納得のいく品質のものが手に入らない時期は提供を見合わせることもあるそう。取材時には紀の川市の農園で育てられた、希少なトマトが使用されていました。
生地にはイタリア産小麦を独自にブレンドし、水牛モッツァレラやオリーブオイルもイタリアから取り寄せたもの。本場の食材と和歌山の旬を組み合わせながら、一枚一枚丁寧に焼き上げています。
また、果物と野菜をたっぷり盛り込んだサラダや、地元の果物を使った自家製ジェラートも人気。和歌山とイタリア、それぞれの魅力が詰まった一皿を味わいながら、2日目を締めくくりましょう。




ピザハウス Mieuxの基本情報
DAY3|戦国武将・真田幸村ゆかりの地を散策
かまど炊きが自慢の「おむすびスタンド くど」で朝ごはん
3日目は電車に揺られて再び九度山駅へ。町の歴史や文化を巡る前に立ち寄りたいのが、九度山駅構内にあるおむすびスタンド くど。地元の人はもちろん、この店を目当てに遠方から訪れる人もいる人気店です。
店名の由来にもなった、おくどさん(=かまど)でご飯を炊き上げています。米は九度山で収穫されたものを中心に使用し、町内・細川地区の古代米を取り入れたおむすびも提供。薪火で炊くことで米の甘みや香ばしさが引き立ち、ふっくらとした食感に仕上がります。
春のタケノコ、夏のトウモロコシ、秋のきのこなど、旬の食材を使った炊き込みご飯のおむすびも魅力のひとつ。地域の食文化を手軽に味わいながら、九度山を巡る一日をスタートさせましょう。





おむすびスタンド くどの基本情報
足踏み式織り機で仕上げる「真田紐織り体験」に挑戦
腹ごしらえをすませた後は、真田紐織りを体験しに、真田紐工房へ。真田紐は、縦糸と横糸を織り込んで作る幅の狭い織物で、伸びにくく、ねじれにくい丈夫さが特徴。かつては荷物を束ねる実用品として使われ、後に茶道具の木箱を結ぶ紐としても重宝されるようになりました。
事前予約制の体験では、あらかじめ糸がセットされた足踏み式の織り機を使い、実際に真田紐を織り上げていきます。足で糸の上下を切り替えながら横糸を通し、一段ずつ織り進める作業はシンプルながらも意外と集中力が必要。少しずつ模様が現れていく様子も楽しく、手仕事ならではの面白さを感じられます。




真田紐工房の基本情報
戦国武将・真田父子が過ごした「真田庵」
真田紐工房から徒歩すぐに立地する真田庵は、戦国時代を代表する武将・真田幸村父子の屋敷跡に建つ寺院。真田幸村は関ヶ原の戦い後に父・昌幸とともに九度山で暮らしたことで知られています。
実は寺院が建てられたのは真田家が暮らしていた時代ではなく、真田家ゆかりの墓所を守り供養するために江戸中期に整備されたもの。境内には昌幸の墓所の目印として植えられたと伝わる松や、幸村が雷を封じ込めたという伝説が残る井戸など、真田家にまつわる見どころが点在しています。



真田庵の基本情報
「九度山・真田ミュージアム」で真田家の歩みをたどる
真田庵で真田家ゆかりの史跡に触れた後は、さらに理解を深めるために九度山・真田ミュージアムへ。2016年に開館した資料館で、真田家発祥の地・信州上田から、昌幸・幸村父子が過ごした九度山時代、大坂の陣に至るまでの歩みをたどることができます。
館内では、真田幸村だけでなく父・昌幸や兄・信之にもスポットを当て、一族の歴史を時代順に紹介。当時の九度山での暮らしをイメージした展示空間には、隠し部屋や抜け穴を思わせる仕掛けも設けられ、楽しみながら学べる工夫が随所に見られます。その他にも全国各地に残る真田伝説を紹介するコーナーもあり、歴史ファンはもちろん、子どもや海外からの旅行者にも親しみやすい内容です。




旅の締めは「道の駅 柿の郷くどやま」でお土産探し
3日間にわたる九度山の旅の締めくくりは、道の駅 柿の郷くどやまへ。
館内の直売所には、和歌山県内で収穫された農産物や特産品がずらり。秋の柿をはじめ、みかん、いちご、桃、ぶどうなど季節ごとの果物が並び、梅干しや加工品などのお土産も充実しています。旅の最後に立ち寄れば、九度山や和歌山の味覚を持ち帰ることができます。
また、施設内には世界遺産情報センターも併設。高野山や町石道、慈尊院、丹生官省符神社などの見どころを紹介する展示やパンフレットがそろい、観光情報を収集できます。今回は旅の終盤に訪れましたが、町石道を歩く前に立ち寄ってルートや周辺情報を確認しておくのもおすすめ。旅の始まりと終わり、どちらでも頼りになる九度山の観光拠点です。




道の駅 柿の郷くどやまの基本情報
九度山・高野山3DAYモデルコース行程表
DAY1|歴史ある町石道を登り高野山へ
- 町石道へ向かう途中に「柿の葉すし九和楽」で昼食探し
- 「慈尊院」で手を合わせ町石道へ
- 「丹生官省符神社」で参詣の安全祈願
- 180基の町石に導かれ「町石道」をゆく
- 長い参詣路の先に立つ「大門」に感動!
- 歩いた先で出会う「根本大塔」の世界
- 僧侶の気分で高野山宿坊体験)
DAY2|高野山を満喫し、日本でも珍しい駅舎ホテルへ
- 高野山散策で密教の世界に触れる
- 列車を眺めて過ごす「The Railway Hotel 高野山 参詣鉄道」
- トマトにこだわる「ピザハウス Mieux」の本格ピッツァ
DAY3|戦国武将・真田幸村ゆかりの地を散策
- かまど炊きが自慢の「おむすびスタンド くど」で朝ごはん
- 足踏み式織り機で仕上げる「真田紐織り体験」に挑戦
- 戦国武将・真田父子が過ごした「真田庵」
- 「九度山・真田ミュージアム」で真田家の歩みをたどる
- 旅の締めは「道の駅 柿の郷くどやま」でお土産探し
まとめ
世界遺産・町石道を歩き、高野山で祈りの文化に触れ、宿坊で静かな時間を過ごす。そして、麓に戻り真田家ゆかりの史跡や伝統文化、地元ならではの味覚が息づく九度山を巡る。高野山と九度山は、それぞれ異なる魅力を持ちながらも、長い歴史の中で深く結び付いてきました。だからこそ、この二つの地をあわせて訪れることで、信仰や歴史、文化への理解はさらに深まります。次の高野山旅は、ぜひ九度山から始まり九度山へと帰ってくる、3日間の物語を楽しんでみてはいかがでしょうか。
