
日本の伝統食「かまぼこ・ちくわ」完全ガイド 知って作って味わおう!
日本を訪れたらぜひ一度味わってほしい食べ物があります。「かまぼこ」や「ちくわ」に代表される「魚肉練り製品」です。日本の伝統的な魚の加工方法であり、長い間、日本の食卓で愛されてきた伝統食のひとつです。
本記事では、そんな「かまぼこ」や「ちくわ」の歴史や種類、作り方をひもときながら、かまぼこ・ちくわづくり体験施設もご紹介します。本記事を通して、日本の伝統的な食文化をもっと身近に感じていただけることでしょう。
「かまぼこ」や「ちくわ」などの魚肉練り製品とは
かまぼこもちくわも、白身魚を原料として作られています。魚の身を、骨や皮を取り除いてすりつぶし、卵白や小麦を入れて練ったものを「すり身」といい、そのすり身を蒸したり焼いたりしてできています。基本的にはかまぼこは蒸していて、ちくわは焼いてできています。そんなかまぼこやちくわをはじめとする魚肉練り製品の種類や由来、歴史などをご紹介します。


魚肉練り製品の歴史
いまから900年以上前の平安時代にはかまぼこが食べられていたことがわかる文献が残っています。日本は海に囲まれているため、海の幸が豊富に獲れたのです。しかし当時は冷凍するなど、新鮮な魚たちを長期的に保存する技術がありませんでした。そのため、鮮魚を保存する方法として、魚をすり身にして蒸したり焼いたりして加工する技法が発展してきました。かまぼこやちくわの主な材料はスズキやスケトウダラなどの白身魚ですが、魚そのものとはまったくちがった食感や味、形を楽しめます。どんな料理とも相性が良いため、お弁当のおかず、うどん・そばの具材、おでんの具材などの日常使いから、かまぼこは半円形の形が「初日の出」を連想させるため新しい年の門出や運気上昇を願う縁起物としておせち料理にも使用されていて、日本人にとってはとても身近な食材です。きっと日本での旅行中に一度はかまぼこやちくわを食べる機会があるかと思いますが、ほかにはなかなかない味や食感の食べ物なので、海外から訪れた人には「何でできているの?」と不思議に感じる食べ物でもあるかもしれません。
魚肉練り製品の種類
(1) かまぼこ
すり身を成形し、主に蒸して作られます。蒸したあと焼く場合もあります。白色のほかに赤や緑に着色されていたり、笹の形に成形されていたり、色々なアレンジがあります。そのまま食べたり、わさびを添えて食べたりします。

(2) ちくわ
竹などの棒に、すり身を巻き付けて焼いて作ります。そのまま食べたり、おでんなどの煮物に調理されたりします。

(3) だて巻き
すり身に溶き卵やみりん、砂糖などの調味料を加え、蒸したり焼いたりして作られています。正月のおせち料理には欠かせません。

(4) はんぺん
サメ肉のすり身に山芋や卵白を加え、ゆでて作られています。サメ肉を使ったり気泡を含ませて作ったりするため、ふわふわの食感が特徴で、おでんの材料に使われています。だしが染み込んで、おいしいです。

(5) さつま揚げ
「揚げかまぼこ」とも呼ばれ、すり身を成形して揚げたものです。その名のとおり、鹿児島名物のひとつです。

かまぼこの名前の由来
かまぼこという名前の由来には諸説あります。植物の「ガマ(蒲)」の穂子に似ていたことから「蒲穂子」が訛って「かまぼこ」という名前がついたという説や、竹に魚のすり身をつけて焼いていたことから、その見た目が鉾に似ていることが由来という説などがあります。

原料は白身魚
原材料の白身魚は地域や製品によって異なりますが、スケトウダラ・タチウオ・エソなどです。味が良くて、蒸したり焼いたりすると歯ごたえのいい弾力が出る魚が使われています。数種類の魚を組み合わせて作られることもあります。

発祥の地・兵庫県
かまぼこ(水産練製品)発祥の地は兵庫県といわれています。西暦201年に神功皇后が三韓への渡航の際に、神戸の生田の杜ですりつぶした魚肉を鉾の先に塗り付けて焼いて食べたのが始まりという伝説が残っています。実際に生田神社(兵庫県神戸市)には「かまぼこ発祥地」の石碑があり、11月15日の「かまぼこの日」には、兵庫県蒲鉾組合連合会が主原料である魚をはじめとする海の恵みに感謝し、より一層の魚肉練り製品の需要の拡大を願い、奉納参拝を行っています。
兵庫県は、北は日本海、南は瀬戸内海が広がり、海の幸に恵まれた土地でもあることから、かまぼこやちくわなどの魚肉練り製品が発展してきました。兵庫県は2023年度には41,242トンのかまぼこ類を生産し、都道府県別で国内第一位の生産量を誇っています。発祥から現在にいたるまで、兵庫の地でその食文化が受け継がれてきていることがわかります。


「かまぼこ」や「ちくわ」の歴史
かまぼこが初めて文献に登場するのが平安時代。「類聚雑要抄(るいじゅざつようしょう)」という宮中での儀式や行事の調度について詳しく記された書物のなかで、1115年7月21日に関白右大臣藤原忠実(ふじわらのただざね)が三条に移転したことをお祝いする宴席の膳でかまぼこが出されたという記述があります。すり身にした魚肉を木の棒につけて焼いていて、どちらかというと現在のかまぼこよりもちくわに似ていたと考えられています。このかまぼこが振る舞われた1115年を記念して、11月15日が「かまぼこの日」として制定されています。
- 室町時代〜安土桃山時代のいわゆる戦国時代でも保存食として重宝され、織田信長や豊臣秀吉などの戦国武将たちも好んでかまぼこを食べていたと伝わっています。
- 桃山時代から江戸時代にかけては、すり身を板の上にのせて煮たり焼いたりしたものが出始めました。
- さらに江戸時代末期には“蒸す”調理方法が普及していき、現在のような、蒸して作るかまぼこが登場したと考えられています。この頃、色付けされたり形も様々なものだったり、創作性の高いかまぼこが広がりを見せました。
- 明治初期頃から食用油が庶民にも普及し、さつま揚げや天ぷらが生まれました。
- 大正時代になると、機関船の発達とともに遠洋漁法が登場します。遠海で獲れた魚も使用できるようになり、原材料の大変革がおきました。
「かまぼこ」や「ちくわ」作りを体験!
手づくり体験を行うのはカネテツデリカフーズ
練製品を作って100年以上のカネテツデリカフーズ株式会社。かまぼこ発祥の地、兵庫県は神戸市に本社があります。

おでんに入れるようなちくわや料理に彩りを添えるかまぼこだけではなく、2014年の発売以来、累計9,000万パック以上を販売する、まるで本物のかにのようなカニかま「ほぼカニ」や、本物のホタテのような味や食感を追求したホタテ風味のかまぼこ「ほぼホタテ」など、「ほぼ」シリーズが新ジャンルの練り製品として話題を呼びました。この「ほぼ」シリーズは、高価なため普段は手が届かない食材や調理に手間がかかるなどの、食の課題や不満を少しでも解決できればという想いで開発を行ったそうです。カネテツデリカフーズは、いつの時代も海を通じて新たな「おいしさ」と「幸せ」を創造してきました。


魚肉練り製品ができるまで
消費者のことを第一に、おいしい魚肉練り製品を食卓に届けるためのおいしさの工程をご紹介します。
(1) 原料
世界中の海から選りすぐられた新鮮な魚のみを原料に使用しています。各地の工場で新鮮なまま頭や内臓を取り除いてすり身にして届けられています。
(2) 擂潰(らいかい)
すり身に塩を加えて、下味を整え、最新の機械でさらにきめ細かいすり身にしていきます。それだけではなく、昔ながらの石臼で何段階にもわたって丹念に練り上げることでよりきめ細かなすり身にしているそうです。魚肉練り製品はぷりっとした食感も大切。しっかり練り上げることでいい食感が出ます。カネテツデリカフーズのおいしさへのこだわりが垣間見えます。

(3) 成型
練り上げられたすり身は、成形機でそれぞれの製品に形を整えます。かまぼこの場合は、板の上にすり身をのせ、板の長さに合わせてのせられたすり身を切断して作っています。
(4) 加熱
続いて加熱の工程です。かまぼこであれば蒸し、ちくわであれば焼き、天ぷらなどの揚げ物は揚げるなど、それぞれの製品に応じて加熱していきます。かまぼこは低温と高温の2回にわけて蒸しているそう。そうすることでぷりぷりした食感が生み出せるのだとか。かまぼこは蒸したあと、遠赤外線を使って焼き色をつけているものもあります。

(5) 冷却
加熱後は冷却装置で一気に冷却します。加熱したあとすぐに冷却することで、製品に余分な菌が付着・侵入することを防止しているそうです。実はカネテツデリカフーズの魚肉練り製品はすべて保存料無添加!加熱→冷却のラインを連続させることで、保存料無添加を実現しています。安全なものを届けたいという想いが伝わってきます。
(6) 包装・配送
冷却されたあとは、室内の気圧を高めることで外気の侵入を防ぐクリーンルームへ。ここで厳重なチェックを受けながら素早く包装されていきます。そして我々の食卓へ。製造工程から、原料のおいしい魚をそのままにという魚たちへの敬意と安心できるオンリーワンのおいしさで食卓を彩りたいという想いを感じます。

「てっちゃん工房」で「かまぼこ」や「ちくわ」を作ろう!
カネテツデリカフーズ本社・六甲工場の敷地内には「てっちゃん工房」が併設されています。日本の伝統食品である練製品をもっと身近に感じてほしいという想いと、 練製品のおいしさを知ってほしいという想いから、「ちくわ」や「かまぼこ」の手づくり体験を行っています。

体験スタート!
建物内に入ったら1階で受付を済ませます。

体験にはエプロンを持参しましょう。もしもエプロンを持っていなければ100円で買うこともできます。エプロンをつけ、不織布キャップをかぶったら2階へあがります。


今回体験したのは2品コースです。まずはかまぼこ作りからスタートです。

手前の板が、かまぼこ板です。その隣がすり身。すり身はスケトウダラが主原料で、そこに卵と小麦を混ぜて作っているそうです。そして奥にあるのが、かまぼこなどの“練りもの”を作る際に使う「つけ包丁」です。つけ包丁は普通の包丁と違って刃がないのが特徴。切れないので、小さなお子さんも安心して使うことができます。つけ包丁の奥にあるのは、かまぼこを成形したあとにかまぼこに絵や文字を描くのに使用する道具です。
まずはすり身を板にのせていきます。板をすり身にくっつけて立てます。そして横にスライドさせるとすり身が丸くなります。


そのまま板を斜めに倒して、包丁をすり身の下に差し込みます。すり身を机から離すように差し込んでください。

両手ごと持ち上げて、板が下、すり身が上になるように持ちかえます。そして包丁を滑り下ろして抜きましょう。
すると、包丁にすり身がついているので、そのすり身を机の端でこすって落とし、包丁をきれいにします。成形するときは常に包丁をきれいにしておきましょう。それがかまぼこを滑らかに仕上げるポイントです。

板から出ている分を左右切り落とし、隙間を包丁でなでつけて埋めていきます。

余っているすり身をすべて板の上にのせて包丁でなじませます。半円を描くように包丁の面でなでてなじませるのがポイントです。何度もなじませていくと、表面がつるんとなります。


ここからは自分の好きなようにかまぼこをデザインしていきます!文字を書いたり、端のすり身を切り落として丸めてネコの耳やハートを作ったりして貼り付けていきます。日付や名前を書いたり、モアイ像を形づくったりするのが人気だそうです。今回は、クマとネコができあがりました!かまぼこをデザインするのはなかなかない機会。自由に作りましょう!

デザインが終わるといよいよ仕上げの工程です。
かまぼこなので、蒸したあと焼いていきます。
まずは蒸す工程から。98℃〜99℃の温度で30分間蒸します。

かまぼこを蒸している間に、続いてはちくわ作りをしていきます。

枠の中のすり身を伸ばして、すり身シートを作ります。
まずは真ん中あたりに包丁をあてて手前に引きます。これを繰り返していきましょう。



まんべんなくできたら、包丁の面を左右に滑らせて、すり身をのばします。

ちくわ作りでも包丁は常にきれいにしておきましょう。残ったすり身をすくって穴があいているところにのせて埋め、包丁を滑らせます。これを繰り返して表面が滑らかできれいなシートを作っていきます。


表面が滑らかになったら、枠を外します。

すり身の端1cmをあけて竹を置きます。利き手が右の人は右端に、左の人は左端に竹を置くと次の作業がしやすくなります。
竹を置いたらすり身と机の間に包丁を差し込みます。
そのまますり身を竹にこすりつけるようにして包丁を上に抜きます。

続いて竹にすり身を巻き付けていきます。再び包丁をきれいにしてから、包丁をすり身と机の間に差し込んで、上下にギザギザ動かし、机を切るイメージでスライドさせていきます。利き手と反対の手は竹を持ち、優しく転がすだけでOK。力を入れすぎるとすり身がぺたんこになってしまうので注意が必要です。


最後まで巻き付けられたら、両手ごと持ち上げて、包丁を上下にやさしくギザギザ動かすと、包丁が抜けていきます。これでちくわの成形が終わりました。このあと焼いていきます。蒸したり焼いたりする作業はすべてスタッフのかたが行ってくれます。


ちくわなので蒸さずにこのまま焼いていきます。ちくわは200℃の高熱で15分間焼きます。自動でちくわがくるくる回るので、まんべんなく熱が通っていきます。焼き目がついてくる頃には香ばしいおいしそうな香りが漂ってきます。

そのままにしておくと膨らんでしまうので、針で穴を開けて空気を逃がしながら焼いていきます。

できあがりを待つ間、スタッフのかたがかまぼこやちくわに関するクイズを2つ出題してくれます。2つとも正解できるかぜひチャレンジしてみてください!
そうこうしている間に、かまぼこが蒸しあがりました。
取り出して、少し冷やして粗熱をとります。冷やしているときに、かまぼこも膨らむのを防止するため、針で穴を開ける工程があります。

粗熱がとれたら、かまぼこの表面を焼いていきます。上から火をあてて、炙るようにして1分半、焼いていました。焦げすぎないように注意が必要だそうですよ。

焼けたら冷まして、梱包です。


できたてなので、とってもアツアツ!こんな作りたてのちくわやかまぼこを食べられることはなかなかないチャンスです。1階には椅子があり、その場で食べることができます。ちくわはそのままかぶりつけるのでぜひできたてのふわふわのちくわを味わってみてください。
体験をしてみて
毎日のように食べてきたちくわやかまぼこが魚肉のすり身からできているのは知っていましたが、ちくわは“焼く”、かまぼこは“蒸す”という加熱工程がちがうということをはじめて知ることができました。かまぼこもちくわも作るのにはコツがいりますが、難しいと感じる作業はほとんどなく、小さなお子さんでも楽しく体験できると思いました。体験は小学生以上が対象です。子どもの食育体験としてもおすすめです。ぜひ親子で参加してみてください。
手作り体験コースの概要
- 体験内容
- ちくわ、かまぼこ作り
- 営業日
- 不定休(予約専用ページに記載)
- 体験時間
- 10:00〜 / 12:00〜 / 14:30〜
- 所要時間
- 約90分
- 定員
- 1〜48名
- 料金
- お1人様:2,000円(税込)
- 体験内容
- ちくわ
- 所要時間
- 約60分
- 定員
- 24〜48名(要相談)
- 料金
- お1人様:1,500円(税込)
※事前に予約が必要です。
※前日や当日など直前予約は電話:078-857-3453(受付09:30〜16:30(営業日))までお問い合わせください。
お土産品の購入も
1階では大人気商品の「ほぼカニ」やロングセラー商品の「野菜フライ」などを購入することもできます。企業キャラクター「てっちゃん」のボールペンや保冷バッグなどの販売もあります。また、その場で揚げたてが食べられる「天ぷら4種セット」はお好み・コーンバター・九条ネギ・海老玉ねぎをいただくことができます。これはてっちゃん工房限定商品。注文後に揚げてくれます。いかしゅうまいやジューシーウインナー巻、チーズボールも人気です。ここでしか味わえないものもたくさんあるので、ぜひ試してみてください。


ここも見逃さないで!「ほぼカニ神社」
実はカネテツデリカフーズ本社の敷地内の北西側には神社があります。それが「ほぼカニ神社」。
ほぼカニ発売10周年を記念して2024年4月1日に建立されました。主祭神は「ほぼカニ様」。ほぼカニを持った大きいズワイガニです。

“変化が激しく、不確実で曖昧な現代。そんな今だからこそ必要な場所が「ほぼの聖地」。疲れた心に寄り添いたい。完璧じゃなくていい。ほぼがいい。”という想いから、癒しの場所として建立したそうです。
ご利益は悩み事を解決して、幸せを呼び込んでくれることだそう。というのも、「ほぼシリーズ」は消費者の困りごとの解決を願い開発した商品。これまで多くの消費者の悩みを解決してきました。ほぼカニ神社の主祭神「ほぼカニ様」もほぼシリーズの神として、ほぼシリーズのように参拝者に寄り添い、困りごとを解決するからだそうです。
境内では注目してほしいところがたくさんあります。
ひとつめが祠です。後光が差した御祭神「ほぼカニ様」が祀られています。ただ御開帳は毎年4月1日「ほぼカニの日」のみ。
そして狛犬ならぬ、狛カニ。右が「阿形 カニ爪」左が「吽形 カニ爪」です。カニ爪の開き具合が左右で違うのがポイント。
社紋はカニ爪を描いた「カニ爪巴紋」。また、祠には「ほぼカニ様」の形をした「カニ雲」の飾りがあしらわれています。運試しガチャもあるので、回してみてください。ちなみにてっちゃん工房の売店では「ほぼカニ爪御守」が4種類あり、授与していただけます。
まとめ
日本の食文化には、素材を余すところなく生かして手間をかけることで新たな価値を生み出してきたものがたくさんあります。私たちの食卓でおなじみの、ちくわやかまぼこなどの魚肉練り製品もそのひとつ。新鮮な魚を保存し、おいしく食べるために培われてきた日本の食文化の知恵が詰まっています。魚のすり身を成形して加熱するというとてもシンプルな製造方法ですが、自身で作ってみることで、素材を生かすための工夫が凝縮されていると改めて感じました。日本旅行の際にはぜひ一度体験を!歴史や製法を知ってから食べると、いつもの魚肉練り製品が少し違って見えてくるかもしれません。
